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逃げられないおばさん
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:人妻熟女 官能小説   
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1:逃げられないおばさん
投稿者: ヤイチ
高卒と同時にこの会社に入った僕でしたが、2年目に転勤を言い渡されます。支店で退職者が出たための移動でした。
同じ県内での移動でしたが、端と端になるため、自宅から通うことが困難と判断をした会社は、僕に宿舎を借りてくれることとなります。

その日、支店に顔を出した僕でしたが、手続きのためにすぐに新しい住まいへと向かいます。言われた住所に着くと、そこには担当者が待っていました。
『駐車場はこちらです。』と言われ、停めたそのニコイチの家が僕の住居のようです。カギが開けられ、ドアが開きます。
入るとすぐに廊下があり、左にミニキッチン、右にはトイレとお風呂、正面の扉を開くと6畳のリビング。まあ、一人で住むには苦労は無さそうです。
ここで、新生活が始まりました。

『金曜の夜に自宅に戻り、月曜の朝にまた支店に行けばいい。』、上司からはそう言われていました。僕もそのつもりでした。
ところが『住めば都。』、こちらでの生活に馴れれば自宅に帰るのも面倒くさくなってしまい、完全にこの町に溶け込んでしまうのです。
本店よりも帰社は早く、誰もいない家ではテレビゲームのやり放題。本店でいた頃に比べると、ほんと天国のような生活でした。

周りの住人さんと会ったのは、住み始めて3日目のことでした。車を降りると、井戸端会議をしていたおばさん4人がこちらを見たのです。
僕は頭を下げ、急いで部屋に入ろうとしました。おばさんの一人が、『引っ越して来られた方?』と声を掛けて来ました。
『はい。よろしくお願いします。』と返事をし、一旦家に戻り、挨拶の粗品を手に戻ります。本当は日曜日に回る予定でしたが、いい機会でした。
品物を渡すと、『そんなつもりじゃなかったのよ~。誤解しないでよ~。』と一人のおばさんが言い、皆さんに笑顔が溢れます。

僕を含め、5人の輪が出来ていました。皆さん60歳を過ぎた主婦の方のようで、やはり僕だけ浮いています。
リーダー的なおばさんが、『あんた~!若いお兄さんが来たからって、真面目な顔しないの~。』と言って、一人のおばさんをからかいます。
そのおばさんも馴れているのか、『わからんやろ~?若い彼となにかあるかもしれんし~?ねぇ~?』と僕に振ったりして来るのでした。

おばさん達の名前と、ある程度の住まいの場所を紹介されました。まあ、4人一度に覚えられそうにもありません。
それでも、一人のおばさんの名前と住所は完全に覚えました。名前は『岩下さん』、ニコイチである僕の隣に住むおばさんでした。
お喋りをする4人の中で、一人物静かに聞き役にまわる女性。ほとんど自分から喋ることはなく、それでも輪の中にちゃんと居場所はあるようです。
中年太りをしている他の方と比べ、岩下さんはとても細くスタイルも保っています。まあ、この中で言えばですが、一番のいい女だとも言えます。

日曜日。朝10時だと言うのに、、外からおばさん達の声が聞こえて来ます。もう、集まりが出来ているようです。
僕は扉の覗き穴に目をあて、外の様子を伺います。魚眼レンズの奥には、おばさん3人の姿が確認出来ました。隣の岩下さんもいるようです。
『近所の人と仲良くしておくかぁ~。』と決め、着替えて外に出ます。実家暮らしをしていた時なら、考えれなかった自分の行動です。

『あっ!おはようございます~!』、知らなかったふりをして元気に挨拶をします。『あっ、おはよ~。』と皆さんの挨拶が返って来ました。
『どこかお出掛け~?』と聞かれ、『ああ、昼からちょっと~。』と言って適当に話を合わせます。『デート?デート?』とおばさんらしい返しあります。
その席で、『岩下さんも~?』と一人のおばさんが彼女に聞きます。岩下さんは少し照れたような顔を見せ、後は語りません。
その彼女を見て、『はよ結婚しよ~。したらいいんよ~。』とおばさん達が言っています。岩下さんはどうも独身で、現在付き合っている彼氏がいるようです。

午後になりました。昼食に、相変わらずのカッブラーメンを作り始めた僕でしたが、『ガチャ。』と開く扉の音を聞きます。
ニコイチの住宅になっているため、隣の岩下さんの部屋の音がこちらにも僅かに響くのです。僕は覗き穴を覗きます。
見えたのは、出掛ける岩下さんの後ろ姿でした。僕は扉を僅かに開き、肉眼で見ようとします。見えたのは、路地に停まっている軽自動車。
運転席に座る人の顔は見えませんが、助手席に乗り込む岩下さんを見て、『隣が例の彼氏さんか。』と想像をしてしまいます。
彼女を乗せた車はすぐに走り出し、僕の視界から消えるのでした。

『ガチャ。』と扉が開いたのは、午後6時過ぎのこと。デートを終えた岩下さんが戻ってきたようです。
僕は聞こえるはずもないのに、壁に耳を当ててしまいます。ほんの僅かに漏れる音から、おばさんが一人であることに、どこか安心をしてしまうのでした。

次の水曜日は、お昼から小雨が降り続きました。夕方6時に家に戻りましたが、外におばさん達の姿はありません。
家の前に立ち、玄関のカギを突っこみました。その時、『ガチャ。』と音がして、隣の玄関が開きます。僕は家に入るのを一瞬待ちます。
出てきたのは、岩下さんでした。僕の顔を見た彼女は、『おかえりなさい。』と慌てて挨拶をして来ます。
僕も、『こんばんはぁ~。雨、よく降るねぇ~。』とおばさん達との輪の学んだのか、ちゃんと近所の方との普通の会話をしているのです。
おばさんは目の前に停めてある自転車のカゴに手を入れ、そこに忘れ物があったのを取りに出たようでした。
僕は家に入るのをやめ、岩下さんに近づいて行きます。彼女も来られたことで、家には戻れなくなるのでした。

何気ない会話を始めました。普段のおばさんの輪では、お互い聞き役となっているので、この二人で話などしたことがなかったのです。
『ちょうどいい機会だ。』と思って寄っていったのですが、岩下さんは相変わらずの聞き役に回ります。どこでも、そのスタンスのようです。
それでも、僕の話を笑顔で聞いてくれて、話をする僕もそれに乗せられてしまいます。彼女と話をしていると、次から次へと言葉が出てくるのです。

思いのほか、長話になった15分後のことでした。人の気配を感じ、そちらに目を向けます。そこには、70歳を遥かに越えたおじいさんがいました。
傘をさして、こちらに向かって来ます。『知り合い?』と思い、岩下さんの顔を見ました。その顔に驚きます。
話をしていた僕からは目を背け、男性に媚を売るような顔を作って、『隣にいるこの子と自分は、全然関係がないのよ。』とでも言っているかのようです。
雨にうたれながら男性を迎えに出て、たたむ傘も彼女が受けとります。64歳の岩下さんの彼氏とは、この方だったのです。
彼女よりも、ひと回りも上と思われるただのおじいさん。『このおじいさんが彼氏?』、意外な組合せに、僕は頭を下げて家に戻るしか出来ませんでした。

僕は部屋に戻り、エアコンや冷蔵庫と音のする物のコンセントを抜きます。シーンと静まり返った部屋で、彼女の部屋の方に耳をあてるのでした。


2018/10/02 12:18:37(xZ2j6rk3)
2
投稿者: ヤイチ
小雨の音がジャマでした。エアコンの室外機にポタポタと落ちる音がとても気になります。それでも、隣の部屋から聞こえてくる僅かな音を聞き漏らしません。
男性の声は高く、たまに上げる大きな声は聞こえて来ました。しかし、物静かに話をする低音気味の岩下さんの声は通らず、ほとんと聞こえて来ません。
更にたいしたことも起こらず、ただ時間だけが過ぎて行きます。

男性が部屋に入って、一時間くらいが経過した頃でした。部屋を歩く音が聞こえ、それがこちらへと向かって来ます。
『ドドン!』と物音がし、なにかが僕との部屋の壁に当たったような音がして、壁が振動をしました。
僕は知りませんでした。岩下さんは、そこに布団を敷いていつも寝ていたのです。

男性の強気な声ばかりが響いていました。よく聞き取れませんが、その言葉は岩下さんへ投げつけられているように感じます。
床がきしみ、肘や膝の固いのもが床にあたる音が聞こえます。バタバタと手をつく音は、岩下さんでしょうか。

しばらくして、『ブゥ~ン…。』という振動音が聞こえ始めます。振動が空気を伝わるのか、ある意味声よりもよく聞こえてしました。
その音にはどこか聞き覚えがあり、『ローターの音ではないか?』と判断をします。あの岩下さんが、この壁の向こうで、今からローターで責められるのです。

照明の消された真っ暗な部屋のなか、僕は服を全て脱ぎ、靴下まで脱いで、そこに立ちました。もちろん手には、半分勃起をしたアレが握られます。
壁にもたれながら、その時を待つのです。

隣の部屋からは、相変わらずのモーター音が鳴っていました。男性の声も聞こえ、床も音を立てていて、きっと激しくなって来ているようです。
しかし、その中で聞こえてこないものが1つありました。岩下さんの声でした。低音で聞こえにくいのもありますが、きっと出していないのです。
雨の音にかき消されてもいるのでしょうが、全く聞こえては来なく、僕の握った勃起をしたアレは肩透かしを食らうことになるのでした。

その夜、男性が帰った後でした。部屋の中央に敷いてあった僕の布団は、岩下さんとの部屋の壁の隣に移動をしました。
そして、この壁の向こうで寝ているであろう彼女を思い、再び勃起をしたアレを握って、その手を動かし続けるのでした。

その日からです。岩下さんを見つけては、必ず寄って行って、話をするようになったのは。最初、遠慮気味だった彼女も、だんだんと馴れても来ます。
あの男性さえいなければ、普通に仲良く会話が出来るのです。初めて仲良くなった友達とも言える熟女、それが岩下さんとなりました。
男性にローターで責められている彼女を聞かされても、特に何も思うことはありません。そのくらい、僕達は自然だったのです。
それは他のおばさん達にも伝わったのか、『あれ?岩下さん、新しい彼氏?』『若い彼氏やねぇ~。』とからかわれるほどになります。
もちろん二人がそんな関係とはおばさん達も考えてはいませんが、『岩下さんとこの子は仲のいいコンビ。』と二人を見るようになったようです。
18/10/02 12:57 (xZ2j6rk3)
3
投稿者: ヤイチ
日曜日のお昼でした。おじいさんの軽自動車は、僕の数台前を走っていました。もちろん、助手席には迎えに行った岩下さんが乗せられています。
着かず離れずを繰り返し、見失うことなくその車の後を着けます。車は走り出して15分後、方向指示器を出してある建物へと消えました。
予想通り、そこはラブホテルでした。これで、男性と岩下さんの行動が分かりました。日曜日はラブホテル、水曜日の夜は彼女の家で会っているようです。
この2日間だけの関係を知り、僕は前向きでした。『残りの5日間はフリーじゃん。』と。

それからというもの、僕の行動は強気となります。『遠慮をしないグイグイとくるタイプ。』と彼女も思ったと思います。
しかし、それは岩下さんが『断れないタイプ』だと分かっているからこそのこと。でなきゃ、僕も出来ません。

その日、初めて彼女の玄関のチャイムを押しました。午後6時を回っています。扉が開き、僕の顔を見た岩下さんは『はい?』と出迎えます。
扉が開いたままの会話を始め、僕はここで初めて一歩前に足を進めます。後ろの扉が閉まり、初めてこの家に身体を入れ込んだ瞬間でした。
しかし、やはり岩下さんも女性でした。仲良くしてくれている年の離れた男の子とは言え、自分の範囲に入って来られたことは危険と判断をしているようです。
それは顔に現れています。『この部屋に入る男性は彼氏だけ。』、きっとそうなのだと思います。顔が正直に反応をしてしまっているのです。

僕は玄関に腰をおろし、その体勢で会話を続けます。岩下さんも狭い廊下に腰をおろし、その先にあるリビングを見せることも、通させることもしません。
普通の楽しい会話をしているのに、目に見えない心理線が繰り広げられているような、そんな感じです。それは一時間以上にも及ぶものでした。

『ちょっと上がってもいい?』、不意に出た僕の言葉に彼女は慌てます。玄関で居座られ、部屋に入れろという僕は、邪魔者以外何者でもないのです。
『少し、散らかってるから。今度にする?』と巧みに言われ、断られます。それでも、『同じ部屋やろ~?ちょっとだけ見せてよ~。』と頼んで引きません。
最後は『ちょっとだけ、ちょっとだけ、』と言って靴を脱ぎ、足を廊下に乗せました。岩下さんは立ちあがり、『ほんと汚れてるから~。』と言いますが、強気の男性には何も出来ないようです。
僕が廊下を歩き出すと、両手を出して制止をしようとしますが、僕に触れた瞬間その手は引きました。64歳の熟女と言っても、そんな女性なのです。

肩に手を掛け、岩下さんを押し込みながらリビングに向かいました。初めて触れた彼女の肩はとても細く、『ここまで出来るよ。』とばかりに強く握ります。
肩と言えども、男に身体を強く握られる女性の心理とはどんなものでしょう。僕も、それを楽しんでいました。

リビングに入りました。まず目にしたのは、岩下さんの使っている布団。たたまれてはいますが、その位置は予想通りに僕の部屋寄りにあります。
部屋の反対にはテレビと小さなテーブルが置かれ、彼女が普段過ごすスペースのようです。更に小さな水色のタンスも見えています。
僕はテーブルの隣に座りました。それを見た彼女はキッチンに戻り、冷蔵庫から飲み物を取り出して、僕に渡すのです。

『間取り同じだけど、全然違うねぇ。やっぱり、女性の部屋やねぇ。』と誉めますが、部屋を見渡す僕が気になるようで、いい加減な返事しか返って来ません。
間が持たないと思ったのか、岩下さんはテレビをつけ、そのテレビを一身に見つめています。それでも、神経は集中をし、僕の行動を見守っていました。

『この前の方が彼氏さん?』、ようやく突っ込んだ話を始めてみます。この部屋に入って30分くらいかたった頃で、少し彼女もほぐれて来ていましたから。
『ああ…。』とだけの彼女らしい返事をし、その顔は『その話題に触れるな。』と言う顔に変わります。
『何歳くらいの方?結構、年配の方?』と聞きますが、『そうね…。』と素っ気ないものです。
『いい人みたいですねぇ。で、どこで掴まえたの~?!』と無邪気に聞いても、『ハハハ…。』と真実は語りそうにはありません。

僕はそれ以上は聞きませんでした。この部屋が、とても居心地が良かったからです。岩下さんと、ついに二人っきりの空間。
後ろには、彼女がおじいさんにローターで責められていた布団。タンスの中も気になり、僕には今ここがエロ空間となっていたのです。

18/10/02 13:53 (xZ2j6rk3)
4
投稿者: ヤイチ
『ビンポーン~。』、突然チャイムが鳴り響きました。僕は岩下さんの方を見て、彼女は玄関の扉に目を向けました。
『ヤバい、おじいさん来た!』、僕はとっさにそう思いました。しかし、彼女は冷静で、リビングの扉を開き、玄関で対応をします。
聞こえてきたのは、女性の声でした。少し聞き覚えもあり、近所のおばさんのようです。二人での会話が始まり、僕は身動きが取れません。
『ああ、そうそう~!』と言う岩下さんの声も聞き、言葉少なの彼女のイメージも少し変わりました。話す時には、ちゃんと話をする方なのです。

二人のおばさんの話は、思った以上に長くなりました。きっと、彼女がおばさん相手に話を長くしているのでしょう。
部屋に入ってきた僕は、岩下さんにとっては邪魔な存在。彼女はそっちへ逃げたのでした。

僕は物音を立てず、横にあった押入れのふすまを開きます。布団が出ている以上、ここに布団が入っているとは考えづらいです。
開くと押入れの中は整理をされ、上段の数個の段ボールには『冬用』『衣類』とマジックで表記をされていました。几帳面な方のようです。
そして、下の段には木で出来た二段の収納箱が置かれていました。その引き出しを引いてみます。

やはりありました。ハンカチに包まれたピンクのローター、使いかけのものも含む2本のローションの瓶。
そして、無造作に置かれた大量のコンドームの袋。きっと、ラブホテルから持って帰ってきたものなのでしょう。2~3種類見えています。
きっとここが彼女のいやらしい小物エリア。もう1つの引き出しには、ホテルから持ち帰ったと思われるアメニティグッズが入れられています。
歯ブラシにひげそり、クシに洗顔系のもの、いろんなものが収められていました。それを見て、『せこっ!』とか思ってもしまいます。

おばさん達の会話から、そろそろ終わりの感が漂い始めました。僕は引き出しを閉め、押入れも閉じて岩下さんを待ちます。
最後は『誰か来てる~?彼氏さん来てた?ごめんねぇ~。』と言って、おばさんは消えました。僕の靴を見て、そう思ったのかも知れません。

岩下さんがリビングに戻りました。僕はテレビを見ていましたが、彼女の雰囲気がおかしいです。きっと、隙を作った自分に焦っているのでしょう。
良からぬことを考え、自分が不在だった時間の僕の行動を、きっと想像でもしているのでしょう。『押入れとか見てないか?』、そんなところでしょうか。




18/10/02 14:28 (xZ2j6rk3)
5
投稿者: ヤイチ
僕が何かを言うと、岩下さんが呆れて困った顔を見せる。いつからか、漫才のようにお互いの役割がハッキリとして来ました。
これが、僕と岩下さんとの会話術でもあり、年の差がありながらも、仲良く出来るコツでもあったのです。

『なあ?明日、僕がデートに誘ったらついてくる~?』、いつものように冗談っぼく言ってみましたが、僕は結構真面目です。
日曜日ではなく土曜日を選んだのは、やはり彼氏であるおじいさんとのラブホデートを知っているからです。
彼女は僕を思い、『えぇ~。』と答えますが、その弱気が付け入るチャンスを与えてしまうのです。『彼氏さん、日曜日やろ?土曜日!』と押すのです。
困った顔が面白く感じます。こっちは『断られて当然、なにせ、64歳のおばさんなのだから。』と余裕があるのです。
しかし、うまくちゃんと断れない彼女はますます泥沼に入って行きます。言うに言えないもどかしさが、『これは押せる!』と僕を確信させるのです。
『はい、決定~!デートいくよ!明日は、僕の岩下さんになってよ~!』と言うと、困った顔をしながらも、ハッキリと言われて、気持ちは傾いたようです。

土曜日のお昼前でした。僕は車を出し、近所の細道を抜けて行きます。少し走ると、そこは待ち合わせ場所で、岩下さんが立っています。
やはり、家の目の前で彼女を乗せることは、避けたかったのです。

助手席に乗った彼女は、もう覚悟を決めているようで、顔は少し落ち着いています。その彼女に、『デートよ、デート~。』と言ってあげました。
『はいはい。』と笑った顔を見せ、彼女なりに元気な声で答えてくれます。
更に、『今日は僕が彼氏よ。おじさんのこと思ったらダメだよ~。』という言葉に、『はいはい。分かってる。』と答えてくれるのでした。

車は昼食のため、レストランに着きました。若者の多いファミレスを選ばなかったのは、彼女を思ってのことでもあります。
店内に入り、テーブルに腰掛けます。辺りを見渡すと、やはり若者の姿は少なく、どちらかと言えば家族連れが多く見えます。
店内はとても広いのに、テーブルの数は少なめ。その代わりに、テーブルとテーブルの間には低い仕切りが設けられていて、ゆったりと過ごすことが出来ます。
それに岩下さんも、僕たちが『祖母と孫』という風に見えることが分かっているようで、そういう意味では安心をしているようです。
お互いに頼んだのはハンバーグセット。彼女は和食セット、僕はコーンスープ付の洋食にします。

岩下さんを路上で拾い、ここに座るまでの約20分間、僕は彼女の姿をまともに見てはいませんでした。
ここに来て、ようやく目の前に座る彼女を見ました。顔には薄い化粧が施され、おしゃれな紺の洋服を着ていることが分かります。
彼女を見ながら、『岩下さん、美人やねぇ~?』と言ってみると、『何を言ってるのよ~。』みたいな顔をされます。
それでも、『美人、美人。僕の彼女は美人やわぁ~。』と言うと、さすがに恥ずかしくなったのか、表情が緩むのでした。

『ヤイチくん、彼女は?』と岩下さんが聞いてきます。少し驚きました。彼女の方から話を切り出してくるなど、なかったからです。
そのくらい、彼女も普通ではないのです。『彼女?狙ってる人ならいますよ。』と言い、それが岩下さんだと告げてみます。
あまりのヨイショの連続に、『もぉ~。』と言われてしまい、僕の言葉は悪ふざけのように流されてしまうのでした。

次に向かったのは、某有名植物公園。これは、岩下さんの希望でした。花が好きということで、前から行きたかったそうです。
日曜日というのにあまり人はおらず、どちらかと言えば年配の夫婦とか並んで花を見て歩いているようです。
園内に入ると、目の前の大きな花壇には、色とりどりの花が大量に咲いています。物静かな彼女も『うわぁ~。すご~。』と思わず言っていました。
岩下さんは、本当に花が好きそうでした。足をとめ、膝を屈ませて熱心に見ています。連れてきた僕も、どこか嬉しくもなってしまうのです。

かなりの時間が過ぎていました。このあとのことは考えてもいませんが、それでも僕の方が退屈を始めます。岩下さんには悪いですが、僕にはただの花です。
もう、彼女が何度しゃがんだか分かりません。しかし、その一回のチャンスを僕は見逃しません。
身体を起こした彼女の手を、スッと握りました。彼女の身体は一瞬拒否反応が出ますが、『デート~。手くらいは繋ぐの~!』と言って、圧し殺します。
ここでも、年配夫婦の存在が大きかった。やはり、『祖母と孫。』そう見える安心感なのか、彼女は握られた手を自分から離そうとはしませんでした。

植物園を出ました。日も西に少し傾き始めています。この後の行動は完全に無計画。何も考えてはいないのです。
『どこか行きたいところあります?』と聞いてみますが、彼女もこれと言ってないようで、『特には。』と答えられます。
ただ、最初に車に乗った時とは明らかに表情が違います。やはり、彼女も不安だったのでしよう。それは、年齢から来るものかも知れません。
それが今では晴れています。きっと、植物園は楽しかったのだと思います。僕が『デート!』と言って手を繋いだことも、悪い気はしてないのです。

僕は考えました。最後まで浮かんだのは『映画』でした。しかし、もっと考えある答えに辿り着いたのです。
『岩下さん、DVD借りることとかある~?』、そう切り出してみたのです。『たま~に。』とだけ返ってきますが、『DVD借りに行こう!』と押しきります。
DVD借りると言うことは、彼女の家に行くと言うことです。僕の中では。それを知ってか知らずか、岩下さんは何も答えず、車はTSUTAYAへと入るのです。

TSUTAYAでは、二人は分かれました。お互いに観たいジャンルは違うでしょうから。僕は選び終え、彼女を探しました。
彼女の手に持った小さいカゴの中には、2枚のDVDが入っているようです。『決まった~?』と声を掛けると、『これにした。』とだけ答えてくれました。
僕はそのカゴを受けとり、『僕、払います。』と伝えます。
『私のは、自分で払う…。』と言われましたが、『男が出すの!今日はデートやろ?』と言って、ここも譲りません。
最後は、『100円、100円。』と言って、無邪気にレジに向かう僕を見て、彼女は諦めたようでした。

しかし、彼女の選んだDVDの隣には、『熟女!となりのおばさん全集①120分スペシャル』と書かれたDVDがあり、それも一緒に借りられるのでした。
18/10/02 15:42 (xZ2j6rk3)
6
投稿者: ヤイチ
夕食は見送られました。日も暮れ出したことで、岩下さんも少し不安になったのかも知れません。コンビニで食料を調達し、家路に着くのです。
車の中で、『DVD、日本の映画借りてたねぇ?』と聞くと、『気になったのがあったから。』と言っています。
そこで、『なら、一緒に観ましょう。食べるものあるし。』と伝えると、コンビニの食料調達の意味をようやく理解をしたようです。
『デート。今日はデート。』と殺し文句のように多用したこの言葉。結局、岩下さんはこの言葉に今日一日反論することは出来なかったようです。
『少し、お片付けさせてくれる?散らかってるから。』と言われ、彼女の家に行くのは40分後ということに決まります。
僕は近くで彼女を降ろし、買い物袋とDVDを渡しました。そして、再び加速をして立ち去ります。近所の目があったためです。

自宅にもどったのは20分後。急いでシャワーを浴び、軽いものへ着替えます。このあと、寝ながらDVDを観るのですから。
しかし、急いだつもりもないのに、まだ10分以上の時間があります。部屋に戻り、隣の部屋にいるであろう彼女を思うのです。
気になるのは、やはりあのDVDです。もし彼女が袋を開いてあれを見たら、どう思うでしょうか。楽しくて仕方がありません。

40分が経過しました。玄関を出て、近所を気にしますが大丈夫なようです。すぐに隣の部屋のチャイムを鳴らします。
岩下さんも、やはり近所の目が恐いのか、待っていたように扉が開かれます。そして、僕を迎え入れると、急いでその扉は閉められるのでした。

リビングへと通されます。部屋を見渡すと、違和感を感じます。この前と、どこも変わっていないのにです。
しかし、その違和感は押入れの前にありました。押入れの前は雑誌や古新聞が置かれ、几帳面な彼女らしくありません。
岩下さんは先に手をうったのです。アダルトグッズの入ったこの押入れを、僕に触れさせないためにです。

テーブルの上には、TSUTAYAの袋が置かれていました。部屋の片付けをしていた彼女です、中身はまだ見ていないのかも知れません。
僕は袋からDVDを取り出し、『これ、お願いします。』と彼女に渡します。彼女はDVDを取り出し、テレビの下のレコーダーに入れました。
テレビに映し出されたのは、彼女の借りた日本映画です。自分が選んだものを他人が観ることの緊張、それが彼女からも感じるのです。
彼女はごまかすように『お弁当食べる?』と聞いてきましたが、『あとでいいです。』と断ります。その代わりに、スナック菓子がテーブルには置かれました。

映画本編が始まりました。僕も彼女もテーブルに手を掛け、リラックスをして観賞します。期待をしていないのに、意外と面白い映画みたいです。
少し、観いっていましたから。岩下さんはどうでしょうか。やはり、彼氏でもない男がここにいる不自然さを感じているでしょうか。
映画の内容も、あまり頭に入っているとはいないかもしれません。

しばらくして、僕は立ち上がりました。すぐに振り向いた彼女も僕の行動を見ていて、やはり画面には集中できていないようです。
『電気消すよ。』と言って、照明を消します。『映画だから暗い方が。』、そう判断をしてくれたようで、彼女は再び映画の画面の方を向くのです。

僕は、岩下さんの顔越しに画面を観ていました。しばらくして、映画の画面などロクに観てないことに気がつきます。
ずっと、彼女の顔ばかりを見ているのです。今までは、どこか年上のおばさんをからかって、楽しんでいるような気持ちもありました。
しかし、この時は違いました。もう、完全に女として見ているのです。僅かに見える首もと、閉じた唇、胸のシャツ膨らみ、どれも凝視をしてしまっています。
エロいことを考えて股間を膨らませ、その怒張を感じて楽しんでいるのです。

ほんと、退屈しない2時間でした。映画のストーリーなどほとんど頭にも入っていません。股間を膨らませ、少し気持ちよくなっていただけです。
それでも、『面白かったねぇ。』と言うと、『よかったわぁ。』と僕が退屈しかなったことに安堵をしています。

僕は照明をつけました。長時間座っていた彼女も少しツラいのか、キッチンへと逃げました。帰ってくるとお茶が用意され、コンビニ弁当で夕食です。
真っ暗な部屋での映画鑑賞の緊張感から開放されたのか、岩下さんの顔にも笑顔が戻り、いつもの会話が始まるのです。
二人で弁当を口に運びながら、会話を楽しみます。そこには、今日の植物園のことももちろん回顧されています。

少し会話が途切れ、岩下さんの手がTSUTAYAの袋に延びました。弁当を頬張りながら、細い指が袋を押し上げ、中のDVDを手前へ引っ張り出します。
彼女の手が止まりました。目でDVDのタイトルを確認し、それを頭の中で整理をするのに、少し時間が掛かったようです。
それを確認した彼女の指は、ゆっくりとDVDを奥へと押し返すのでした。


18/10/02 16:43 (xZ2j6rk3)
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