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1:可愛い弟子 30
投稿者:
タカ
◆mqLBnu30U
世の中に、こんな人間がいるなんて信じられない・・・。
ドアを開けた瞬間から、危険な匂いを感じてはいた。 『そのガキも連れて行けよ。』 出掛けにトリヤマから、そういわれたとき、わたしはそれをめずらしいこととは思わなかった。 誰もこの子の面倒なんてみたがらない。 ひとりにするほうが心配だったから、仕事に出掛けるときは、いつも一緒に連れて行った。 トリヤマも、最初の頃は渋い顔をしていたくせに、泣き出したこの子をあやすわたしを犯したがる男たちが意外と多くいるとわかると、文句をいわなくなった。 ミルクをあげたり、おしめを替えたりしながら、わたしは犯された。 母乳なんか出もしないのに、乳首に吸いつかせたがる男たちも多くいた。 誰もがみんな、この子の世話をするわたしを面白がって弄んだ。 だから、この子を一緒に連れて行くことなんて、全然めずらしい事なんかじゃなかった・・・。 蛇のような冷たい目で見下ろしていた。 はじめて指名してきた客だった。 アイツはわたしをひと目見るなり、にやりと口元を歪めて笑った。 視線は、すぐに腕の中で眠っていたあの子に落とされた。 薄気味悪い笑みに嫌な予感を覚えた。 あの子をベッドに寝かせるなり、すぐに裸にされた。 じっくりと眺める人が多い中でめずらしいタイプの男だった。 危険な匂いを感じていたから、されるがままになっていた。 わたしを裸にしてしまうと、自分の唾で濡らしただけで無造作に入れてきた。 横柄な態度はめずらしいことじゃなかったけれど、まったく観察をしないことに訝しさを感じてはいた。 わたしを買う男たちは、物珍しさからしばらくは目で犯す。 隅々まで眺めてから、最後に指で開いて、性器の奥をじっくりと確かめる。 全然できそうにないスリットの奥に暗い空洞を見つけて、悪魔の笑みを浮かべる。 その穴を無理矢理塞ぐ自分の姿に酔い痴れ、それから思いつくままに嬲りはじめる。 ほとんどの男がそうする中で、あの男はそれをしなかった。 なにか違う目的があるのかもしれない。 うつ伏せでお尻から犯されながら、わたしはぼんやりとそんなことを考えていた。 堅くなったものを何度も奥深くまで差し込まれた。 ぐいぐいと入れてきて、それはまるで動きを封じるために楔を打ち込もうとしているかのようだった。 髪を鷲掴みにされ、乱暴に唇を貪られているときに、不意に口移しで何かを飲まされた。 力ずくであごを掴まれ、吐き出すことはできなかった。 あいつは、わたしの口を塞いだまま、激しく腰を叩き続けた。 ニヤニヤと笑うあいつを下から眺めているうちに、次第に皮膚の感覚が敏感になっていき、逆に意識はぼんやりとかすむようになって、なにか得体の知れないクスリを飲まされたと気付いたときには遅かった。 やがて自分を制御することができなくなり、何度も深い波に呑み込まれて、わたしは途中で意識が途絶えた・・。 次に目覚めたときは、床の上に転がされていた。 ひどく頭が重くて、どこにいるのかもすぐには思い出せなかった。 ゆっくりと辺りを見回して、ぼんやりと向けた視線の先にあの男がいるのに気付いて、まだ部屋の中であるのを知った。 あの男は、ベッドの脇に膝を付いていた。 両手になにかを握り締め、しきりに黒い頭を上下させていた。 初めは何をしているのかも、わからなかった。 徐々に意識がはっきりしだして、あいつの手に握っていたものが、あの子の足だとわかったときは叫ぶより先に身体が動いていた。 あいつは、裸にしたあの子のか細い足首を握って、股間に顔を埋めていたのだ。 なんてことを! まだ、こんなに小さな子なのに! まだ、赤ちゃんでしかないのに! なんて恐ろしいことを! 「やめてっ!!!」 フラフラと足元のおぼつかない身体で力の限りぶつかって、すぐにあの子を奪い返そうとした。 「どけよ・・・」 けれど、取り戻す暇もなく、髪を掴まれて引き離された。 わたしを見おろすあいつの目は普通じゃなかった。 怒りに顔が豹変して歪みきっていた。 「どけっ!!」 髪を掴まれたまま、もの凄い力で振り回されて壁に叩きつけられた。 したたか頭を打ち付けて意識を失いそうになったけれど、目を閉じたりはしなかった。 「邪魔すんじゃねえよ・・・」 あいつは、わたしを見おろしながら、床に落ちていたジャンパーからナイフを取りだしてそれを見せつけた。 「コレはもらっていくからよ・・・。俺が仕込んでやるよ・・・。初モノは俺がいただくんだ・・・。へへ、最年少記録にチャレンジしてやる・・・。面白えオモチャに仕込んでやるからな・・・。赤ん坊を連れてくる蝶がいるとは聞いていたが、まさか本当だったとはな・・・。おかげで面白いもんが手に入ったぜ。安心しな・・。大事に育ててやんよ・・。ちゃんとド変態の淫乱メス犬にしてやっからよ・・・・。」 あいつは声を出して笑った。 人間とは思えない薄気味悪い笑いだった。 人の心をなくした化け物がそこに立っていた。 「だから、俺の邪魔すんじゃねえよ・・・。今度邪魔したらマヂで殺すぞ・・・。」 髪を掴まれて、仰け反らせる首筋にナイフを押し当てられた。 チリチリと鋭い刃先が薄い皮膚をわずかに裂いた。 「許してください・・・・この子だけは許してください・・・」 精一杯憐れみを乞うように涙を流して懇願した。 膝を付いて、すすんでペニスを口にしていくと、あいつは勝ち誇ったように薄ら笑いを浮かべた。 「ふん、馬鹿ガキが・・。最初からそうしてりゃいいんだよ・・。そうやってテメエはしゃぶってろ・・。こいつはまだ使えそうにねえから、取りあえずお前の口の中に出してやんよ・・。俺が舐めてる間、しゃぶり続けてろ・・・。」 あいつは、わたしを脅したら何もできなくなる普通の女の子だと思い込んでいたのに違いない。 手荒な客なんていくらだっていた。 誰もわたしたちを人間としてなんか扱ってくれない。 油断したのが命取りよ。 また、あの子の足首を掴んで拡げようとした。 させるはずなんてなかった。 あいつの手にはナイフが握られたままだったけれど、怖くなんてなかった。 『てっ!おい!・・ぎゃあぁぁあぁぁっ!!!!』 食い千切るつもりで噛みついていた。 本当に噛み切ってやろうと思った。 こんな奴がいるから、わたしたちはいつまで地獄から抜け出せない。 こんな奴らのせいで、わたしたちは人間として生きていくことができない。 すべての恨みをあいつにぶつけていた。 鋭い衝撃がこめかみを襲った。 ナイフの柄で殴られていた。 意識を失いそうになったけれど、わたしはそれにも耐えた。 「い、痛えよっ!!助けてくれ!」 わたしは我慢したのに、あいつは我慢できなかった。 無様に床の上をのたうち回っていた。 血まみれになった股間を両手で押さえながら、涙まで流して助けを求める姿は、憐れというより滑稽でしかなかった。 ナイフなんか持っていたって、それを使う勇気なんてありはしない。 所詮、こいつ等なんてその程度でしかない。 床に落ちていたナイフを拾いあげた。 こめかみを殴られても、わたしは我慢できたのに、あいつは痛さのあまり放り投げたのだ。 噛み千切ってなんかいなかった。 たぶん歯形がちょっと残っただけだ。 それなのに大騒ぎして、なんて情けない・・。 目の前を泣きながら入り口に向かって這っていくあいつを見おろしていた。 まるで芋虫みたいだった。 こんな奴、人間なんかじゃない。 虫以下の価値もない。 躊躇いなんてなかった。 背中に馬乗りになって、ナイフを握る両腕を振り上げた。 「お前なんか消えちゃえっ!!」 振りおろした手に、肉が食い込む感触はなかった。 だから、何度でも振り下ろすことができた。 あいつは這い回りながら必死に逃げようとしたけれど、わたしはどこまでも追いかけて刺しつづけた。 視界が真っ赤になっても、全然気にならなかった。 声も出せなくなって、必死に腕を伸ばしながら逃げようとするあいつが面白くて仕方なかった。 「いなくなれっ!いなくなれっ!いなくなれっ!」 本当に消えてなくなってしまえばいい。 それは、自分に向かっていっていたのかもしれない・・・。
2015/05/06 22:50:57(mGZ6plbY)
投稿者:
独眼竜
タカ殿
もしや… 違っていたら失礼ですが… まりあの貴史殿…? マリア様が出てくる辺りそうかと… 違っていたなら失礼致しました ただ続きが楽しみです 大作の予感が…
15/05/07 19:23
(1EiPYbuk)
投稿者:
聖
5年振りですね!!
楽しみにしています。
15/05/07 22:38
(bDJBHM/E)
投稿者:
(無名)
タカさんお帰りなさい!
15/05/08 11:51
(i1Ibs7Hm)
投稿者:
(無名)
シホの妊娠ボテ腹セックスも描写してください!
15/05/09 16:27
(pgCPLzEP)
投稿者:
タカ
◆mqLBnu30U
――第35話――
お腹が大きくなっても、誰もわたしをいたわってなんてくれなかった。 それを理由にお客を拒むことも許してはもらえなかった。 迫りだしたお腹を面白がり、客は減るどころか、かえってわたしを指名する男たちは増えていった。 中には、わたしを責めながら、お腹の赤ちゃんを突き殺してやると脅す客さえいた。 無事に産めるなんて思ってなかった。 あのひとがいてくれなかったら、コトリはこの世に誕生していなかったかもしれない。 彼女だけが味方だった。 『シホよ・・』 とても綺麗な人だった。 ちょうどお腹が膨らみ始めた頃、わたしを救ってくれるかのようにThrushに現れた女神。 『よろしくね』 やって来たその日から、とても素敵な顔で彼女は笑った。 あんなに素敵な笑顔ができるひとを、わたしはあそこで初めて見た。 『大丈夫。ちゃんと産めるわよ』 まだ二十歳ぐらいのひとだったけれど、彼女には、わたしとたいして歳の違わない大きな子供がいた。 産んだのは、わたしと同い年くらいの頃だったと彼女はいった。 『よく覚えていないの・・・』 まだずっと小さかった頃、公園で遊んでいた彼女は、見知らぬ男に連れ去られた。 10年以上もの間、その男とふたりだけの暮らしを強要され、その間に彼女は女の子を産んでいた。 押し入れの中で苦しみながら、たったひとりきりで産んだのだという。 『わたしが教えてあげるわ。必要な物はね・・・』 わたしのお腹が大きくなっていくと、彼女はトリヤマたちにいって必要な物を揃えてくれた。 お腹の膨らみが限界に達して破水が始まったときも、おろおろとするだけのトリヤマたちを尻目に、息の継ぎ方を教えてくれたり、手を握りながら励ましてくれたり、ずっとそばにいてわたしを助けてくれたのはシホお姉ちゃんだ。 死ぬような思いでようやく産んだコトリを取り上げてくれたのも、また彼女だった。 『わたしと同じ誕生日ね』 産湯に浸けたコトリを丁寧に洗い、まだ生まれたばかりのあの子を腕に抱きながら、ぼんやりとしか目を開けられないわたしに彼女が教えてくれた。 『よく頑張ったわね・・・』 優しい瞳に見つめられ、愛しむように彼女に髪を撫でられながら、その時のわたしは、コトリが誕生したことよりも、彼女が傍にいてくれた喜びのほうが強かった。 すごく優しい瞳をしたお姉さんだった。 だからかもしれない。 レンズ越しだったけれど銀縁のメガネを掛けた男の瞳が彼女とよく似ていた。 ううん、似ているなんてものじゃなかった。 同じだった。 彼が誕生日からわたしの素性を探ろうとしていたのは気付いていた。 だからデタラメな日付を言おうとしたのに、口に出していたのはシホお姉ちゃんの誕生日だった。 彼の目が、あまりにも彼女と同じだったから、思わずいってしまったのかもしれない。 『マリア様の誕生日?』 小さなときにさらわれた彼女は、聖名祝日を誕生日と勘違いしていた。 『うん。でも聖母マリア様じゃなくてね、マグダラのマリアのほうよ』 『マグダラのマリア?』 『そう。マグダラのマリアはね、キリストの復活を見届けた女性といわれているの。キリスト、つまりイエス様が本当に愛した唯一の女性ともいわれているのよ。』 『そうなんだ。』 自分のことはあまり覚えていない彼女だったけれど、誕生日の由来だけは、はっきりと覚えていた。 母親から、絶対に忘れてはならないと、ずっといわれていたのだという。 『マグダラのマリアはね、愛してはならない人を愛してしまい、イエスの子供を産んだともいわれているの。それが聖杯伝説につながるんだけど、わたしも同じなのよね。』 『どういうこと?』 『わたしね、お父さんがいないの。お母さんが愛しちゃいけない人を愛してしまって、それでわたしができちゃったんだって。』 『じゃあ、お母さんのこと恨んでるの?』 『ううん、まさか。もう、はっきりとは覚えていないけれど、大事にしてもらった記憶があるわ。いつかお父さんに会わせてくれるって約束してくれたけど、でも・・・。』 彼女は涙ぐんだ。 『もう、お父さんに会えなくなっちゃった・・・。』 『どうして?』 『こんな汚れちゃった娘なんて、お父さんいらないよ。』 彼女は泣いた。 子供のように泣いた。 いつも笑顔を絶やさなかった彼女が、声を上げて泣きじゃくる姿を見たのは、そのときが初めてだった。 『お父さんに、会いたかった・・・。』 大粒の涙を流しながら、そういった彼女を見つめて、わたしは心底お父さんに会わせてあげたいと思った。 だから、彼女とあまりにも似た目をする銀縁メガネの男が、もしかしたら彼女のお父さんかもしれないと思ったときは、少しだけ心が揺れた。 けれど、わたしはその考えを自分の中で打ち消した。 彼女は暖かいところで生まれたといっていた。 だったら、こんな北の寒いところに、あの人のお父さんがいるわけはない。 『向こうから、連絡してきたのさ。』 シホお姉ちゃんがThrushへ来た理由をわたしは知っていた。 『女が邪魔だったのさ。』 父が教えてくれたのだ。 彼女は小さな頃にさらわれてから、以来、ずっと男のオモチャにされてきた。 押し入れの中に閉じ込められ、そこから出されるときは必ずセックスを強いられ、それを撮影したビデオを売ることで、男は生活の糧を得ていたという。 小心で卑屈な男だったけれど、それだけに用心深く、逃げるように転々と引っ越しを繰り返したそうだ。 『どうして逃げなかったの?』 シホお姉ちゃんに聞いてみたことがある。 外に出るチャンスがあったのなら、逃げ出すことはいくらだってできたはずだ。 でも、彼女は逃げられなかった。 『ずっと暗い部屋の中で暮らしているうちに、外の世界が怖くなってしまったの・・・』 自分でも呆れたように笑っていた。 部屋に鍵を掛けたりしなくても、彼女は逃げだすことができなかった。 どれほど年齢を重ねて大人になっていっても、それは変わらなかった。 逃げだすことができないままに男との生活を続け、その間も引っ越しを繰り返した彼女たちは、10年以上の歳月を掛けてこの地にやってきた。 そして、ある日突然、彼女は父に売られたのだ。 うちに来た頃の彼女は、すでに二十歳を幾つか超えていた。 彼女をさらった男は、それまで彼女を散々オモチャにして、子供まで産ませたくせに、大人になってしまったら無用になったらしい。 娘のほうは男にとってまだ魅力的な年齢ではあったけれど、大人になってしまったシホお姉ちゃんは邪魔な存在なだけだった。 だから、彼は彼女を売ることにした。 誘拐までして目的を果たそうとする過度の小児性愛者であった彼が、父たちの創るビデオの存在を知らないわけがない。 当然、彼も顧客のひとりだった。 ビデオを買う客には、必ず連絡ができるように約束させる。 それは共犯というよりも、連帯意識を持たせて情報の流失と無用な拡散を防ぐためだった。 顧客には販売サイトを通じれば、向こうからもアクセスができるようにしてあった。 彼らのリクエストに応えるのが目的で、より強い嗜好を満足させる商品を提供してやれば、自ずと彼らは自分たちの聖域を守るために口を噤むようになる。 目的は果たされ、父たちの商売は順調に売り上げを伸ばし、そしてある日、そのシステムを利用して男は接触を図ってきたのだ。 母子を提供する代わりにビデオの売れ筋商品であった幼い女の子を手に入れたい。 それが、彼からの申し入れだった。 彼には、どうしてもその女の子が欲しかったらしい。 その子は父のお気に入りで、まだ小学校に上がる前にも関わらず、彼女は幼い性器に男を受け入れることができた。 大人の女のようにお尻を振りながら、舌っ足らずな拙い声で欲しがったりもした。 父が教え込んだからだ。 同じ性癖を持つ好事家の間では、とても有名な女の子で非常に人気の高い子だった。 その少女を、彼は独り占めしたいと考えたらしかった。 それが目的で、彼はこの地を目指したのだ。 シホお姉ちゃんが邪魔なだけなら、途中で放り出せばよかった。 娘は、彼にとってまだ魅力的な年齢であったのだから、邪魔な存在だけを排除してしまえばそれで済む。 それをしなかったのは、彼女たち親子を最初から売るつもりだったからだ。 ネット社会には通じていたらしく、わたしたちの本拠地が青森にあることに男は気付いていた。 青森には顧客に配信するためのサーバーがあり、そこに彼は、犬のように鎖に繋がれて傅くシホお姉ちゃんたちの画像を証拠サンプルとして送ってきた。 その頃の父たちにとって、単品の商品よりもダブルで売春をさせることのできる母子連れのほうがより魅力的だったのはいうまでもない。 『えげつないビデオだったぜ。ガキの腹からガキが出てくるビデオを証拠として送ってきたんだ』 無論、父たちにしたところで単純に彼を信用したりはしなかった。 足跡を辿られないように用意したダミーサーバーに違う証拠を送るように再度指示した。 そして男が父を納得させるために、送ってきたのが彼女の出産シーンを収めたビデオとその後の数年間の一部を記録した動画だった。 まだ幼き日の彼女は、狭い物置の中で暴れることができないように手足を大の字に縛られ、声も出さぬようにと猿轡までされていた。 煌々と照明の焚かれたその狭い空間の中で出産の痛みに藻掻きつづける彼女を、固定されたビデオは延々と写しつづけていた。 男の姿は一切なかった。 放置しつづけたのだ。 たとえ彼女がそこで死んだとしても、男にはきっとかまわなかったのかもしれない。 たんなるイベントとしての記録。 そんな印象が強かった。 苦しみに苦しみぬいた挙げ句、シホお姉ちゃんは赤ちゃんを産みきった。 膣が異常に拡がり、血塗れの黒い頭が押し出されてきたときは、それを眺めていたわたしも気が遠くなりかけた。 父に見せられたのだ。 その頃のわたしは彼女と同じ経験をしなければならない運命にあった。 だから、後学のためと称して、父はわたしにも彼女の出産シーンを見届けるように命じたのだ。 そこには感動や興奮なんてまったくなかった。 あったのは狂気とひたすらおぞましいだけの悲惨な光景だけだった。 ぬるっ!と小さな赤子が飛び出すように彼女の膣から押し出されてきたとき、はち切れんばかりに膨らんでいたお腹が、のっぺりと平らな状態に戻ったのがひどく印象的で、覚えているのはそれくらいしかない。 彼女は、まだ胸も膨らみきらない年齢で子供を産みきった。 それは、まさしく命を賭けた作業だったと思う。 あんな未熟な身体で子供を産んで、よく死ななかったものだと驚くしかない。 そして、後にわたしも同じ体験をすることになる。 『さほど、苦労しそうにもねえな』 商談が成立して、彼女たちがThrushに送られてきたのは、まだ雪解けも終わりきらない初春のことだった。 当然、彼女たちに待っていたのは、「仕込み」と称する、父やトリヤマたちの陵辱に次ぐ陵辱の洗礼だった。 しかし、父が彼女たちを仕込みながら、真っ先に持った印象は「手こずらせない。」それだった。 小さな頃から、さらった男によってオモチャにされつづけてきた彼女は、そこが何のために用意された場所か理解していたし、その運命をあっさりと受け入れもした。 わたしと一つ二つしか年の離れていなかった女の子もそれは同じで、すでに処女ではなかった彼女は、シホお姉ちゃんと二人で男に傅くことにも慣れていた。 もちろん、父たちは念入りに二人を仕込んだけれど、でも、女の子のほうは父たちとするよりも、シホお姉ちゃんとするほうを喜んでいたような気がする。 シホお姉ちゃんの飼い主であった男の手によって、娘に対する早すぎる陵辱が始まると、シホお姉ちゃんは、せめて少しでも娘が苦しまないようにと、押し入れの中で、その幼い肢体を時間を掛けて愛撫するようになった。 指を使い舌を使い、早く娘の性感が目覚めて悦びを得られるように努力したのだ。 それは地獄に生きながらも尚ひとの心を失わず、慈愛に満ちた彼女に出来た精一杯の慈しみであったのかもしれない。 二人の行為はThrushに来てからもつづけられ、それは鼻白むべき行為ではあったのかもしれないけれど、わたしの目には、とても羨ましい光景にしか映らなかった。 裸で絡み合いながら娘を見つめる彼女の瞳には、いつも慈愛の光りが溢れていたし、娘が狂わなかったのもそんな母親の愛情をしっかりと感じていたからだと思う。 わたしにお母さんはいなかった。 だから、シホお姉ちゃんを欲しがったのかもしれない。 シホお姉ちゃんは、わたしが子供を産んでからも、部屋を訪れては甲斐甲斐しく面倒を見てくれた。 まだ起き上がることの出来なかったわたしの代わりに、コトリにミルクを与えてくれたのもシホお姉ちゃんだ。 そして、そのコトリの名前を付けてくれたのも、また彼女だった。 『コトリ?』 『そう。ほら、ここにはお母さんと一緒の子は小鳥の入れ墨があって、お母さんのいない子は蝶でしょ?だから、この子はずっとあなたと一緒にいられるように「コトリ」って名前にしてみたら?』 彼女はわたしのお母さんのようなものだった。 だから、わたしはお母さんのいったことに従った。 『いいなコトリは・・・。お母さんに名前を付けてもらって、おまけに誕生日まで一緒で・・・』 『お母さん?わたしが?』 『うん、シホお姉ちゃんは、わたしとコトリのお母さん。』 『あら、こんな可愛い子供が二人も増えちゃったのね。』 シホお姉ちゃんは笑ってくれた。 『ねえ、お母さん・・』 『なあに?』 『元気になったら、わたしも可愛がってくれる?』 驚くほど素直に口から出ていた。 彼女はすぐに理解してくれた。 愛しそうにわたしの髪をひと撫ですると、自分の娘にするように優しく口付けてくれた。 それから数日後には、わたしは彼女の温かい肌に包まれることになった。 彼女に可愛がられながら、性の手ほどきを受けていると、どうしようもない幸せな気持ちになれて、このままコトリとここで暮らすのなら、いずれは同じ事をこの子にもしてあげようと思った。 ずっと、お母さんと一緒にいたかった。 彼女と暮らせる日々がいつまでも続くものと信じていた。 でも、ある日突然、お母さんはいなくなってしまった。 自分の娘と一緒に忽然と消えてしまったのだ。
15/05/11 22:37
(TBucGbFC)
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