いつもと同じ帰り道。
家へと急ぐ私。
(今日も汗で体がベタベタだわ。早く帰ってシャワー浴びたい。でも夕食の用意もしないと)
突然の上司から残業指示。
(勘弁してよ、あんなの私の仕事じゃないのに。もう夫は帰宅してる時間だわ、急がなきゃ。子供もおなか空かしてるわね)
いつもなら多少遠回りになるが明るい道を歩いていたが、今日は途中から近道をするために薄暗い路地に入った。
(なんか暗くて嫌なのよね、この道。でも5分も短縮出来るんだから走ればいいわ)
小走りするもハイヒールとタイトスカートの為に思うように走れない。
(あ~もう!なんで今日はツイてないのよ。せっかくお気に入りのスーツとハイヒールなのに。これじゃ歩くのとそう変わらないわ)
34才にしては引き締まった体を包むピタリとしたスーツ。ハイヒールがスタイルの良さを強調する。走る度に揺れる胸。まさに暗がりの中を走る獲物になった瞬間だった。
(やばい、けっこう胸、揺れてるぅ。でも周りに人いないからいいか、家まであとちょっと。走れわたし~!)
この時、光る目に私は気付かなかった……