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―ジロー日記― ◆綾子の告白① 9/24 今日は急遽、妹の綾子と会う事になり、 午後から予定を組んでいた3件の取材の内1件をキャンセルし、18:00の待ち合わせに何とか間に合わせる為に、 私はいつも以上にペースを上げ仕事を片付けた。 綾子から話が有るから会って欲しいとの突然の連絡‥ その理由が先日の事である事だけは確かだと思う。 一体‥綾子は私に何を話すつもりでいるのだろう‥? あれだけの事をしてしまった訳だから、ある程度の覚悟はしておかねばならない‥ しかし、電話の声から受けた感触は、 決して怒っている様な印象は受けなかったのだが‥ ‥‥‥‥‥ 夕方‥ 一先ず仕事にメドがつき、 帰宅が遅くなる事を伝える為、退社前に私は妻に連絡を入れた。 「はぃ、青山でございます‥!」 「ママ、俺だけど‥!」 「あら、パパ‥どうしたの‥? ひょっとして今日も残業‥?」 「あぁ‥少し遅くなると思う‥!」 「そう‥ 毎日大変よねぇ‥ ‥‥‥‥‥‥‥ ねぇ‥もし私にお手伝い出来る事とか有れば持って帰ってね。 原稿の打ち込み位なら私にも出来るし‥!」 「あぁ、ありがとうその時は頼むよ!」 「うん、そうして!お食事は‥?」 「うん、今日は外で済ますよ‥!」 「そう‥判りました‥! ‥‥‥‥‥‥‥ ねぇパパ‥? ちょっと気になってる事が有るんだけど‥?」 「ぇっ‥なに‥?」 「うん、大した事じゃ無いんだけど‥‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 土曜日の夜‥ 綾と何か有った?」 「えッ‥? 何かって‥?」 私は妻の突然の問いに、一瞬〃ドキッ〃としてしまい、 ひょっとして綾子が昨日の事を妻に話してしまったのでは‥と思ってしまったのである。 「別に何にも無いけど‥? どうした‥?」 「そぅ‥? いえね‥あの子‥ 日曜日の日、朝からずっと様子が変だったから‥?」 「変て‥? どんな風に‥?」 「ん─‥何かねぇ‥パパが居ない所では普通にしているのにパパが綾の傍に来ると急に元気が無くなってた様に見えたから‥? 綾と喧嘩でもしたのかなって‥?」 「ぇ‥別にしてないよ‥! 俺は特に変だとは感じなかったけどなぁ‥? 前の日に飲み過ぎてから体調が悪かったんじゃないの‥?」
2009/06/21 04:11:10(EjuWVjzl)
◆綾子の告白② 「そう‥?‥ 私の思い過ごしかなぁ‥? 別にそれだったら良いんだけど‥?」 「あぁ‥ママの思い過ごしだって‥!」 「そう‥? 別に何にも無かったんだ‥ ‥‥‥‥‥‥‥ そうね‥判りました‥! ごめんね、変な事聞いちゃって‥! 少し気になっただけだから‥!」 「あぁ、別に良いよ‥! 余り気にし過ぎるなよ‥! それじゃあ‥!」 「はい、じゃあお仕事頑張ってね‥」 私は電話を切った後妻に知れてなかった事にホッと胸を撫で下ろした。 しかし‥妻がこんなに感の鋭い女だったとは‥ 驚きです‥! ‥‥‥‥‥‥‥ 17:00過ぎに会社を出た私は、18:00五分前に新宿駅に着いた。 待ち合わせした伊勢丹正面入り口へと急いで向かう。 近く迄行くと、 入り口で待っている綾子の姿が目に留まった。 胸元に大胆なカットが施され、淡いピンク色の花柄模様のワンピースに肩まで伸びた茶色の髪が風になびいて、 綾子は大人の女の色気を漂わせていた‥ 俗に言う〃良い女〃とはこの事を言うのだろう。 連れて歩くには自慢の女だと思う。 綾子も私に気付き、小さく手を振ってくれている。 急いで綾子の傍に駆け寄る。 「遅くなったね‥!‥‥待った‥‥?」 「んーん‥私も今着いたとこ‥!」 「そう‥食事は?」 「ん、まだ‥!」 「じゃぁ何か食べようか‥?」 「うん‥!」 頷く綾子の表情が私には少しはにかんで いる様に見えた‥ 「何処に行く‥?」 「ん~‥ジロー兄に任せる‥!」 「ん~‥何か食べたい物とかは‥?」 「ん~‥軽い物で良い‥!」 「ん、判った‥! 少し歩くけど良いかな‥?」 「うん‥!」 綾子は少しだけ笑むと小さく頷いた。 こんなしおらしい綾子を見るのは初めてだ。 いつもの元気な綾子とはまるで別人の様に見える。 それに‥ 今日の綾子は、 昨日我が家を訪れた時とはまるで別人の様に綺麗だ‥ 二人で連れ立って新宿の三丁目方面に歩いて向かった。 こうして綾子と二人だけで会うなんて初めての事だ。 歩く度に綾子の髪は風になびき、 そこから甘い香りが漂ってくる。 先日の綾子の喘ぎ声と唇の感触、豊かで柔らかい乳房の感触が甦ってしまう。 そんな綾子が、 唐突に話し掛けてきた。
09/06/21 04:19
(EjuWVjzl)
◆綾子の告白③ 「ねぇ‥ジロー兄‥この前‥‥‥‥聴いたの‥?」 綾子は視線を落とし俯いている。 顔が赤く高揚して見える。 私はその質問の意味を直ぐに理解する事が出来た。 しかし、とっさの事で何と答えて良いのやら直ぐには返事が出来ないでいた。 「ジロー兄‥聴いたんでしょう‥?」 俯いたまま、 か細い声で綾子が再度尋ねてくる。 そんな綾子を見ていると意地らしく思え私は正直に答える事にした。 「うん‥聴いた‥!‥‥ごめん‥!」 「‥やっぱり‥‥ 聴かれちゃってたのかぁ‥! ‥‥‥‥‥‥‥ 何で‥あんな事、したの‥?」 「 ‥‥‥‥‥ 」 「お願い‥答えて‥!」 「綾ちゃんの声を聴いてたら、堪らなくなったから‥ あんな事して悪かったと思ってる‥! ごめん‥!」 「 ‥‥‥‥‥ 良いよ‥ 謝らなくて‥! それだけ‥? 他に理由とかは‥?有る‥?」 「うん、ある‥!」 「何?‥教えて!」 俯いていた綾子が顔を上げて私を見つめる。 「あの日、綾ちゃん ‥‥‥‥‥‥ 覗いてたろう‥?」 「えッ‥? ‥‥‥‥‥‥」 「俺達のセックス‥観てたよね‥?」 「 ‥‥‥‥‥ 気付いてたんだ‥? ‥‥‥‥‥‥ ごめんなさい‥!」 綾子は一瞬、驚いた表情を浮かべ、そして再び顔を伏せてしまった。 「そんなに気にしなくて良いよ‥! 俺だって綾ちゃんにあんな事したんだから‥! 何で覗いたの‥?」 「 ‥‥‥‥‥ 」 「言ってくれないかな‥?」 「声が‥ 声が聴こえたの‥ お姉ちゃんの‥! だからつい覗いてみたくなって‥」 「そうかぁ‥ 聴こえてたのか~‥それで覗いたんだ‥ ‥‥‥‥‥‥ 他に理由とか無かったの‥?」 私は綾子に飲ませた媚薬の効果が気になっていたのだ。 「んーッ‥? 良く判んないんだけど‥ 声を聴いたら急に身体が熱くなってきたの‥! それで何だか変な気分になって‥!」 やっぱり媚薬の効果は有ったのだ。 これで綾子にも媚薬が効く事がはっきりとした。 「そうかぁ‥ それで覗いたんだ‥うん、判った‥! ありがとう話してくれて‥嬉しいよ!」 そんな話をしている間に私達は目的の店に到着していた。
09/06/21 04:24
(EjuWVjzl)
ジロ-さん、いよいよ新たな展開になってきましたね。私の妻が『ジロ-さんだったら抱かれてもいいかも』って言いました。ジロ-さんはどう思われます?
09/06/21 04:24
(OHvLaGkj)
◆綾子の告白④ 1階~3階が洋風酒場で地下1階がロシア民謡などを唄える歌声酒場になっている、〃どん底〃と言う 居酒屋です。 この店はもう半世紀以上も営業している店で屋号は芝居の、ゴーリキから由来しているらしい‥ 店内に入ると、まだ時間が早いせいか、客はまばらだった。 私達は2階のテーブル席に着く。 綾子はカンパリソーダを注文し、 私はこの店オリジナルのカクテルを頼みんだ。 ついでにこの店評判のピザも一緒に注文する。 酒が来るとグラスを合わせ取り敢えず乾杯をした。 今の私達は他人から見ると、きっと仲の良いカップルに見えているだろう。 綾子はグラスを傾けながら物珍しそうにキョロキョロと店内を見回している。 「何か変わった雰囲気の店ね‥! ジロー兄、このお店よく来るの‥?」 「あぁ、新宿に来た時は大抵来るかなぁ‥ 面白い店だろう‥ 地下では皆で唄を歌ったりするんだよ。結構、芸能人も来るしね‥!」 「へーそなの~‥ さすが仕事柄色んなお店知ってるのね‥!」 私達はお互いにグラスを空けてお代わりを頼みます。 綾子はジンライムを注文しようとしたのでギムレットを勧めてあげた。 私はシャンディガフを頼んだ。 ――――――― ※シャンディガフ ビールとジンジャーエールを1対1の割合で混ぜた口当たりの円やかな飲みやすいカクテルです。 お酒の苦手な方一度お試しあれ。 ※ギムレット ジンライムをシェイキングすれば呼び名がギムレットに代わるカクテルです。 シェイクするだけで味が円やかになり、飲みやすく女性にお勧めのカクテルです。 ――――――― 「綾ちゃん‥ この前の事、本当に怒ってない‥?」 「‥怒ってる!‥ ‥‥‥‥‥‥‥ 嘘よ、怒ってない‥!」 アルコールが入り、だいぶリラックス出来たのか綾子の顔から笑みが零れる。 しかし視線は私ではなく、グラスを見つめたままで答えている。 「でも‥ 突然だったから驚いた‥!」 「そうだよね‥ いきなりあんな事したんだから‥ あの時は本当にどうかしてたんだ‥! 悪い事したと思ってるよ‥ごめん‥!」 「どうしてそんな風に何度も謝るの?」 「い、いや‥ だって‥そ、それは‥ 綾ちゃんに本当に悪い事したと思って‥」 「うそ! 私にではなくてお姉ちゃんにでしょう‥?」
09/06/21 04:30
(EjuWVjzl)
◆綾子の告白⑤ 綾子は上目遣いで私を見つめると、はっきりとした口調で言う。 「それも有る!」 「あんな事して‥ 私がお姉ちゃんに言いつけるかもって思わなかったの‥?」 「ごめん‥ あの時の俺は、理性を無くしてしまって後先の事なんか考えていなかった‥」 「 ‥そう?‥ 」 そう答えた綾子は暫くの間、物思いに更ける様にグラスを見つめ、黙り込んでしまつた。 私はこの時一瞬、 綾子が先日の事を、本当に妻に話してしまうのでは、と不安になっていたのだった。 もしこの事が妻に知られたら‥ 現在上田君と進行中の計画全てが終わりになるだけではなく、下手すると離婚に発展する事だってあり得る。 もしそうなったら、妻の心は間違いなく上田君に向かってしまうだろう。 しかし私は、 先日綾子から感じ取った態度と反応で、綾子が妻に告白する事は決して無いだろうという自信が心のどこかに有ったのだ。 「ねぇジロー兄‥?」 「ん‥?」 「あの時私がどんな思いだったか教えてあげましょうか‥」 「う、うん‥!」 「本当はね‥ 嬉しかったのよ‥ ‥‥‥‥‥‥ 私、昔からジロー兄の事が好きだったから‥!」 「えッ‥? 昔からって‥?」 それは余りにも突然の綾子の告白だった。 「そう昔から‥! お姉ちゃんが初めてジロー兄を家に連れて来たあの日から、ずーっとよ!」 「それって‥ まさか15年も前‥?綾ちゃんがまだ20歳の時‥?」 「そうよ‥! 知らなかったでしょう‥?」 「あ、ああ~‥」 「そうよね‥ 由衣が生まれる迄はそんなに会う機会も無かったし、 家族付き合いする様になった時にはお互い家庭を持った立場だったから絶対に気持ちを知られない様にしてたし‥ でも好きな気持ちはずーっと変わらなかったよ‥! お姉ちゃんと前の主人には申し訳ないと思ったけど‥」 「 ‥‥‥‥‥ そうだったんだ‥ そんな前から‥」 「ねぇジロー兄‥!話したい事が有るの‥!」 「ん‥何‥?」 「うん‥ ねぇ、場所変えない‥? 人に聞かれたくない話しなの‥!」 「そうかぁ‥? じゃあ‥ カラオケBOXにでも行く‥?」 「うん、そうしよう‥!」 人に聞かれたくない話しって何‥? ひょっとして先日、気になっていた例の話しか‥?
09/06/21 04:36
(EjuWVjzl)
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