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「玲子さん。ご相談です。リアル朗読会しませんか?ご都合の良い時にお電話ください。」 菅原から、久しぶりのメールが届く。 菅原は、私の官能小説朗読サイトを管理し、配信作業をしてくれている。 契約社員をしていた予備校を退職した私は、日中は自宅で一人過ごすことが多い。夫も子供もそれぞれ仕事や学校に行っている。 そのため、執筆にあてられる時間も増えて、「人妻 玲子の白日夢」の配信数は20作品以上になった。 普段は、スマートフォンに向かって朗読し、録音している。当たり前だが観客はいない。大昔、高校生時代に演劇部員だったこともあり、観客の生の反応を感じてみたい気もする。 でも。。。これは官能小説。 こんなイヤらしいことを書いている女なら、簡単に遊ばせるはず、と思われるのは怖い。 逆に、もし私の小説を気に入ってくれている人がリアルな私を見て、イメージと違いすぎるとガッカリされるのも、つらい。 とりあえず、話だけは聞いてみようと菅原に電話をかける。 「もしもし、菅原さん?玲子です。今、よろしいですか?」 「こんにちは。あ~良かった、電話くれて。待ってたんですよ!どうです?リアル朗読会。考えてくれました?」 「う~ん。興味がないわけではないんですけど。。。」 私は自分の迷いを率直に話す。 乱行パーティーみたいなものを期待されていたら怖いこと、年齢はオープンにしているものの、リアルな自分を見てがっかりされるのも辛いこと。 「そうですね。最初の心配は、僕が立ち会いますので大丈夫ですよ。場をコントロールします。安全は保証しますから。募集の段階で、純粋な朗読会のため、玲子さんと何かできると期待している方は遠慮してください、と明記します。」 「でも。。。」 「あと、玲子さんの朗読のファンは貴女を見てますからね、橘君とのカラミの写真で。その上で応募してくる人達ですから、がっかりさせることはないと思いますよ!」 「はぁ。。。」 「携帯電話も預かりますし、そうだ!玲子さん、ベネチアンマスクつけてください。それからお客さんにはアイマスクをしてもらいましょう。朗読を聞くことに集中してもらうためにも。そうすればお顔が露出することもありませんし、安心でしょう? 男のほうも、他の人間と顔をあわせるのは気まずいでしょうからね。だから複数で玲子さんに襲いかかるなんてことにはなりませんよ。」 「......。」 「では詳細と日程の候補日が決まりましたら、またご連絡しますので!」 「ちょっ、ちょっと待っ。。」 ツーツーツー。。。 すでに電話は切れた後。 菅原さん、相変わらずせっかちなんだから...。 本当にやるのかしら、朗読会。 でも、お客さんが集まらなければそれまでよね。無料のネット配信を視聴するのとは、訳が違うもの。 そう思いながらも、アイマスクをした男性達の前で、官能小説を朗読する自分を想像し、ちょっとゾクッとしてしまう自分がいる。。。 (続) ........................................................................... くらげより 前作「官能小説 朗読します!」の番外編です。これを読んで興味をもってくださった方、ぜひ本編も読んでくださいませ! 検索で「くらげ」と入れてくだされば、過去の作品が出てまいります。
2019/11/15 12:37:28(Twz0H/6C)
夜の遊園地 少し前の話です。 ちょっとリッチな年上のお友達がいました。 あ、誤解しないでくださいね。リアルな意味でのセックスフレンドではありません。彼は持病があって、女性を抱くことはできない身体でした。でも私の小説を気に入ってくれて、新作が書き上がると飲みに連れていってくれて、作品の批評をしてくれる人でした。 私は普段、若い方とデートするのが好きなのですが、彼との会話は刺激的で、お酒を飲んで色々話すのは楽しかったので、お誘いがあると会っていたんです。 その日は私の誕生日を祝ってくれるというので、シティホテルの最上階のラウンジで乾杯してました。 夫には、職員旅行と偽って外出しています。 今日は帰らなくてもいい。。。その余裕がいつも以上に私を緩ませていました。 二人でボトルのワインを一本あけた頃でしょうか。彼が私にこう言いました。 「お誕生日おめでとう。仕事に家庭に作品の執筆に、玲子さんは、いつも頑張ってるから今日は特別にプレゼントがあるんだ。」 「この席が十分プレゼントでしょう?お料理もお酒も美味しかったです。ご馳走さまでした。」 「いや、これだけじゃないさ。今日は急がなくてもいいんだろう?玲子さんを楽しい場所に招待するよ。」 「楽しい、場所。。。?」 「う~ん、簡単に言うと、夜の遊園地みたいなところかな。」 「夜の遊園地?なぁに、それ。今からディズニーシーでも連れていってくれるの?」 彼は微笑みを浮かべ、首を横に振ると、チケットのようなものをテーブルの上に置きました。 私はそれを手に取ると、印刷された文字に目をやります。 「大人のアリス達へ ワンダーランドへようこそ。 アリス倶楽部」 私は吹き出してしまいました。 「ずいぶんなコピーね、これ。ホストクラブか何か?」 「違うよ。もっと楽しい大人のアミューズメントパークだ。きっと玲子さん、気に入るよ。さぁ、夜は短い。行こう。」 私は彼に促され、席を立ちました。 ホテルに待機しているタクシーに乗り、彼が行き先を告げます。20分ほど乗っていたでしょうか。私の全く知らない場所にタクシーは止まりました。 一見すると、そこは単なるビルのように見えました。エレベーターに乗ると、彼は地下2Fのボタンを押します。 エレベーターから降りて、目を見張ります。 そこにはビルの外観からは想像もつかない、重厚なドアがありました。 彼がコツコツと扉についた金具を叩くと、中から、執事のような格好をした男性が私達を迎えいれます。中は本当に、テーマパークの洞窟を模したような不思議な空間になっていました。 「三枝様。お待ちしておりました。こちらが今日のアリス様ですね。」 いい年をして、アリス様、などと呼ばれることに抵抗がなかったとは言えません。でも、この不思議な空間の中にあって、少し舞い上がっていたのも事実です。 「三枝様はどうぞこちらへ。お席を設けております。」 彼は別のスタッフに連れて行かれようとしています。 「えっ?貴方は一緒じゃないの?」 私は思わず彼に言いました。彼は私に 「楽しんでおいで。」と言って行ってしまいます。 残された私に、さっきの執事風の男性が話を続けます。 「アリス様。こちらの施設のご説明をさせていただきます。当倶楽部は、大人の女性に楽しんでいただくことを第一に考えております。 リラックスしていただくために、最初にアリスのバスルームにご案内します。その後、お好きな衣装をお召しください。日帰り温泉などで、浴衣を自由に選ぶサービスがございますよね。そんなイメージと思ってください。」 「はい。。。」 訳がわからないまま、私は返事をしてしまいます。 「その後、こちらのパスポートの順にお部屋を回っていただきます。その都度、スタッフがご案内しますので、ご心配はいりません。」 私はその「パスポート」を覗き込みました。そこには アリスのティーカップ アリスの馬車 アリスのトイ・ルーム 鏡の国のアリス アリスのメリーゴーランド と書かれています。 その時は、なるほど確かに遊園地ね、という感想しかもちませんでした。 それが長い長い夜の始まりだったとは、思いもしなかったのです。。 (続)
19/11/17 09:14
(CuJfMRNk)
怜子様、
新たなエロスのワンダーランドへの旅立ち、そして新たな快楽の世界に引き込まて行く。 そしてメスとしての本能に目覚め、溺れていかれるこれからの物語の進行を期待して、♂としての本能を目覚めさせて、拝読させて頂いてます! 多分このような展開に、、いや怜子様ならば、更にその期待を嬉しく裏切って、更なる展開にして頂けるのでは、、凄く楽しみです!(^-^)
19/11/17 21:02
(XGWVNIyl)
「朗読会」って、ステキなアイディア!!
ユウジさんとのコラボ企画なんですね。 玲子さんがパーティションを出る前に鏡をもう一度確認する辺りや「怖い」って感想が出てくる所はとても臨場感を感じさせます。 これからの展開、楽しみにしてますね。
19/11/18 00:46
(UjsK2OnK)
ゆき太郎さま、はっしーさま、コメントありがとうございます!
19/11/18 06:16
(dL6HhQON)
アリスのバスルーム
「では、アリス様。こちらへ。」 執事風の男に案内された小部屋にはたくさんの衣装がありました。不思議の国のアリスがテーマになっているだけあって、可愛いアリス風の服もたくさん。 水色のワンピースに白のフリルのエプロンという定番のアリスの衣装は、さすがに着る気にならず、見た中では一番シックな黒のロングドレスを選びます。 隣の籠には色とりどりのランジェリーが並んでいます。替えの下着を持ってきていなかったので、シャワーを浴びるなら、と深く考えることなく、ドレスに合わせて黒いレースで彩られたセットを手に取りました。 「お決まりになりましたか?では奥のスペードのマークがついたドアにお進みください。そちらがアリスのバスルームでございます。ゆっくり汗をお流しくださいませ。お出になりましたら、この呼び鈴を鳴らしてください。」 執事風の男が衣装部屋から出ていくのを見届けてから、スペードのドアを開けます。 うわぁ。。。 バスルームは一言で言うとトランプの館でした。壁には、ジャック、クイーン、キングの絵柄が描かれ、スペード、ハート、クラブ、ダイヤの形にくりぬかれた小窓がたくさんあります。バスタブは、真っ赤なハートの形です。 ワインの酔いもあり、その極彩色の空間でシャワーを浴び、ハート型のバスタブにつかると、本当に異次元に迷いこんだ気がします。 バスタブには鮮やかな色の花びらが浮かんでいて、甘い香りが漂っています。年甲斐もなく、一人ではしゃいでフラワーバスを楽しんだ後、少し風にあたろうと、小窓に近づきました。 あれ? 窓を開けようとして気がつきました。どの窓も、ガラスではなく鏡が嵌め込まれていて、覗くと自分と目が合います。 訝しく思いながらも、のぼせないうちに出ようと深くは考えずに脱衣場に出ました。後でわかったことですが、この後で回る部屋全てに、この小窓がありました。 お気づきでしょうか。 この窓の鏡は、全てマジックミラーでした。。。 (続)
19/11/18 20:47
(dL6HhQON)
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