なにも知らない奈津美は、今日の孝之の温もりが体にまだ感じられた。
「おいしいハンバーグの作らなきゃ！」と奈津美は眠った。


翌朝、奈津美が朝食を作っている。
夫はテレビを見ている。
「昨日、夜10時頃…○○県の宿泊施設で…男性がぐったりしていると119番通報があり、駆けつけたところ…」
夫は髭反りをしていて途中までしか聞こえなかった。
皿をテーブルに置くと「昨日、ホテルで若い男が首締められて死んだみたいだな？」と夫は話す。
「物騒ね？」と奈津美は子供たちに挨拶しご飯を食べさせた。

まったく気づかない奈津美。
孝之に朝にメールをしたが、返信が来なかった。
「どうしたのかな？」と奈津美は気にしていた。
夜に出張で夫は居ない。
何気にテレビを付けて、奈津美はビールを飲み干す。
缶を冷蔵庫から取り出し居間に持ってくる時にアナウンサーが話す。
「不倫のもつれかいやはや、ショッキングなニュースです」と男性アナウンサーが話す。
「昨日、夜10時頃、○○県○○市の宿泊施設で、119番通報があり、駆けつけた救急隊員に搬送されましたが死亡が確認されました。高村孝之さんはベットの上でぐったりし…」
奈津美は何も聞こえなかった。
聞きたくなかったが正解だったのか…
ビールは落とし零れているがそのまま…
「孝之くん…死んだ…嘘でしょ？」
奈津美はテレビの音量を上げた。
「警察は119番通報をした品川恵美さんから詳しい事情を聞いています。」
ダブルショックだった。
「何で恵美が…孝之くんとなんで？」
慌てた奈津美は恵美の携帯を鳴らすが誰も出なかった。

孝之も出なかった。
いてもたってもいられなかった。寝るに寝れず、真夜中にネットを見てるとニュースが書かれている。
ニューススレッドに「人妻がラブホでパトロンを絞め殺す。@○県のラブホで」
と題され、皆がレスを返している。

身勝手な人たちが好き勝手に書いている。
人妻とヤりてぇ！や、絞め殺すなんて、と返している人や、ホストか何かだろ？と返している人も居た。

見ているとイライラした奈津美はいつのまにか寝ていた。
翌朝、ワイドショーは格好のネタを報道している。
見覚えがあるホテルには報道が詰めかけている。
「○○県人妻不倫殺人」と題され、ワイドショーは恵美の話や孝之の話をしている。

それを見て居た奈津美に電話が鳴る。
警察からだった。
「品川恵美さんのお話を」と言われ、警察が現れた。

警察は、恵美の話を聞いてきた。
「知りません」と奈津美は二人の経緯に答えた。
警察はにじりよる。
「高村孝之さん…ご存知ですよね？たと警察は聞いてきた。
「はい」と答え、奈津美に聞いてきた。
「どういう御関係ですか？」と聞かれ「ちょっとした…」としか話さない奈津美。
不倫相手とは言えない。
「奥さんも高村孝之さんとは不倫なされてましたね？」と聞かれ黙り込んだ。
「表には出しません」と聞かれ奈津美は頷いた。
経緯を聞かれ話すと「品川恵美さんと高村孝之さんもそういった関係なのを本当に知らなかったんですか？たとしつこく聞かれたが、まったく知らない奈津美はニュースで知ったと話した。
嘘はないとみた警察は帰りに「改めて後で…」と言い残し、奈津美は数日後に警察に再び説明した。


その頃に輝美も同様に警察は聞いてきた。
お腹が目立つようになった為、警察は自宅でしつこく聞いてきた。

凄い展開になってきた…続き待ってます。

警察から出頭要請が来た。
奈津美が署に向かう。
奈津美が署に入る傍ら、テレビ局が中継をしていた。
新聞もテレビも喜ぶネタだった。
「不倫のもつれか？○○殺人事件」題し
「不倫愛憎の悲劇」や「不倫妻の凶行」など好き勝手に報道する。
お馴染みのレポーター達が供述を読み上げた。
孝之の会社の上司もいんたびゅー

奈津美は中に入ると刑事が調書を取り始めた。
「貴方は容疑者と面識がありましたね？」と言う話から徐々に話が核心に向かいだす。

「奈津美さん、貴方と被害者が肉体関係になったのはいつからですか？」と話すと奈津美はおおよその季節を話す。
「なるほど、それでは容疑者と被害者が肉体関係にあったことはご存じですか？」と聞かれ知りませんでしたと話した。
「友人通しで？」としつこく聞かれ知りませんでしたと話した。
わかりましたと答えた。

「では伺います？須玉輝美さんはご存じですか？」と聞かれ「恵美が食事に誘い２度ほど…」と話した。

「彼女も同様に孝之さんとは不倫していた事は？」と聞かれ絶句した。

「何かの間違いでは…」と話すと「輝美さんも関係があったんですよ」と言われ言葉が無かった。

署を出る奈津美はとぼとぼと帰宅した。
孝之の明らかになった事実に奈津美はショックだった。
でも最後になった温泉での情交は想いが伝わって…それも遊び…奈津美は苛立ちを覚えたが孝之はもう居ない。

テレビ局が報道するのをただ日々傍観した。