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短編綴
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:シナリオ 官能小説
ルール: エロラノベ。会話メインで進む投稿小説
  
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1:短編綴
投稿者: もふもふ ◆e.YwbpOdo.
外周りの営業。新人の奏を連れて軽自動車で事務所を出発するも、数件廻った所で不意の土砂降りに見舞われる。


いわゆるゲリラ豪雨というやつだ。


油膜ギトギトの営業車は元々視界が悪い上にワイパーも効かない。悟は安全策を取り、近くの公園の駐車場に車を入れる。


「すごい雨ですね」奏は少し怯えた口調で雨に溶けて何も見えない窓を眺める。


悟も奏も全身ずぶ濡れ。商材を濡らさなかったのはせめてもの意地であるが、こうもびしょびしょでは以降の仕事もままならない。


「奏ー。寒くないか?上着脱いで乾かし?」
悟はエアコンの温度を上げて風量を強くすると、氷雨に凍えた窓は結露していよいよ外界が遠ざかる。

悟は奏の上着を受け取ると腕を伸ばして皺にならない様に後部座席に掛けてやり、自らもスーツのジャケットを脱いでその隣に掛けた。

「ううっ…寒っ…」
奏は腕組みをしてぶるっと身震いする。

「おいおい大丈夫か?」
悟が心配そうに奏の顔を覗き込むと、奏は「大丈夫です」青白くなった唇を微かに動かした。


「いやいや、大丈ばないやんけ」
悟は奏に何か掛けてやるものがないか社内を見回すがそんなものは当然無い。悟は暫く思案して奏を自らの胸元に抱き入れる。

「ごめんな。雨が止むまで我慢してな」
奏も余程切羽詰まっていたのか、悟の提案を素直に受け入れ悟の胸に寄り添った。

「大丈夫かー?」
「……」

奏は黙ってこくりと頷き悟に身を預けると、濡れた衣服が悟の体温で温まるのを感じた。

「天気予報甘くみたわ。本当ごめんな」
悟は体温が逃げない様に腕で奏を包むと、頭を撫でながら奏に詫びる。

とは言え、悟も健康な青年。胸元に収まる奏の身体の感触にペニスが俄に反応する。


『いかんいかん…紳士に…紳士に…』
悟が劣情の打ち消しに腐心する一方で、奏も悟の身体的変化を察していた。


『あ…先輩硬くなってる…』
奏は悟の勃起に対する嫌悪は全くなく、寧ろ細やかな喜びを感じていた。

豪雨に凍えるという特殊な状況だったとしても、気のない男の胸に肌を添わせる程女の操は甘くない。つまり奏は元々悟に気が有り、今が千載一遇のチャンスという事だ。

悟のペニスはいよいよ膨張し、僅かに動くだけで奏の肘に触れその度にピクピクと反応する。鼓動が高鳴り奏は堪らない興奮を覚える。


「なあ…あのさ?」悟がぽつりとつぶやき、奏は顔を上げて悟の目を見詰めた。

「ずっと奏の事気になっててん…」
その瞬間、凍えて青褪めていた奏の頬の血色が戻る。

「私も…ずっとです」
「でな…、あんな?」

悟は照れ臭そうに口籠りながら、奏の唇に自らの唇を寄せる。奏はそれを迎え入れて唇を合わせる。

2人は堰を切った様に夢中になって唇を重ね互いの身体を弄る。営業所長から直帰許可の連絡が入ったのはその暫く後だった。


「電話?」
「うん…所長から。直帰でええって」
「どこかで服を乾かそうか。お風呂も入りたいし」



交際を始めた2人の社内恋愛がバレるのはこの数年後である。



=この項 了=
 
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2024/10/23 02:49:39(NWImP2nx)
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