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1:叔母:寿子
投稿者:
KEN
タイトルどおり母の妹である 叔母の寿子(としこ)との40年近くにもなる関係を綴ってみようと思います。
実母の妹という事で 近親‥ とも思いましたが此方に致しました。 中学卒業時からの事です 思いだしながらになりますし多少の脚色も加わるでしょう。 前置きも長くなると思います、面倒な方はスルーして下さい。 つたない文章ですが‥。では改めまして‥。 叔母:寿子 『あら健ちゃん いらっしゃい(喜)!』 『今ね 叔父さん 入院してのよぉ、だからさノブに来てもらってるの』 『さぁさぁ、どうぞ あがってぇ』 ある日の夕方 叔母さんの家を訪ねた俺を そう出迎えてくれた叔母さんの後ろで 1人息子で従兄弟の信弘(ノブ)が 俺を見ながら大きく首を振っている。 あれは10日程前、風呂からでると スマホに不在着信の表示、発信者は 叔母:林寿子。 俺は そのまま掛け直した。 『あら健ちゃん、ありがとう、掛け直してくれて』 「どうしたの?、何かあった?」 『何それ、何かなきゃ電話しちゃいけないの?』 「そんな事ないけど‥」 『‥でしょ?、良いでしょ?たまには電話したって』 『・・・・』 『て言うかさ お願いがあって‥』 「お願い?、俺に出来る事なら‥」 『あのさ、何か聞いてない?、その‥姉さんとかノブとかから』 「母さんやノブから?、何も‥」 『・・・そう‥?』 『あのね、暫く前にね スーパーに行ったのノブと、そこで久しぶりに友人に会ったのよ、て言うか会ったらしいのよ‥』 「会ったらしい‥って?」 『覚えてなかったの私、会った事も その友人の事も、どちら様ですか? なんて言ったらしいのよ』 『で、暫くして その友人から電話があって あっ久しぶり元気だった?、なんて言ったもんだから怒られた怒られた!』 『でもね、話が噛み合わないから 向こうが心配してくれだして‥』 『物忘れも多いしさ、最近』 「痴呆‥、って事?」 『そ。それでね 通院して治療してもらう事にしたの』 「そう‥。でも今は良い薬も有るんじゃ?」 『良いって言ってもね 結局は遅らせるだけなんだって その‥進行を‥』 「・・・(言葉を失った)・・・」 『今はまだね 配線が切れる時の方が少ないからだけどさ、その内 皆んなの事 分かんなくなっちゃうのかなぁ?、って』 「って叔母さん そんな歳?」 『失礼ねッ!、健ちゃん幾つになったのよ、健ちゃんだって50でしょ?』 『うん、年が明けたら2(52)」 『でしょう?、私だって それなりの歳にもなるでしょ?』 「そうだけどさ‥」 『忘れたく無いじゃない?誰の事も』 『嫌よ私、健ちゃんの事まで忘れちゃうなんて、だからね‥、私が忘れない様にしてよ健ちゃん、私が健ちゃんだって覚えていられる様にして、お願い!』 『今はさ ノブも居るし 前みたく 一緒に暮らしてなんて言えないけど、会えないかな?』 「うん分かった。予定見て連絡する、ゴメンね すぐ行くとか言えなくて‥」 『ううん それは良いの。で?いつ?いつ来てくれるの?』 「予定みて調整して 明日電話する、この時間で大丈夫?電話するの」 『明日かぁ‥』 「ゴメン。てか俺まだバスタオル一枚なんだけど風呂上がりで」 『あら大変、風邪ひいちゃうね、大事なトコ(笑)、大変大変 それは一大事(笑)』 「‥でしょ?」 「電話する、ゴメン、待ってて」 『うん、ありがと』 『あっ、姉さんには?』 「知ってるんでしょ?治療の事は」 『それは言ってある』 「なら余計な事は言わないよ、待ってて」 『うん ありがとう、明日ね、お願いね』 『おやすみ、健ちゃん』 「うん、おやすみ、電話するね」 そんなやり取りが有って 今日 叔母さんを訪ねてきた。 が、今日は幾らか 配線が切れかかってるらしい。 叔父さんが体調を崩して俺が同居してたのは俺が35位の時、体調を崩してから亡くなるまでの約1年、何年か前に13回忌をやった。 当然 叔父さんは もう居ない。 ノブが大きく首を振った理由は すぐに察しがついた。 以前はチリ1つ無かった玄関の四隅には埃がたまり。 テレビは巨大化し、俺が使っていた部屋はノブの部屋となり、大きなテーブルは4人掛けと こじんまりとして。 何度も叔母さんと朝を迎えたダブルベッドはシングルに代わっていた。 『いらっしゃい、健ちゃん、元気だった?』 「ありがとう、元気だったさ」 [健ちゃんゴメンね、わざわざ] ノブが かしこまって頭を下げている。 「良いよ良いよ、気にすんなって」 「それよりさノブ、2、3日 叔母さん借りるぞ、湯治とまでは いかないかもだけど 温泉行こうと思ってさ」 「でさ 悪りぃ、予算上 お前の分までは無い!、叔母さんと2人っきりのデートになるけど良いかな?」 [おふくろ、温泉に連れてってくれるの?] 「薬、ちゃんと飲めば大丈夫なんだろ?、マズイ?」 [いや、今日は あんなだけど大丈夫だと思う、それより良いの?甘えちゃって健ちゃんに、何か申し訳なくて‥] 「良いって、てか こんな言い方ナンだけどさ、その間 お前もさ リフレッシュって言うかさ‥、チカラ抜いてダラ~ッってしたら?、明日明後日泊まって金曜の夕方に帰ってくるから」 「ほらッ、休日前は高けぇしさ、土日も俺が付き合うから叔母さんには‥、な?」 [うん、こっちこそ ありがとう、甘えさせて貰おうかな今回は‥] 「俺の準備は出来てるから あとは叔母さんに話して準備して貰おう、明日の朝の方が良さそうだな?話すの」 [‥だね、ありがとう、何から何まで] 5つ違いの従兄弟のノブ。 こいつは俺と叔母さんとの事を知ってるのか知らないのか? 叔母さんは何人か居る甥や姪の中でも俺に対しては少し違う、位の事は思っているのか? はたまた すべて承知をしていて それで 温泉行きを了解したのか? ‥‥定かではない。 様変わりした部屋。 配線の切れかかった叔母さん。 そんなこんなを目の当たりにしてると やたらと叔母さんとの事が想いだされる。 あれは 高校入学前の春休みの事だった。 夕方、遊び疲れて家に帰ると 玄関に 見知らぬ女物の靴が有った。 俺の「ただいま」に 真っ先に声を掛けてくれたのは 『健ちゃん、おかえりぃ』と言いながらドアを開けてくれた叔母さんだった。
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2021/07/31 12:10:29(wTc3vCpo)
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