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1:ダイエット
投稿者:
彩夏
私の家は、両親と、兄と私の4人家族。どこにでもある平凡な家族に見えるかも知れないが、実は父と兄は、元々他人だった。私が5年生の時、シングルマザーだった母が、職場の上司だった父と結婚したのだ。兄は父と前の奥さんとの間の子だった。
母の結婚が決まった時、私は嬉しかった。父のことは前から知っていて、優しくて誠実な人だと思っていたし、何よりシングルマザーの母とのふたり暮らしは、夜ひとりで過ごすことも多く、ずっと不安だったのだ。 挙式前に、初めて兄と引き合わされた日。兄は小太りで、メガネを掛け、髪を長く伸ばしていかにもオタク風だった。当時中学2年生。でも、「これからきょうだいになるんだよね。仲良くしようね」と微笑んだ笑顔が優しくて、すごく安心した。男性としてはまるでタイプじゃなかったけど、『この人とならうまくやっていけそうだな』と思った。 実際4人での生活が始まると、秀才だった兄はよく勉強を教えてくれたし、面白いゲームをいっぱい持っていて、一緒に遊ばせてくれた。私は幸せだった。 だがその兄が、高校に入って間もなく、不登校になった。ゲームオタクの兄は、パソコンゲームに夢中になってから、毎晩朝方までプレイし、昼夜逆転してしまったのだ。 その事で父と兄はよく口論するようになり、兄は私以外、自分の部屋に入れなくなった。 私は家族として兄のことを心配し、心を痛めていた。 そしてその年の夏。当時中1だった私は、この兄に大きな恩義ができてしまった。
2021/06/04 15:03:07(Wz9.NyVq)
投稿者:
彩夏
私が中学1年生だった夏、私は上級生の、素行の悪い女子たちからイジメを受けるようになった。廊下で会うと大声で罵声を浴びせられたり、わざとぶつかって来たり。下駄箱から靴を持ち出されたこともあった。
キッカケは、その人たちのひとりが同級生の彼氏に振られ、その人が私のことを好きになったと言ったとかなんとか。私はその男子の顔も知らなかった。 イジメは徐々にエスカレートして行ったが、私は『その内飽きるだろう』と安易に考え、無視していた。それが、気に入らなかったんだろうと思う。 ある日私は下校途中、つぶれた工場みたいな所の前で、先輩女子3人に待ち伏せされ、敷地内に引きずり込まれた。そこには、先輩たちの友達だというヤンキー風の男子3人が待ち構えていた。合わせて6人。 そこで私は先輩たちに何度も頬を叩かれ、泣きながら土下座をさせられた。くやしかったけど下手に逆らうと男子たちに何をされるか分からないので、言うとおりに従った。 すると男子のひとりがニヤニヤしながら近寄ってきて 「お前、本当に反省してるなら、スカート捲って見せろよ。反省の証拠に写メ撮ってやるからよ」と言った。 私はこのイジメ、リンチがエッチな方向へ進んで行くのを恐れ、「イヤです!そんなこと!」と叫んだが、その瞬間素早くお腹を殴られ、うずくまってしまった。これで完全に戦意喪失。 恥ずかしさに涙をボロボロこぼしながらスカートを捲り上げると、男子たちは夢中になって何枚も、私のショーツの写メを撮った。 すると次は「よし、今度は後ろからだ。ケツこっちに向けろ!」と命じて来た。 私がためらっていると、女子の先輩に両手を取られ、頭を下げさせられた。今思えばそれは、立ちバックと呼ばれるポーズ。ヤンキーが後ろからスカートを高々と捲り上げ、また写メを撮った。 私は小さな声で「止めてください。もう許して…」と繰り返した。 でもすっかり性的に興奮した男子たちが、ここで止めてくれるハズもない。 ひと通り写メを撮り終わると、当然のようにショーツを脱がしに掛かってきた。 私は堪らず 「いやぁ!それだけはやめてぇ!」 「誰か、誰か助けてぇ!」 と叫んだが、工場の周囲は人通りが少なく、その声は誰にも届かなかった。 そんな私をいたぶるように、少しずつショーツはずり下げられて行き、間もなくふたつの尻たぶが丸出しになった。 「どうする?ここで止めてやるか?」 「まさか!あと少しで見えるぜ」 「だよな?やっぱ」 ヤンキーたちの会話から、彼らが私のアソコを見たがっていることは明らかだった。女の子の一番恥ずかしい所。でもそこを見られたら、男子たちは更に興奮し、そのまま全部脱がされてレイプ…しかも相手は3人… 私は夢中になって両手を振りほどこうとしたが、先輩たちは同性の私がそんな酷いことになりそうだというのに、押さえた手を緩めてくれようとはしなかった。どこまで残酷な人たちなんだろう! 私は絶望した。 ヤンキーのひとりの指が、再びショーツに掛かり、太ももの真ん中辺りまで一気にずり下げた。 「いやあ~!」 私が叫ぶとほぼ同時に、凄まじい叫び声を上げながら、誰かが工場の敷地に走り込んで来た。そしてその勢いのまま、私を脱がしていたヤンキーに体当たりしたので、そいつは派手にひっくり返って伸びてしまった。 これに怯んだ女子たちの、私を押さえつける手が緩んだ隙に、ようやく振り解いて顔を上げると、それは兄だった。 だが、体は大きいが引きこもりで運動不足の兄は、あっというまにヤンキーふたりに捕まって殴られ、鼻血を出した。 それでも兄は怯まず、血に染まった長い髪を振り乱しながら、鬼のような表情でメチャクチャに手足を振り回し続けた。 そのうちの一発が偶然ヤンキーの顔に当たり、向こうも鼻血を出した所で 「やべぇ!コイツ、イカれてやがる!」 と言って彼らは一斉に逃げ出した。 女子の先輩たちも、すぐその後を追った。 6人がいなくなると、兄は安堵してその場にへたり込んでしまった。 私はそんな兄に縋り付き 「お兄ちゃんのバカ!なんでこんな無茶するのよ!」 と叫んだ。すると兄は、殴られて腫れ上がった顔で 「間に合ってよかった…」 と言って微笑んだ。 今なら分かる。私はこの時すでに、この兄に恋に落ちていたのだ。 だが恋愛にオクテで子供だった私はそのことに気づかず、ただ助けてくれた兄に深く感謝しただけだった。 ボロボロになった私達が、帰宅してお互いの傷の手当をしていると、母が帰宅し、事情を聞くと半狂乱になった。 すぐに学校と警察に連絡したので、逃げた6人はその日のうちに逮捕され、女子の先輩たちは、二度と学校に戻って来なかった。 私は危ない所でバージンを守ることができ、イジメから開放された。 兄のおかげだった。
21/06/04 15:10
(Wz9.NyVq)
投稿者:
(無名)
綴亜を期待します!
21/06/05 05:26
(1G9UVRB4)
投稿者:
県産クマ
続きお願いします。
21/06/05 19:43
(zVSiG6G9)
投稿者:
彩夏
この事件のあとも、兄の不登校は続いた。
両親は心配し、毎晩のようにリビングで夜遅くまで対策を話し合っていた。 『私がなんとかしなきゃ…』 当時兄は、血のつながった父親よりも、私に心を開いているように見えたし、普通に部屋に入れてもらえるのも私だけだった。 それに何より、兄には助けてもらった恩義がある。 ある秋の夜、私は意を決して兄に聞いてみた。 「お兄ちゃん、なんで学校行かないの?」 すると、パソコンの画面に向かっていた兄は振り向き、自信ありげに 「学校なんて行かなくたって、コイツさえできれば生きて行けるさ!」 と言った。 「ゲーム?」 「プログラミングだよ。いろんな会社で使うソフト作ったりとか」 私には正直よく分からない話だったが、パソコンにすごく詳しくなれば、学歴とか関係なく立派な会社で働ける、という意味だろうと想像した。 「でもさ、どんな会社で働くにしたって、そこの人たちとお話しなきゃでしょ?お兄ちゃんもう半年以上、家族以外と話してないじゃん」 私は中1の未熟な頭を精いっぱい働かせ、兄にこのままじゃマズイということを分かってもらおうとした。 すると兄は立ち上がり、ベッドの上に寝そべると 「分かってるよ!多分、そういうことなんだろうな」と言った。 「でもなぁ、入学してすぐに行かなくなっちまって、いまさら行ってもなんて言われるか…」 私は少し安心した。兄も、学校へ行った方がいいと思ってはいるのだ。それなら必要なのは、勇気とキッカケ… すると兄は 「セックスでもすれば…」 と呟いた。私は耳を疑った。私たちは年が近い、思春期の男女だったが、それまでふたりのあいだで性に関する話や雰囲気は全くなかったからだ。少なくとも私はそう思っていた。 だが兄は続けて 「俺、まだ童貞だからさ、女の子とセックスできれば、世界が変わるんじゃないかと…そしたら、今までと違うこともできるような気がする…」 聞き間違いではなかった。 私は平静を装い、話を合わせることにした。 「それって、お金とか払って?」 すると兄は首を横に振り 「金で身体を売るような女なんて、触りたくもない」と言った。 「それなら、まずは彼女作らなくちゃね」 私は口ではそう言ったものの、引きこもり生活でますます太り、髪を伸ばした兄と交際してくれる女子がいるとは思えなかった。外へ出ないので、出会いのチャンスもない。 『中学か高校の同級生で、お兄ちゃんがこうなってることを心配している、優しい女の子とかがいれば…』 私が幼稚な頭で、そんな少女マンガみたいな可能性を検討していると、いきなり兄が立ち上がり、抱きすくめられた。 「彩夏、俺、お前としたいんだ。初めて見た時から好きで…だから…俺のことどう思う?男として…」 私はビックリして、すぐには言葉が出なかった。 兄のことは家族としては好きだし、助けてもらったことは、心から感謝している。でも、男の子としては… 『ゴメンね、お兄ちゃんのことは好きだけど、そんな風に考えたことなくて…少し落ち着いて考えさせて』 そんなセリフが頭に浮かんでいたのに、口から出てきたのはまるで違う言葉だった。 「お、お兄ちゃん、ダイエットして!」 「ダイエット?」 「私、太ってる人ダメなの。でもお兄ちゃんがガンバってスマートになってくれたら、そしたら、私…」 「や、やせればいいんだな?よし!」 兄は私を離し、机に向かって何かを書き始めた。ストレッチ、筋トレ、ウォーキング…それは、ダイエットのための運動メニューだった。 兄の真剣なようすを見て、私は早くも後悔していた。 『これだけ太ってるんだから、そう簡単にやせる訳ないと思うけど、もし本当にダイエット成功しちゃったら、どうしよう…』 その夜、夕食の席で、兄は両親に決意表明した。 「俺、ダイエット始める。今80キロだけど、65キロまで減らせたら、学校行く!」 両親は喜び、母は食事面でのサポートを約束した。ふたりとも、15キロものダイエットが簡単にできるとは思っていなかったが、兄の考えが前向きになったことを歓迎したのだ。 私はそれを、引きつった作り笑顔で見ているしかなかった。 翌朝から、兄のダイエットが始まった。
21/06/06 22:42
(FwySJIr3)
投稿者:
彩夏
兄たちと一緒に暮らすようになってから、兄が運動している姿など一度も見たことなかった私は、兄がストレッチや筋トレを始めても、すぐに挫折するだろうと思っていた。
だが、本来の兄は真面目で努力家なのだ。勉強もすごくよくできる。これと目標を決めれば、地道に着実に頑張り続けられる。それに、自分にとって最も効果的で、ムリなく続けられるダイエット法をネットで探して実行していたので、順調に成果を上げていった。最初の1ヶ月でなんとマイナス5キロ。私は焦りだした。 『どうしよう。このまま行ったら私、お兄ちゃんと…』 2ヶ月目に入ると、さすがに減量がペースダウンして来た。すると兄は今度は 「やっぱり有酸素運動しなきゃダメみたいだ」 と言い出し、あんなに外出を嫌っていたのに、屋外でウォーキングを始めた。運動のジャマだからと、髪も短くして、メガネもコンタクトに変えた。それだけでもずいぶん見栄えが良くなったが、だからといって急にイケメンに変身する訳ではない。少女マンガじゃないんだから。 ウォーキングはやがてジョギングに変わり、距離も時間もどんどん延びて行って…ダイエット2ヶ月目にしてマイナス11キロ!私はいよいよ追い詰められた。 『お兄ちゃんのことは家族として好きだし、助けてもらって感謝してる。でもセックスはいや!まだ中1なのに、愛してない人とするなんて…』 『なんとか、お兄ちゃんにセックスだけは諦めてもらえないかな…ちゃんと、私もお兄ちゃんがスキって言って、キスとかしてあげて、外でデートもして… お兄ちゃんは優しいから、それで許してくれるかも。でもそれだけじゃ、学校へ行く勇気までは出せないんじゃ…あんなにダイエット頑張ってるのに…』 そんなことを堂々めぐりに考えているうちに、兄に先手を打たれてしまった。 ある晩兄が私の部屋へやって来た。私はよく兄の部屋に入り浸っていたが、兄が私の部屋へ来るのは珍しかった。 「どうしたの?」 「ああ、今体重計乗ったら67 キロだった。あと2キロ…」 「すごいじゃない!よくがんばったね!」 「彩夏、俺、怖いんだ。65キロになったら学校行くって…でも俺、入学してすぐ行かなくなっちゃって、まるで高校のやつらが気に入らなかったみたいに…」 「ホントは、そうじゃなかったんでしょ?」 「でも今更俺が顔出したらなんて思われるか…見た目だって結構変わっちまったし…」 私は兄の決心が揺らいでいると感じ、反射的に励ましてしまった。 「お兄ちゃん、そうじゃないでしょ?」 「…彩夏?」 「65キロになったら私と…するんでしょ?」 「私として、ドーテー卒業したら、学校行く勇気が出るかもって…まだしてないのに、怖いのは当たり前だよ!」 「でも彩夏、ホントにいいのか?俺なんかと…」 「私はもう、カクゴ決めてるよ。お兄ちゃんは?私とするの、怖くなった?」 兄はとんでもない!と言うように、大きく何度も首を横に振った。 「よ、よし!もう一度…」 そう言うと兄は、その日2度目のジョギングをするため、部屋を出て行った。 その背中に向かって「がんばって!」と声をかけたが、兄が出て行ってしまうと 『私のバカ!』と、ベッドの上で頭を抱えたのだった。
21/06/14 11:39
(Kh0m70/y)
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