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1:可愛い弟子 30
投稿者:
タカ
◆mqLBnu30U
世の中に、こんな人間がいるなんて信じられない・・・。
ドアを開けた瞬間から、危険な匂いを感じてはいた。 『そのガキも連れて行けよ。』 出掛けにトリヤマから、そういわれたとき、わたしはそれをめずらしいこととは思わなかった。 誰もこの子の面倒なんてみたがらない。 ひとりにするほうが心配だったから、仕事に出掛けるときは、いつも一緒に連れて行った。 トリヤマも、最初の頃は渋い顔をしていたくせに、泣き出したこの子をあやすわたしを犯したがる男たちが意外と多くいるとわかると、文句をいわなくなった。 ミルクをあげたり、おしめを替えたりしながら、わたしは犯された。 母乳なんか出もしないのに、乳首に吸いつかせたがる男たちも多くいた。 誰もがみんな、この子の世話をするわたしを面白がって弄んだ。 だから、この子を一緒に連れて行くことなんて、全然めずらしい事なんかじゃなかった・・・。 蛇のような冷たい目で見下ろしていた。 はじめて指名してきた客だった。 アイツはわたしをひと目見るなり、にやりと口元を歪めて笑った。 視線は、すぐに腕の中で眠っていたあの子に落とされた。 薄気味悪い笑みに嫌な予感を覚えた。 あの子をベッドに寝かせるなり、すぐに裸にされた。 じっくりと眺める人が多い中でめずらしいタイプの男だった。 危険な匂いを感じていたから、されるがままになっていた。 わたしを裸にしてしまうと、自分の唾で濡らしただけで無造作に入れてきた。 横柄な態度はめずらしいことじゃなかったけれど、まったく観察をしないことに訝しさを感じてはいた。 わたしを買う男たちは、物珍しさからしばらくは目で犯す。 隅々まで眺めてから、最後に指で開いて、性器の奥をじっくりと確かめる。 全然できそうにないスリットの奥に暗い空洞を見つけて、悪魔の笑みを浮かべる。 その穴を無理矢理塞ぐ自分の姿に酔い痴れ、それから思いつくままに嬲りはじめる。 ほとんどの男がそうする中で、あの男はそれをしなかった。 なにか違う目的があるのかもしれない。 うつ伏せでお尻から犯されながら、わたしはぼんやりとそんなことを考えていた。 堅くなったものを何度も奥深くまで差し込まれた。 ぐいぐいと入れてきて、それはまるで動きを封じるために楔を打ち込もうとしているかのようだった。 髪を鷲掴みにされ、乱暴に唇を貪られているときに、不意に口移しで何かを飲まされた。 力ずくであごを掴まれ、吐き出すことはできなかった。 あいつは、わたしの口を塞いだまま、激しく腰を叩き続けた。 ニヤニヤと笑うあいつを下から眺めているうちに、次第に皮膚の感覚が敏感になっていき、逆に意識はぼんやりとかすむようになって、なにか得体の知れないクスリを飲まされたと気付いたときには遅かった。 やがて自分を制御することができなくなり、何度も深い波に呑み込まれて、わたしは途中で意識が途絶えた・・。 次に目覚めたときは、床の上に転がされていた。 ひどく頭が重くて、どこにいるのかもすぐには思い出せなかった。 ゆっくりと辺りを見回して、ぼんやりと向けた視線の先にあの男がいるのに気付いて、まだ部屋の中であるのを知った。 あの男は、ベッドの脇に膝を付いていた。 両手になにかを握り締め、しきりに黒い頭を上下させていた。 初めは何をしているのかも、わからなかった。 徐々に意識がはっきりしだして、あいつの手に握っていたものが、あの子の足だとわかったときは叫ぶより先に身体が動いていた。 あいつは、裸にしたあの子のか細い足首を握って、股間に顔を埋めていたのだ。 なんてことを! まだ、こんなに小さな子なのに! まだ、赤ちゃんでしかないのに! なんて恐ろしいことを! 「やめてっ!!!」 フラフラと足元のおぼつかない身体で力の限りぶつかって、すぐにあの子を奪い返そうとした。 「どけよ・・・」 けれど、取り戻す暇もなく、髪を掴まれて引き離された。 わたしを見おろすあいつの目は普通じゃなかった。 怒りに顔が豹変して歪みきっていた。 「どけっ!!」 髪を掴まれたまま、もの凄い力で振り回されて壁に叩きつけられた。 したたか頭を打ち付けて意識を失いそうになったけれど、目を閉じたりはしなかった。 「邪魔すんじゃねえよ・・・」 あいつは、わたしを見おろしながら、床に落ちていたジャンパーからナイフを取りだしてそれを見せつけた。 「コレはもらっていくからよ・・・。俺が仕込んでやるよ・・・。初モノは俺がいただくんだ・・・。へへ、最年少記録にチャレンジしてやる・・・。面白えオモチャに仕込んでやるからな・・・。赤ん坊を連れてくる蝶がいるとは聞いていたが、まさか本当だったとはな・・・。おかげで面白いもんが手に入ったぜ。安心しな・・。大事に育ててやんよ・・。ちゃんとド変態の淫乱メス犬にしてやっからよ・・・・。」 あいつは声を出して笑った。 人間とは思えない薄気味悪い笑いだった。 人の心をなくした化け物がそこに立っていた。 「だから、俺の邪魔すんじゃねえよ・・・。今度邪魔したらマヂで殺すぞ・・・。」 髪を掴まれて、仰け反らせる首筋にナイフを押し当てられた。 チリチリと鋭い刃先が薄い皮膚をわずかに裂いた。 「許してください・・・・この子だけは許してください・・・」 精一杯憐れみを乞うように涙を流して懇願した。 膝を付いて、すすんでペニスを口にしていくと、あいつは勝ち誇ったように薄ら笑いを浮かべた。 「ふん、馬鹿ガキが・・。最初からそうしてりゃいいんだよ・・。そうやってテメエはしゃぶってろ・・。こいつはまだ使えそうにねえから、取りあえずお前の口の中に出してやんよ・・。俺が舐めてる間、しゃぶり続けてろ・・・。」 あいつは、わたしを脅したら何もできなくなる普通の女の子だと思い込んでいたのに違いない。 手荒な客なんていくらだっていた。 誰もわたしたちを人間としてなんか扱ってくれない。 油断したのが命取りよ。 また、あの子の足首を掴んで拡げようとした。 させるはずなんてなかった。 あいつの手にはナイフが握られたままだったけれど、怖くなんてなかった。 『てっ!おい!・・ぎゃあぁぁあぁぁっ!!!!』 食い千切るつもりで噛みついていた。 本当に噛み切ってやろうと思った。 こんな奴がいるから、わたしたちはいつまで地獄から抜け出せない。 こんな奴らのせいで、わたしたちは人間として生きていくことができない。 すべての恨みをあいつにぶつけていた。 鋭い衝撃がこめかみを襲った。 ナイフの柄で殴られていた。 意識を失いそうになったけれど、わたしはそれにも耐えた。 「い、痛えよっ!!助けてくれ!」 わたしは我慢したのに、あいつは我慢できなかった。 無様に床の上をのたうち回っていた。 血まみれになった股間を両手で押さえながら、涙まで流して助けを求める姿は、憐れというより滑稽でしかなかった。 ナイフなんか持っていたって、それを使う勇気なんてありはしない。 所詮、こいつ等なんてその程度でしかない。 床に落ちていたナイフを拾いあげた。 こめかみを殴られても、わたしは我慢できたのに、あいつは痛さのあまり放り投げたのだ。 噛み千切ってなんかいなかった。 たぶん歯形がちょっと残っただけだ。 それなのに大騒ぎして、なんて情けない・・。 目の前を泣きながら入り口に向かって這っていくあいつを見おろしていた。 まるで芋虫みたいだった。 こんな奴、人間なんかじゃない。 虫以下の価値もない。 躊躇いなんてなかった。 背中に馬乗りになって、ナイフを握る両腕を振り上げた。 「お前なんか消えちゃえっ!!」 振りおろした手に、肉が食い込む感触はなかった。 だから、何度でも振り下ろすことができた。 あいつは這い回りながら必死に逃げようとしたけれど、わたしはどこまでも追いかけて刺しつづけた。 視界が真っ赤になっても、全然気にならなかった。 声も出せなくなって、必死に腕を伸ばしながら逃げようとするあいつが面白くて仕方なかった。 「いなくなれっ!いなくなれっ!いなくなれっ!」 本当に消えてなくなってしまえばいい。 それは、自分に向かっていっていたのかもしれない・・・。
2015/05/06 22:50:57(mGZ6plbY)
投稿者:
タカ
◆mqLBnu30U
――第36話――
目があの人によく似ていた。 レンズ越しだったけれど、本当に彼女にそっくりな瞳だった。 だから、思い出してしまった。 そして、思わず彼女の誕生日と名前を口にしてしまった。 「7月22日・・・シホ・・・」 何度も彼はつぶやいていた。 もしかしたら、本当にシホお姉ちゃんのお父さんだったのかもしれない。 そんなことを心の中で少しだけ思ったりしたけれど、それは自分で打ち消した。 この絶望的な世界にそんな奇跡的なお話しなんてあるわけがない。 でも、彼の中に彼女の面影を見いだしていたのは確かだ。 わたしをずっと守ってくれたあの優しい瞳に再び出会えて、嬉しかった。 だから、わたしはこの人たちを信用する気になったのかもしれない。 「あの男が君を買ったんだね?」 それからも病室での取り調べはつづいた。 わたしは素直に応じた。 事件のことは、主にシンドウと名乗る若い刑事が訊いてきた。 コトリが乱暴されそうになったことも、あいつが先にナイフを出したことも、刺しているときのことはよく覚えていないなんて、ちょっとだけ嘘もついたけれど、話せることはすべて話した。 「なぜ、あの部屋に行ったの?」 正直にセックスをしに行ったと答えた。 「誰かに命令されたの?」 そう訊かれて、わたしは黙った。 「君以外にも、同じようなことをしている子はいるのかい?」 それにも答えなかった。 無理強いはしないと決めていたのか、わたしが答えに詰まると、二人は顔を見合わせるだけで深く追求したりはしなかった。 「コトリちゃんのお父さんは誰?」 シホお姉ちゃんと同じ目をした彼が訊ねた。 わたしは唇を結んだまま、それにも答えなかった。 でも、彼はわたしの表情から何かを読み取ったのかもしれなかった。 「コトリちゃんのお父さんは、君のお父さんかい?」 隣りのシンドウが驚いた顔になった。 驚いたのは彼ばかりじゃなかった。 心の中を読まれたような気がして、思わずわたしも彼を見つめていた。 その時のわたしは、本当に父のことを考えていたからだ。 「そうなんだね?」 わかってるといいたげな顔だった。 思わず頷いてしまったのは、父がこのまま大人しくしているわけがないと恐れていたからだ。 きっと、わたしたちを奪い返しにやって来る。 力ずくでわたしとコトリを、またあの地獄へ連れ戻しにやってくる。 だから、彼らに守ってもらいたかった。 「お父さんの命令で、こんなことをしているのかい?」 胸に染み入るような優しい声だった。 わたしは自然と頷いていた。 「そのお父さんは、どこにいるんだい?」 答えてしまいたかったけれど、それだけはできなかった。 そんなことをしたら、わたしだけじゃなくコトリまで殺されてしまう。 「なんて父親だ!」 押し黙ってしまったわたしを見て、若いシンドウという刑事があからさまに怒りを露わにした。 「シンドウ君、今日はここまでにしよう。この子もいきなりでは疲れてしまう。そろそろこの辺で休ませてあげよう・・」 シホお姉ちゃんと同じ優しい目をした彼は、いつでもわたしのことを気遣ってくれた。 でも、彼に気を許してはならないと思ったのは、聞き取りを終えてシンドウという刑事が部屋を出て行った後に、そっと彼がわたしに耳打ちしたからだ。 「シホちゃん。今はそう呼んでおくよ・・・。いずれ本当の名前を教えてくれると嬉しいな・・・。その日が来るのを楽しみにしてる・・・。そして、シホという女の子のことを君が教えてくれる日もね・・・」 彼は、にこりと微笑むとわたしの頭をそっと撫でた。 「僕の名前は重丸だ。これから君とコトリちゃんの面倒を見させてもらう」 迷いもせずに、じっとわたしを見つめていた。 「困ったことがあったら、遠慮しないで、なんでもいってくれ。僕には絶対に君たちを幸せにしなければならない義務がある」 絶対といういい方が気になった。 どうして?と訊いた。 彼とは出会ったばかりで、深い関わり合いなんてなかった。 わたしの問いかけに重丸と名乗った男は躊躇うことなく答えた。 「僕は、君たちのお父さんだからだ」 彼女と同じ、慈愛に満ちた瞳の男は、わたしの頭をひと撫ですると、にこりと笑って部屋を出て行った。 それからも病室での取り調べはつづいた。 コトリは、わたしと同じ部屋で眠ることを許されて、わたしは束の間幸せだった。 シンドウと重丸が聞いてくることに、答えられることは答えた。 でも、Thrushの存在や、そこでわたしたちが何をしていたのかは黙秘しつづけた。 売春は父親に強制されたものと判断され、質問は次第に父親の所在とホテルでの刺傷事件に関することだけに限定されるようになっていった。 驚いたことに、彼らは父たちの犯罪にまったく気付いていなかった。 だから、わたしがうっかり口でも滑らせようものなら、それはたちまちセンセーショナルな事件に発展していったのかもしれない。 何度か警察署にも連れて行かれて、わたしは調書を取られた。 取り調べは、主にシンドウが行った。 都合の悪いことはすべて黙秘した。 父への恐怖が、わたしに口を開かせなかった。 コトリに乱暴しようとしたあの男だけは、どうしても許せなかったから、話せることはすべて話した。 「ミコシバ」と名乗る刑事が立ち会ったとき、無理矢理じゃなかったのか?とおかしなことを訊ねた。 そして、トランクは奴が持ち込んだんだろう?とわたしに同意を求めた。 わたしは、あいつにつけられた首筋の傷を見せた。 そして、いきなり部屋に連れ込まれて乱暴されたのだといって泣いた。 ミコシバは、その証言を絶対に覆すな、と泣き伏せるわたしを見ながら笑っていた。 シンドウは、その場にいなかった。 わたしとコトリは、重丸に付き添われて養護施設に預けられることになった。 まだ取り調べは残っていたけれど、ひとまず平和な日々がわたしたちに訪れた。 このまま無事に過ごせればいい、なんて思っていたけれど、結局わたしは父の元に帰ってしまった。 あの人が奪い返しに来たとき、わたしは自分の意志で父の元に走ってしまったのだ。
15/06/08 10:53
(PGv6IB01)
投稿者:
タカ
◆mqLBnu30U
――第37話――
あのホテルでの事件から2ヶ月ほどが経っていた。 わたしとコトリは、「あすなろ園」という、特別養護施設に送られていた。 そこは犯罪に関係した子供や、緊急に避難を必要とする特殊事情のある子供たちばかりが集められた養護施設で、生後間もない子でも不自由することがないようにと、保育器や授乳の設備も完備された特別な施設だった。 他の養護施設と比べても、ベテランの職員ばかりが配置された比較的規模の大きな施設で子供たちの数も多かった。 犯罪に関わっていても、特別な事情があっても、やっぱり子供の中にいれば子供は子供らしくなる。 わたしは久しぶりに笑顔を取り戻していた。 コトリは保育ルームに預けられて、ベテランの職員たちが毎日面倒を見てくれていた。 だから、わたしは安心して授業にだけ専念すればよかった。 知能検査をされた後に、わたしだけが特別授業を受けることになった。 まだ12歳だったけれど、知能はすでに大学入試ができるほどのレベルにあった。 客を待っている間は、何もすることがなかったから、父に頼んで勉強することを許してもらっていた。 それまで以上に客を取るという条件付きだったけれど、あのThrushの中でわたしだけが活字を読むことを許された。 わたしは父が買ってくれた本を、暇さえあれば貪るように読み耽った。 気のいいお客さんのときは、セックスをしながら本を眺めたりもした。 中には内緒で、こっそりと本の差し入れをしてくれるお客さんもいた。 暗記が得意で、計算も速かった。 だから、その才能に気付いた父は、途中からわたしに帳簿を任せるようになった。 おかねの出入りは、すべて把握していた。 お客の名前から住所から電話番号まで、全部暗記していた。 だから、父がわたしをあのまま放っておくはずなんてなかった。 でも、なかなか父はアクションを起こさなかった。 あの人にはわかっていたのだ。 わたしが堪えきれなくなることを・・・。 重丸が妙な噂を耳にするようになったのは、シホとコトリをあすなろ園に預けてから、まだひと月も経たない頃だった。 「不純異性交遊?」 「え、ええ・・、職員の間で噂になっています。」 児相のオフィスで、いつものように事務仕事をしているときに同僚の職員からその話はもたらされた。 「シホちゃんが子供たちと?」 重丸の問いかけに、その職員は困ったような顔をしながら、バツが悪そうに答えた。 「それが、どうも子供たちばかりではないらしくて・・・」 歯切れの悪い彼を追求してみると、シホと関係が囁かれているのはどうにも子供たちばかりではないらしく、園の職員も複数関係しているようだという。 「それが事実ならとんでもないことだぞ!」 重丸は、にわかに気色ばった。 子供を擁護するべき立場にあるものが、彼らを食い物にしている。 断じて見過ごせる話しではない。 「まだ、事実関係ははっきりしていませんが、取り敢えず主任には報告しておきます。」 部屋を出て行く部下の背中を苦々しい思いで眺めながら、重丸は早急にあすなろ園に足を運ぶ必要があると考えた。 だが、やはりここでも重丸は後手を踏むのだった。 心が平和になると、ひとは新たな刺激を求めるものらしい。 園での生活に不満なんて何もなかったけれど、その頃のわたしにたったひとつだけ枯渇しているものがあった。 男だった。 まだ子供のくせに、身体は毎晩のように男を欲しがった。 わたしは、そんな女の子になってしまっていた。 自分で慰めて我慢できたのも最初のうちだけで、すぐに物足りなさ覚えるようになると目星をつけた年上の男の子たちを誘うようになった。 夜中に彼らに教えたりもしたけれど、それにもすぐに満足できなくなってしまうと、今度は男性職員を誘うようになった。 彼らは恐る恐るだったけれどわたしを抱いてくれた。 屈強に拒んでいた職員は色仕掛けで無理矢理落とした。 男なんてみんな同じだ。 どんなに高邁な職業を選んでいたって結局したがる事はなにも変わらない。 中年のベテランだっていたし、若い男性職員もいた。 初めは恐る恐るだった彼らも、わたしとのセックスに慣れてくると、それほど罪悪感も持たなくなり、そこそこ乱暴なセックスもしてくれるようになった。 けれど、わたしはそれでも満足できなかった。 いつも頭の片隅にあったのは父の姿。 彼の逞しいものを思い出すだけで、わたしは濡れた。 他の男に抱かれながらも、頭の中ではいつも父に犯される自分を思い描いていた。 わたしを完膚なきまでに陵辱し、支配してくれたひと。 畏れと郷愁に苛まれたあの時期を、ひとはなんと呼ぶのかわからない。 決して帰りたいと願っていたわけじゃなかったけれど、でも、父に抱いてもらいたいと願う気持ちは日に日に強くなっていき、わたしを父の幻影から逃さなかった。 あのひとには、いずれわたしがそうなるのがわかっていたのだ。 禁断症状が現れるように、わたしが父を欲しがりだすのがわかっていた。 だから、静観することができた。 そして、父は頃合いを見計らい、いよいよ仕掛けてきた。 わたしは為す術もなく、それから間もなくしてコトリを残したまま園を脱走することになる。
15/06/08 11:13
(PGv6IB01)
投稿者:
タカ
◆mqLBnu30U
――第38話――
最初から、わたしたちは父の手のひらの上で踊らされていただけなのだ。 父には、初めからなにもかもすべてお見通しだった。 久しぶりにシンドウに付き添われて、取り調べのために署を訪れたときのことだった。 シンドウがちょっと席を外した隙に、あの男は入ってきた。 ミコシバだった。 顔が青ざめていた。 「この日に迎えに行くそうだ・・・。仕度して待っとけとよ・・・。裏の木戸口のところだ。そこからお前とあの赤ん坊を連れだすとさ・・・」 日付と時間の書かれたメモを渡された。 「どうして、あなたが?・・」 信じられなかった。 味方だとずっと思っていた。 ミコシバは苦渋の表情を浮かべていた。 「俺だって定年が近えんだ・・。それに家族だって・・・」 そこまでいって彼は口を噤んだ。 わたしにはすぐにわかった。 きっとこのひとの家族に父が何かをしたのだ。 「脅されてるの?」 苦々しい顔でミコシバは奥歯を噛みしめた。 「定年後は孫娘と一緒に暮らしたいだろう・・だとよ。あのクソ課長もお前らのショーバイに一枚噛んでたとはな・・。どおりでボロを出しやがらねえはずだ。あのクソ課長がすべて情報を流してやがった。野郎は俺のこともすべて知ってやがったよ。お前らのことだって最初から向こうに筒抜けだったのさ・・・。」 「じゃあ、わたしたちがあすなろ園にいることも?」 「ああ、奴はあの施設に火を付けてでもお前を奪い返すそうだ。」 足が震えた。 父ならば、やりかねなかった。 結局わたしたちは、父の手のひらの上で踊らされていただけなのだ。 「おめえが素直に帰れば、施設には手を出さないそうだ。だが、拒めばあそこは地獄になるぞ・・。」 足だけじゃなかった。 唇までもが震えていた。 「自分で決めろとよ。素直に帰れば許してやるそうだ。拒めばその時は・・どうなるかは自分で考えろ・・・。」 苦々しい顔だった。 それはわたしを恨んでいるというよりも、すべてを恨んでいるといいたげな顔だった。 「何を・・されたの?」 父がこのひとの家族に何かをしたであろう事は薄々わかった。 「ああ?なにをだと?別に何もされちゃいねえよ。ただな、あのクソ課長からこういわれたのさ。お前にも生まれたばかりの孫娘がいるんだよな?あのクソガキがその住所を知ったら大変なことになるぞってな。オメエに刺されたあのガキだよ。俺は野郎が入院した病室でもねちねちとやったからな。野郎もさぞ恨んでたんだろうよ。あからさまに俺を罵りもしやがった。でっち上げまでして野郎をぶち込もうとしたのに、それにも失敗して、結局無罪放免になっちまいやがった。まったく政治家ってえのは恐ろしい力を持ってやがるもんだ・・。たんなる被害者になっちまったんだから拘束なんてできるはずもねえ。」 彼の肩が震えていた。 「俺だけなら、どうなったってかまやしねえ。だが、孫だけは駄目だ。あの子だけは絶対に駄目だ。地獄なんか見せられるわけがねえ・・・。お前の赤ん坊みたいにさせたくねえんだ!」 恨みに血走った目で睨まれて、わたしは息を飲んだ。 「あのガキが無罪放免になってすぐだよ。トリヤマって野郎が俺の前に現れて、テメエを逃がすための手引きをしろとよ。おとなしくいうことを聞けば、あのガキを孫には近づけねえと約束した。あのガキが無罪放免になった時点で俺は負けてんだよ。俺に選ぶ答えなんか残されちゃいねえのさ。」 彼が自嘲気味に笑ったのは、自分の無力さを呪ったからかもしれない。 「わかったら、おとなしくその日付にあの園を出ろ。そうすりゃすべてが丸く収まる・・・。」 彼は、最後までわたしの目を見なかった。 「恨んでもらってもかまわねえよ・・・。だがな、薄汚れちまったオメエよりも、俺は孫を綺麗なまま守ってやりてえんだ・・。それだけは、わかってくれ・・・。」 ずいぶんとひどいことをいう。 でも、その時のわたしは、彼を恨む気持ちにはなれなかった。 「おじさん。トリヤマに伝えて。約束の日にわたしは園を出るわ。その代わり・・。」 父に会いたくなかったかといわれれば嘘になる。 確かに、もう一度可愛がってもらいたい気持ちは強かった。 でも、その時のわたしは、そんなことよりも違うことを考えていた。 結局、父からは逃げられない。 ならば、従うしかない。 おとなしく従う代わりにひとつだけ交換条件を出した。 それを父が呑むかどうかは、賭けだった。 約束の日、わたしは指定された時間に木戸口の裏に立った。 ひとりだった。 コトリは置いていくと決めていた。 あの子にはまだ早い。 それに誰も面倒なんて見てくれない。 連れて歩けば見つかる可能性も高くなるし、また同じようなことをする客が現れる危険性だってある。 だから、あの子は置いていく。 それが、父に出した条件だった。 施錠を外すなんてトリヤマ達には簡単なこと。 ガチャガチャと音がして、すぐに木戸口の戸は開かれた。 そこに待っていたのは、トリヤマとタンと父の3人。 「ずいぶんと遊んでたな・・・。客が首を長くして待ってるぞ・・。」 父は怒りもしなかった。 わたしがひとりなのを見ても、なにもいわなかった。 いずれ奪い返せる。 あの子は、父の子供。 なによりも大事な父の血を受け継ぐ、たったひとりの愛しい娘。 父にしてみれば、こんな所から奪い返すなんて、簡単なことと思えたに違いない。 だから、条件を呑んだ・・。 「ああっ!!お許しくださいっ!!・・・お許しくださいっ!!」 Thrushに戻って、最初に待っていた客は、あの男だった。 「この糞ガキがっ!俺のものを噛みやがってっ!ぶっ殺してやる!」 逆さ吊りにされて、鞭で打たれた。 膣が裂けそうなほど大きなバイブを押し込まれて、何度も気を失った。 「ぼっちゃん、その辺で許してやっちゃくれねえかい?これでも、うちじゃ一番の人気商品なんだ。代わりはちゃんと用意してやるからよ、その辺でもう勘弁してくれや・・。」 父が取りなして、ようやくわたしは許された。 「なにもさらうなんてコトしねえで、最初からいってくれりゃよかったんだ。あんたのオヤジさんには、うちも世話になってるからよ、いってくれりゃ、ちゃんと用意してやったんだ。まあ、今回は痛み分けってことで、おとなしく引いてくれや・・・。」 すごんだ父に、あんな卑屈な男がかなうはずがない。 「テメエのせいで大事な商品をひとり持っていかれた・・・。あんなクズ野郎に手塩に掛けた娘をみすみす渡すハメになっちまったんだ。この代償はデケえぞ・・・。」 声も出ないほどぐったりとなっていたわたしの髪を掴んで、父はすごんだ。 「今まで以上に働け・・・、死にものぐるいで客を取れ・・。」 狂気を宿した瞳に睨まれて、わたしは唇を震わせながら頷いた。 素直になれば、父は怒らない。 「そうだ・・。良い子だ・・。お前は良い子なんだ・・。ちゃんとパパのために尽くせる子だ・・。そうだな?」 「はい・・・。」 「パパのためなら、なんでもできるだろう?」 「はい・・。」 「パパのことが、大好きでならないんだよな?」 「はい・・。」 知らず知らずに涙が溢れていた。 ずっと小さな頃から、父にささやかれてきた言葉。 父のためならば、なんでもする。 どんなことでも、我慢する。 わたしたちはそうやって、幼い頃から躾けられてきた。 泣いたのは怖かったからじゃない。 優しい父が、目の前にいたからだ。 「痛かったか?」 「うん・・。」 「パパに可愛がってもらいたいか?」 「うん・・。」 「パパに愛してもらいたいなら、愛してるというんだ。」 「愛してます・・」 「どのくらい?」 「世界中の誰よりも愛してます・・。」 「パパが一番いいか?」 「はい。」 「お前は、誰のものだ?」 「パパのものです・・・。」 父に愛してもらうための通過儀礼。 絶対服従を近い、心を込めて懇願する。 そうしなければ、愛してもらえない。 「パパっ!パパっ!!」 痛みなんかなかった。 背中の痛みも、アソコの痛みも、父に愛してもらえるなら、すべてが消える。 それだけの気持ちよさを与えてくれる。 「ああっ!!パパっ!気持ちいいよっ!気持ちいいよぅっ!!!」 どうしようもないほどに狂わされて、愛された。 そうやってずっと父に飼われていたわたしたちに、逆らう術なんてありはしなかった。 「なんでもしますっ!パパのためなら、なんでもしますっ!」 わたしたちは父の奴隷。 「なんでもするからもっと愛してっ!どんなことでもするから、もっと可愛がってっ!!」 父のためなら、なんでもするセックスドール。 それが、あのホテルにいたわたしたち・・・。 それからの4年間、あの重丸の手引きで逃げ出すまで、わたしは父に尽くし抜いた。 命じられるままになんでもした。 疑問に思い、躊躇ったこともあるけれど、父に愛されたあの時間は、確かにわたしにとって、幸せと呼べるひとときだった・・・。
15/06/08 11:19
(PGv6IB01)
投稿者:
タカ
◆mqLBnu30U
――第39話――
「バカヤロー!!てめえらっ!何考えてやがるんだっ!」 いきなり夜空の下に響きわたった怒号。 「だから、途中で捨てろって、いったじゃねえか・・」 目的地すぐ傍にあるバチンコ屋の駐車場の中だった。 「オメエだって、もったいねえって、いってたろう・・」 時間は、ちょうど深夜になる頃で、辺りに車の影は一台もない・・・。 「なんなんだ、そりゃ?・・・。」 トリヤマが、ハマーH3の後部ドアを開けた途端に鼻を突いた生臭い匂い。 愁傷に顔を俯かせるタンとハツの膝の上で、丸い尻を剥き出しにして横たわっていた小さな女の子。 髪までべっとりと精液で濡らし、白に汚れきった小柄な身体は、死んだように動かなかった。 うつ伏せにされたまま、かすかに上下していた薄い背中。 「どっから拾ってきやがった!」 車を停めてからも、なかなか降りてこないのを訝しんで、ドアを開けてみればこの様だ。 「えっと・・1回目のパーキングで停まったときに、チョロチョロっと・・」 タンが頭を掻きながら答えた。 「1回目だとぉ・・」 1回目と言えば、およそ6時間前になる。 トリヤマの顔がすぐに引きつった。 「こ、この・・・バカヤローっ!!!」 なんてこった・・・。 6時間も前に拐かしたのなら、おそらく高速道路上に設置されたNシステムは、すでに捜索を開始している。 もしかしたら車両の特定もされて緊急配備もかけられているかもしれねえ。 とにかく帰りは高速を使えなくなった。 使えないだけならまだしも、高速を下りたインターまで特定されていたら、騒ぎを起こす時間も限られてくる。 アホだとは思っていたが、ここまでアホとは思わなかった。 いったい、オジキになんていえばいいんだ・・。 「どうしたトリ・・・でけえ声を出して・・」 言い訳を考える暇もなく、背中に立っていた。 「いや・・それが・・・」 口ごもるトリヤマの肩を押しのけて、和磨がハマーの後部座席に顔を突っ込んでいく。 「おお、だいぶ派手にやってるじゃねえか・・・。」 声に怒りはなかった。 「ヘヘ・・いや・・その・・」 「お楽しみのところ悪いが、ちょっと降りてこいよ・・」 タンとハツが顔を見合わせる。 ふたりは、いわれた通り車を降りて、和磨の前に立った。 「事務所を出るとき、トリはなんて言った?」 しょうがねえなといった顔をしながら、和磨は俯きかげんに笑っている。 「え・・・と・」 答える前に、鋭い蹴りがタンの腹にめり込んだ。 「おごぅっ!!」 「お前ら、耳はねえのか?・・」 今度は、千切れるほどにハツの耳が捻りあげられる。 「すっ、すんませんっ!!オヤジさん!!」 容赦のない蹴りはハツの腹にもめり込み、二人が悶絶して倒れると、とばっちりは箕田にも向かった。 「ミノ・・」 「へい・・」 「知ってて教えなかったテメエが一番悪い・・」 「へい。」 和磨の声に怒気はない。 それだけに不気味だった。 箕田は愁傷に俯き、両手を後ろに結んで、立った。 一見すれば、その姿はヤキを入れられるのを待っているかのように見える。 だが、隙はなかった。 和磨は薄く笑った。 こいつだけは、どこか違う。 とっくに気付いていた。 「反省は、これからの働きで返してもらう・・」 「へい・・。」 それだけをいって、和磨は箕田に背を向けた。 地べたに転がっているタンとハツを見下ろしながら、つま先でふたりの頭を軽く小突いた。 「いいか、よく聞け・・。さっそく、これからテメエらに一働きしてもらう。中身は簡単な仕事だ。ガキと女をかっさらってくる。それだけだ。オメエらには得意な仕事だろ?」 タンとハツは、ガキの頃から連む極悪コンビだ。 悪さばかり繰り返してきた挙げ句に人さらいのプロになった。 「荒事じゃねえ。粛々とやるんだ。粛々ってわかるか?こっそりやれってことだ。部屋に入るのはタンとハツ、オメエら二人だ。邪魔はいねえと思うが万一に備えてミノは後衛に回れ。俺とトリは車の中で待ってる。ドジ踏むんじゃねえぞ・・・。これ以上手間掛けさせやがったらテメエらほんとに殺すからな・・。」 淡々としゃべっているだけに恐ろしさは倍増した。 タンとハツは、歪んだ顔で和磨を見上げながら、何度も頷いた。 「こっからすぐそこのアパートだ。そこの2階にツグミとガキはいる。鍵の心配はねえ。どこに隠してあるかはわかってる。こっそりと忍び込んで素早くさらってこい・・・いいな?。」 目の前に立っていたのは人間の姿をしたティラノサウルス。 「俺は待ってるあいだ、お前らが連れてきた玩具で遊ばせてもらうことにするわ。いつまでも寝てねえで、さっさと起きろ。行くぞ・・」 言い終えて、和磨はハマーの中に顔を突っ込んだ。 後部座席に横たわっている少女を引っ張り出した。 「トリ・・あとはオメエが仕切れ・・・」 「へい・・。」 取りあえず新しい玩具があって助かった。 肩に少女を担いで和磨がベンツに戻っていく。 あの玩具がなければ、和磨の怒りは、トリヤマにも向かっていたことだろう。 転がっていたふたりが、のそのそと立ち上がる。 なんにせよ、このバカどものおかげで、時間はそれほどありそうにない。 「テメエら、今度勝手な真似なんかしやがったら、オジキの前に俺が殺すからな・・・」 ようやく立ち上がったタンとハツにトリヤマがすごんだ。 「それとな、ツグミをさらったらオジキの車に乗せろ。ガキはお前らのほうに乗せるが絶対に手なんか付けるんじゃねえぞ。ガキの初モノを食うのはオジキと決まってんだ、楽しみにしてるんだから、ちょっとでも手なんか付けたら、テメエ等なぶり殺しどころじゃ済まねえからな。それを忘れんな。」 万が一、女どもに手を付けたりしたら、今度こそ間違いなくこのふたりは消される。 「まったくバカどもが、手間ばっかりかけさせやがって・・・」 「すんません・・・」 しおらしく頭を下げる二人の足元につばを吐き、トリヤマは忌々しそうにベンツに戻った。 車内に顔を入れると、早速、和磨は後部座席で新しい玩具を弄んでいる。 「なかなか器量はいいな・・」 小さな頭を鷲掴みにしてじっくりと眺めた後、舌を長く伸ばして、まだ意識の戻らぬ少女の口を犯しにかかった。 いずれこのガキもオジキの傀儡にされる。 幸福だった過去も忘れて、ひたすらオジキを欲しがるだけの牝犬にされるのだ。 あのツグミのように・・。 ルームミラーで後部座席を確かめてから、トリヤマはベンツのキーを回した。 エンジンに火が入り、重厚なノイズが漆黒の闇に響きわたる。 さて、行くかい・。 すぐ、お迎えにいってやるからな・・。 待ってろよ、ツグミ・・・。 男たちの欲望を乗せた2台の車が最後の目的地を目指して、ゆっくりと動き出した。
15/06/08 21:17
(PGv6IB01)
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