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1:ジロー日記・愛と欲望の果て①
投稿者:
青山ジロー
◆NlGBMINPB2
◆プロローグ 2008:9月の上旬‥ この夏は、例年に無い程の猛暑が続いた年だった‥ 9月に入っても、 日中の陽射しが衰えを見せる様子も無く、うだる様な暑さが続いていた有る日の夕刻‥ 突然掛かってきた見知らぬ男からの一本の電話‥ その一本の電話から、 この物語はゆっくりと動き始め、 幾つもの歯車は、 少しずつ狂い始めていった‥ 私‥青山ジローは、某出版社で雑誌の編集長に就いている、今年50歳になる中年男である。 妻の良子とは社内恋愛の末結ばれた。 10歳年下の妻は若い頃、黒木瞳似の美人と持て囃される程、社内でも人気の女性で、 私を含め、男性社員の間でも憧れの存在の女だった。 その彼女を、私が射止める事が出来たのは、 当時、同じ編集チームの先輩、後輩と言う立場で仕事に就き、仕事を通じて彼女と一緒に居る時間を、他の誰よりも長く共有する事が出来たからだった。 そんな妻も今年で40歳‥ 早いもので、私達夫婦も今年で結婚15年目を迎える事となった。 惚れ込んで一緒になった私‥ しかし、流石に15年も一緒に生活をしていると、 すっかり刺激も無くなってしまい、 最近では、マンネリ気味のせいもあってか、セックスの回数もめっきりと減ってしまい、 刺激の無い生活が続いていた。 それでも私は、 そんな生活に特別不満を感じる様な事も無く、 平穏で穏やかな日々が過ごせる今の暮らしに満足していた。 あの日‥ あの‥一本の電話が鳴る迄は‥ ◆登場人物 ●青山ジロー: 筆者 年齢:50歳 職業:某出版社、第3編集企画室、編集長 趣味:ゴルフ ●青山良子: 妻 年齢:40歳 職業:主婦 趣味:陶芸 ●青山梨恵: 長女 年齢:14歳 職業:中学二年生 趣味:アニメーション ●二宮綾子: 義妹 年齢:35歳 職業:某通販会社コールセンター勤務 趣味:トレッキング ●二宮結衣:妹の長女 年齢:10歳 職業:小学五年生 趣味:? ●上田和也:妻の愛人 年齢:38歳 職業:某証券会社、顧客管理部課長 趣味:ビリヤード
2009/06/13 01:20:31(xWOUm3vf)
ージロー日記ー ◆非通知着信① 9/10 その日も私は、 何時もの様に週刊誌の締め切りに追われながら、 慌ただしく編集業務をこなしていた。 デスクの上に置いていた携帯の着信音が鳴ったのはそんな時だった。 時刻は15:00を回った所だ。 携帯を開き、ディスプレイを確認する‥ 着信画面は非通知の表示を知らせていた。 非通知の着信には普段から出ない様にしていた私は、 その着信を気に止める事もなく、そのまま携帯を閉じたのだ。 その後、10分程経ち、 丁度、部下と編集の擦り合わせの作業をしていた時だった。 再び、携帯が鳴った‥ 携帯を開いてディスプレイを確認する‥ ん‥?、また非通知か‥ ふん‥、どうせ振り込め詐欺か何かのイタズラ電話だろう‥ 私は勝手にそう思い込み、そのまま携帯を閉じた。 着信音は鳴り続けたままだ‥ 「‥編集長‥? 携帯‥鳴ってますが‥ 出なくて良いんですか‥?」 部下が訊ねてくる。 「ああ‥これか‥! 別に良いんだよ‥ほっといて‥! 非通知で掛けてきてるから‥ どうせイタズラか何かだろう‥!」 そう言い切った私は少しばかり不機嫌になっていた。 締め切りに追われているこのクソ忙しい時に、下らんイタズラ電話なんか掛けて来やがって‥と思い、そんなのに構っていられる状況ではなかったからだ。 ‥‥‥‥‥ その日の業務に何とか目処を付け、仕事を終え会社を後にした時には、時刻は既に19:00を回っていた。 9月も半ばに差し掛かろうと言うのに、気温はまだまだ高く、蒸し暑い外気が一気に襲ってくる‥ ワイシャツの下から吹き出てくる汗が、あっという間に身体中をベトベトに濡らしていく‥ 私は、少しでも早くシャワーを浴びたい衝動に駆られながら、 帰宅を急ぎ、青山通りを駅に向かい歩いていた。 内ポケットの中に入れた携帯のバイブが震えたのはその時だった‥ 携帯をポケットから取りだし、ディスプレイを確認する‥ 非通知だ‥! 又か‥! しつこい奴だな‥! イタズラにしてはいささかしつこすぎる‥ その時私は、少しばかりの不安を覚え、電話に出てみる事にした。
09/06/13 01:40
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◆非通知着信② 「‥もしもし‥!」 「 ‥‥‥‥ ………… 青山さん‥?」 「 …‥? そうですが‥?」 「 ‥‥‥‥‥ 」 「‥もしもし‥?」 「 ‥‥‥‥‥ 留守電‥聴いて頂けました‥?」 「留守電‥? あっ…! いや‥聴いてないです‥!」 しまった‥! 留守電のチェックをするの、うっかり忘れてた‥! 私は、忙しさの余り留守電の確認をしていなかった事を思いだし、 てっきり、仕事関係の大切な伝言が残されていたのだと思い一瞬焦ってしまっていた。 「‥そうですか‥ まだお聴きじゃなかったですか‥!」 「はい‥すみません ‥‥‥‥‥ あのっ‥失礼ですがどなた様でしょう‥?」 「では‥また、後程お電話しますので‥ 留守電聴いてみて下さい‥!」 「えっ‥?あっ‥!もしもし‥もしもし‥?」 男はそう言い残すと、私の問いには応えず、一方的に電話を切ってしまった。 何だ‥? 何か無礼な奴だな‥ 私はそう思いながら、留守電に残されたメッセージを急いで確認してみる事にした。 留守電には、二件のメッセージが録音されていた。 一件目のメッセージを確認する‥ 「‥あっ‥ん‥ぁん‥ああ-っ‥あっ‥ぃぃ-‥ああ-‥」 街の騒音の中では、はっきりと聞き取れなかったが、10秒程で切れてしまった録音には、悶え喘ぐ女の声が残されていた‥ 何だ‥一体‥? 何か、如何わしいエロサイトか何かの宣伝か‥? 私の頭の中では、 混乱が始まっていた。 取り敢えず、もう少し静かな場所で聴いてみようと思い、 私は本通りを外れ、人通りの少ないビルの谷間へと場所を移動し、 二件目のメッセージを聴いてみる事にした。 二件目のメッセージ‥ 「‥ああ-‥ぃぃ-‥も、もっと‥あっ‥突いてぇー‥あっ‥あっ‥か、かずや-‥す、好きよ-‥あっあっ‥ああー」 今度は、20秒程の間喘ぎ狂う女の声が、はっきりと聞き取れた。 そして‥ 最初の留守電では感じなかったその喘ぎ声が‥ 何処と無く、妻の声に似ている様に感じた。 嫌な予感がしていた‥ その時だ‥! 再び携帯が鳴った‥
09/06/13 02:21
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◆非通知着信③ 先程と同じ非通知着信だ‥! さっきの男からに違いない‥! 私は、慌ててボタンを押すと急いで携帯を耳に押し当てた。 「もしもし‥!」 「 ‥‥‥‥ 聴いて頂けました‥?」 落ち着き払った男の静かな声が返ってきた‥ 「‥ああ、聴いた‥女の声が入ってた‥何なんだ一体‥?」 「 ‥‥‥‥ 」 「何の嫌がらせのつもりだい‥? ‥‥‥‥‥ 一体、君は誰なんだい‥?」 男が誰なのか…、 目的が一体何なのかが判らない‥ しかし‥ 一つだけ言える事は、 男が私の名前も、 携帯の番号も知っていると言う事だけは、はっきりとしていた。 だから‥今は下手に強気な態度は取れない‥ 私はその時、咄嗟にそう感じ取り、 なるべく男を刺激しない様に、 しかし、決して相手に漬け込まれない様、堂々とした態度を示しながら、 冷静に受け答えをせねばと感じ取っていた。 「 ‥‥‥‥ 声を聴かれてもお解りになりませんか‥?」 「‥‥えっ‥!?」 突然の男の問いかけに私は度肝を抜かれてしまい、返す言葉を失った‥ 嫌な予感が的中してしまった瞬間だった。 「あなたの奥さんの声‥!」 「 ‥‥‥‥‥ 」 強烈的な衝撃だった‥ 心臓は激しく鼓動を打ち始め、 急速に頭に血が昇り始めるのが解った‥ 「‥もしもし‥? 聞いておられますか‥?」 「い‥一体‥ ど‥どう言う事なんだ‥?」 そんな言葉を吐くだけが精一杯だった‥ 「 ‥‥‥‥‥ あの声は‥ 先程、私と奥さんが交わってる最中の声です‥」 落ち着きはらった男の声が、静かな口調で語りかけてくる‥ 私の頭の中に、 見知らぬ男に組敷かれ、悶えながら喘ぎ声をあげる妻の姿が映し出される‥ 「‥一体‥どう言うつもりだ‥? ‥‥‥‥‥ 何が目的でこんな事をする‥? ‥‥‥‥‥ それに‥あの声が‥女房だと言う証拠が何処に有ると言うんだ‥?」 私は、男に向かってそうは叫んでいたが、録音されていた声が妻の声で有ろう事は、確信に近いものを感じ取っていたのだった‥ 「突然、こんな風に電話で告げられても、青山さんが信じられないのはごもっともの事だと思います。 しかし青山さん‥私が言ってる事は真実です」
09/06/13 02:31
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◆非通知着信④
「真実って‥ ‥‥‥‥‥ き‥君は‥一体誰なんだ‥?」 「私は、奥さんとお付き合いをさせて頂いてる男です‥!」 「つ‥付き合ってるって‥? ‥‥‥‥‥ に‥女房と不倫をしてるって言うのか‥?」 「はい‥ そう言う事になります‥!」 激しい動悸に呼吸は乱れ始め、 震えだす声を抑えるのに私は必死になってしまっていた。 妻が‥不倫‥? 清楚で、淑やかで、お嬢様育ちのあの妻が、大胆にも私に隠れて不倫をしている‥ 突然、目の前に突き付けられた現実が其処に有った‥ 一緒になって15年‥ 妻として、そして母として家庭を守り、私だけを愛し、 ずっと、私だけの女で居てくれていると思っていた‥ そんな妻が‥ 信じられなかった‥ いや‥、と言うよりは信じたくはなかった‥ 私の心の奥底から…妻と男に対しての、怒りににも似た感情と、熱い嫉妬心が沸きあがっていた。 只‥その一方で、 妻と男の乱姿を想像しては、 自分でも上手く説明が出来ない抑えきれない感情と、 どす黒い欲望の様なものが、 心の奥底で蠢き始めている事に気付いたのだった‥ 「ぃ…一体どういうつもりだ…? …………… にょ‥女房の浮気相手が一体‥ 俺に何の様だ‥!」 私は、震える声を必死で抑えながら、 男に向かって、言葉を吐き捨てるかの様に言い返した。 「理由ですか‥ それは、 あなたの願望を叶える為に、 私が青山さんにお力をお貸ししようと思っている事です。 ‥‥‥‥‥ 良子さんから伺ってますよ‥ 青山さんが3Pプレーをしてみたいと仰っている事‥! ‥‥‥‥‥ 良子さんが、あなた以外の男に抱かれる姿を見てみたいと仰った事‥! ‥‥‥‥‥ 青山さん‥! あなた‥寝取られ願望をお持ちなんでしょう‥! ‥‥‥‥‥ その願望を、私が叶えてあげようと言っているのです‥!」 自信有り気な男の言葉は、まるで私の全てを見透かしている様な言い振りに聞こえた。 確かに二ヶ月程前、一度だけ妻に3Pの話しをしてみた事が有った。 しかしその時の妻は凄い剣幕で怒りだしてしまい、変態呼ばわりまでされてしまったのだ。 その後私は、 一切その話題には触れない様にしていた。 それなのに‥ そんな妻が不倫をしていたとは‥
09/06/13 02:42
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◆非通知着信⑤
妻の裏切りと、 浮気を見抜けなかった自分自身のアホさ加減に腹立たしさを覚えてしまう。 今妻は、この男に対してどう言う気持ちでいるのかが凄く気になり始めた‥ 思わず私は、男に対して強い口調で言葉を吐き捨ててしまった。 「女房とは、何時から付き合っているんだ‥!! ‥‥‥‥‥ ちゃんと答えろ!」 「 ‥‥‥‥‥ 」 「もしもし‥!もしもし‥!」 「 ‥‥‥‥‥ 」 男からの応答が全く返ってこなくなってしまった。 しまった‥!! 男を怒らせてしまったか‥? 私は、思わず怒鳴ってしまった事で、 男の気分を損ね電話を切られては、 真相も、妻の気持ちも聞き出す事が出来なくなってしまう状況で有る事に改めて気付いた。 「‥もしもし‥!」 私は、昂った感情を抑えながら、今度は問い掛ける様な口調で男に呼び掛けてみた。 そうすると、 一呼吸置いて、男の声が静かに返ってきた。 「 ‥‥‥‥ 青山さん‥ そう感情的にならないで下さい。 あなたがそんなだと、こちらの提案も何も、お話し出来ないですよ。 ‥‥‥‥‥ あなたのお力にもなれませんよ‥! ‥‥‥‥‥ 何なら‥このまま電話、切ってしまいましょうか‥?」 「い‥いやっ‥ 判った‥! 判ったからちょっと待ってくれ‥! ‥‥‥‥‥ 怒鳴ってしまって悪かった‥! ‥‥‥‥‥ もう、感情的にはならない様にするから、妻との全ての状況と、 君の提案とやらを聞かせて貰えないか‥?」 「‥そうですか… 分かりました。 青山さんにそう言って頂けるのなら、 お話しを続けさせて貰いますよ‥!」 自分自身の感情は取り敢えず後回しだ‥ とにかく今は二人の現在の状況を知る事が先決なのだ‥! 「先ず、奥さんとの関係ですが‥ お付き合いを始めたのは、三ヶ月程前からになります‥ ‥‥‥‥‥ そして‥ 今‥奥さんは、私に惚れ始めています‥ ‥‥‥‥‥ それでも‥ 私から言うのも変ですが、 良子さんがあなたの事を愛している事だけは確信しております‥」
09/06/13 02:55
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