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③それは その一言から始まった
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:人妻熟女 官能小説   
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1:③それは その一言から始まった
投稿者: ケン
「‥気晴らしに」
そう言って、念のためにと 薄手のコートをリヤシートに放りなげ、高速道路を北へと向かった。

『まったく、何考えてんのかしらアイツ、信じらんない』

「いいって、もう、その事は」

『ケンちゃんに聞く?ふつう』

「惚れてんでしょ?、そんだけ」
「逃がした魚は何とかって 気付いたんじゃないの?」

『こんなのが?、デッかいのは お腹とお尻くらいだよ』

「あのさ、俺はどうなんの?」
「こんなの と一緒に居るわけ?」

『もおぉ』
『で?、何処いくの?』

「混浴でも行く?」
「露天とかで無いのかな?」

『でたでた、また何か企んでんでしょ?』
『でも、残念でした、このご時世に 混浴なんてやって無いんじゃないの?、やってたとしても水着なんて持って無いわよ私』

「水着?」

『普通でしょ?今は、春佳も言ってたよ そんな事』
『それに このコ◎ナでしょ?、やってるとは思えないけど混浴なんて』

「まぁ良いじやん」
「温泉入って、マッサージでもして貰ってさ、のんびりすれば」

『マッサージかぁ、それだけでも良いわ、私』と、宮本さんは 首をグルグルと回している

「そ言えばさ、一昨日 アレ買うの忘れちゃった」

『何ぁに?、アレって』

「何だっけ?、オープンクロッチって言うんだっけ?、パンストだけどパンツの無いヤツ」

『やっぱり変な事企んでんじゃん』
『誰が お履きになってたんですか?そんなの』

「宮本さんてさ、怒ると敬語になるよね?」

『うるさいッ』
『あんなの スースーしちゃって‥』

「スースーってさ、何もパンツ履かせないなんて言ってないけど俺」
「何 想像してらしたんですか?」

『もぉお!、真似しないで!』

「暖かいヤツとか無いの?、タイツみたいな生地とかの」

『存じません!』

「‥ですか?、残念です」
「でも 探さないとね」

『ハイハイ』

「何かさ 小腹 すかない?」

『‥少しね』
そんな話しをしながら、温泉街の最寄りのインターで高速を降りて、すぐに目に飛び込んできた《道の駅》に入った。

この辺りは、そこそこ名の知れた観光地、だが ニュースで見る様に 確かに人は少なかった。
イートインスペースは 透明のアクリル板で それぞれのテーブルが個室の様に仕切られていた。

食券を店舗に出して、番号のついたリモコンの様な物を持たされ、店員さんの案内にしたがって セルフのお茶を汲みに向かった。
既に ご婦人が お茶を汲んでいる、俺は少し離れて待った。
が、そのご婦人、おそらく俺に気付いていなかったのだろう、お茶を両手で持ち 振り返りながら 小走りに急ぎだした。
俺は身をかわそうとしたのだが、ご婦人がバランスを崩すのが先だった。
こぼれたお茶が 俺のコートの裾にかかった。

〔ごめんなさい ごめんなさい〕
ご婦人は 慌てて茶碗をテーブルに置いたもんだから、今度はテーブルにお茶がこぼれた。
〔すみません、どうしましょ〕
〔すみません〕
ご婦人は こっちのテーブルにぶつかり あっちのアクリル板にぶつかり、おしぼりか何かを探している様だった。

(おいおい、今時 テレビドラマでも無ぇぞ こんなの)
そんな事を思い出ながら 呆気にとられていた。

すると何処からか 男性の声がした。
きっと 物音に気付いた店員かと思っていたら、それは ご婦人のご主人だった。
〔すみません、うちのヤツが‥〕
〔ご迷惑 お掛けしまして‥〕
ご主人が そう謝っている横では
〔すみません すみません〕
と、奥さんが 俺のコートを拭いてくれている。

「大丈夫ですから」
「ホント、大丈夫ですから」

〔そう言われましても‥〕
〔失礼ですが クリーニング代を‥〕
〔せめて それ位は‥〕
と上着の内ポケットに手を入れた。

『いえ、大丈夫ですよ 本当に』
『(汚れ)落ちますから』
『大丈夫ですよ』
一部始終を見ていたらしい宮本さんが、俺のうしろから そう言っていた。
〔いえ、そう言う訳には‥〕
ご主人と そんなやり取りをしていると 後ろの方で リモコンみたいなヤツがブルブルと震えてる音がした。

『出来たみたいなので‥』
『どうぞ、お気になさらずに‥』
俺達は リモコンを取りにテーブルに戻った。

『今時 居る?、あんな 慌てんぼう、テレビドラマでも見ないわよ』
食べ終えて、走り出した車の中で 宮本さんが続けた
『それとも アレかしら?』
『ご主人に 何か 悪戯されてたのかしら?、あの奥さん、フフ』

「・・・・・」

『どうしたの?ケンちゃん?、黙りこんじゃって』
『何か変な事 考えてんじゃないでしょうね?』

(ご主人から悪戯‥、あながちハズレてもいない かもしれない。
何故なら 少し痩せた あの奥さんの姿が目に焼き付いて離れない。
スキニーと言うのかスパッツと言うのか、奥さんの履いていたそれは 黒か紺かグレーか とにかく濃い色だった、そのご婦人の股間が焼き付いて離れない。
恥丘、あえて その姿かたちを主張させてでもいる様に ふっくらと盛り上りクッキリと縁取られていた。
股間から太ももにかけては パンツの線が有る訳でも ガードルか何かの跡が見える訳でもなく、ピッタリと張り付いて こんもりと浮かび上がった その恥丘が 目に焼き付いて離れなかった)そんな事を思い出していた。

『・・・、ケンちゃん?』  

「ん?」
「ゴメン ゴメン」
「無いね、やっぱり、混浴‥」

『だから言ったでしょ?』

確かに《混浴》の看板は幾つも有る。
だが そのどれもが、混浴の文字に重ねて《close》の札が張り付けてあった。
俺は 車を停めて 先程検索した 温泉宿をナビに入力した。
検索結果の一番上に出ていた その宿には《貸し切り露天風呂》と有った、きっとマッサージとかも有るんだろう?と、そこを目指した。

宿に着くと、そこは道の駅よりも 更に人気は まばらだった。
ロビーをひと回りして、貸し切り露天風呂の受付に着くと そこには 見覚えの有る後ろ姿があった。

『先刻の?、‥だよね?』
「‥みたいだね」
俺達は、あの夫婦から少し離れて並んだ。 

ふと、振り向いた奥さんが 俺達に気付いた。
ペコリとお辞儀をして ご主人の裾を引っ張っている。
つられて俺達も お辞儀を返した。

〔先程は失礼いたしました〕
〔お宅様も こちらでしたか?〕

「あ、はい、一番上に出ていたので」

〔同じです、私達も〕
〔では、お先に‥〕
ご夫婦が 露天風呂に向かった。

その宿の貸し切り露天風呂は、これまでの露天風呂に 新たに独立した脱衣場と洗い場を設けて 内湯とは別々に出入りできる様にしたらしい。
何処もコ◎ナ対策は大変らしい。

俺達は 本来の女湯の露天を案内され、料金を払おうとした時に
[‥いえ、寺崎様より頂戴して御座いますが]と、受付の女性に言われた。
ご夫婦は 寺崎と言うらしい。
すでに 料金まで払ってくれていた。

露天に着くと 何やら話し声がした。
身体を洗い 湯に浸かり 大きな岩に背中を預けて「失礼ですが、寺崎さん、ですよね?」と話し掛けてみた。

〔はい〕

「私は 板橋と言います」
『私は 典子です、お支払い頂いてしまって、かえって申し訳けありません』と、宮本さんが言い終わる前に

〔私、幸子です〕と、寺崎さんの奥さんが自己紹介してくれていた。

『奥様?』
『このあとは 何かご予定が?』
意外にも そう問いかけたのは 宮本さんだった。
『マッサージ お願いしようと思ってるんですけど、ご一緒に如何ですか?、どうでしょう?ご主人?』
そう 続けた。

結果、4人でマッサージを受ける事になった、このご時世 この宿だけでは足りず 協会に問い合わせまでして 全員女性のマッサージ師さんを揃えてくれた。

帰り際、男は男 女性は女性どうし それぞれ連絡先を交換して分かれた。

俺はご主人に 宮本さんは奥さんに、 マッサージ中の情報交換によれば、この寺崎夫婦の おおよそは、
夫 寺崎幸男(ゆきお)、年内いっぱいで定年退職が決まった65歳、今は有給休暇を消化中、70までは何とかと思っていたが 糖尿病などの持病も決断の一因だったらしい、今後は経験をいかして シルバーさんなどで小遣い程度は稼ぎたいと言う話しだった。

妻 寺崎幸子(さちこ)、ご主人より8つ下らしいので57か58といった所か?、スーパーにパートに出ているが扶養内におさめる為に同じく今は有給休暇中、子供は それぞれ独立し夫婦2人暮らし、らしい。

驚いた事に 宮本さんも そのスーパーに買い物に行った事が有るのだと言う。
以前の宮本さんのアパートと その隣町にある寺崎さん夫婦の自宅は 車で15分から20分くらい、と言うことはウチから45分は掛からない距離と言う事になるだろう。

「でも、意外だったなぁ」
「宮本さんから声かけるなんてさ」
「どうしたの?、宮本さんのS心が頭を持ちあげちゃった?」

『て言うかさ‥』
『ケンちゃんだって気付いたでしょ?奥さん、道の駅で』

「気付いた?、奥さんの?」

『そう、奥さんの‥』

「奥さんの?、ん?、何?」

『もお、トボケちゃってさ』
『ケンちゃんが見落とすハズないわ、奥さんの お股よ』
『あんな こんもり させちゃって、ノーパンよ きっと、気付いたんでしょ?、旦那さんが させてた のかしらね?あんな格好』
『それとも 奥さんの趣味かしら、どっちなんだろうね?、ケンちゃん?』

「まぁ、ビックリしたね、目を疑ったって ああいう事 言うんだろうね」
「ノーパンかどうかは 分かんないけどさ‥」
「でもアレだね、やっぱ買っとかないとね パンツの無いパンスト」

暮れかけた帰りの車の中で
『‥そうね』
と、宮本さんは 妖しく微笑った。

 
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2023/04/30 13:30:23(ModIEfDC)
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