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デリシャス・フィア
カテゴリ: 官能小説の館    掲示板名:強姦輪姦 官能小説   
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1:デリシャス・フィア
投稿者: いちむら沙織
まえがき



大学に行けなかった作者が、女子大生への憧れだけで書いた、勝手な想像だけの内容です。
性描写も少なめで、つまらなかったらすいません。
前作の「警鐘」「ひとしずくの排卵」みたいな展開です。
2012/01/13 00:20:58(7ttMdAeM)
7
投稿者: いちむら沙織
5



_このところ出番の多くなった「ディープ」には感情こそないが、小田や黒城の良きパートナーとして、ときにはセックス以上の快感をあたえてくれる存在だ。
_だからこそこの検索作業は自慰行為にも等しい。

「現場に残されていた体液の鑑定結果から、自称フリーターの数馬良久(かずまよしひさ)が容疑者として浮かび上がった、25歳。しかし取り調べに対して容疑を否認し、被害者の徳寺麻美との接点もなければ、行方不明の植原咲とも接点なし──ということは、いよいよ平家先生が疑わしくなってくるな」

_小田の横で缶ビールをやりながら冷静な目を向けて黒城が言った。

「彼女たちのほかに、教授の研究チームの誰かが何かの事件に遭っていたとしたらだ、そこをつつけば何か出るだろうけど」

「出るさ。俺らを勃起させて、射精させてくれるくらいのネタがな」

_これはもともと花織から依頼された事だから、多少そこに自分の嗜好が介入しているとしても、花織が納得いく結果にまでたどり着きたい。
_マウスを操る小田の指先にはそんな思いが込められていて、いつしかそれは女を愛撫するときの動きとダブりはじめる。
_そして、違法な無修正動画や出会い系チャットの安全性をうたったバナーには目もくれず、検索にヒットしたブログサイトにアクセスしてみた。
_それはマニアのあいだではかなり知名度の高いサイトらしく、「人妻」「30代」「露出」などといったカテゴリーで絞っていけば、自分好みのブロガーにヒットする仕組みになっている。
_しかも「出会える」ブログサイトとうたっているだけあって、たとえばSMで言うところの「調教師」や「性奴隷」を募れば、かなりの高い確率で好みの相手と交渉できるというのが最大の魅力でもある。
_会員登録には基本的に実名や住所などの個人情報が必須となっている為、たとえハンドルネームでブログを投稿していたとしても「徳寺麻美」などの個人名で検索すれば、「ディープ」によって様々なフィルタリング機能を無効にさせられ、確実にターゲットを特定できてしまうのだ。

「麻美ちゃんは出会い目的でこのサイトに登録して、容疑者の数馬良久、あるいは彼以外の誰かと出会い、強姦されてしまったという訳か」

「で、これが徳寺麻美のブログだ」

_小田が示した画面に表れたのは、ピンクを基調としたスイーツカラーでデコレーションされたブログページだった。
_最終更新日は、レイプされる一週間ほど前のようだ。

「フォトブックの中に、彼女の顔出しの画像があればいいんだがな」

「いまさら女の裸を見ながらシコってもさ、虚しいだけだよ」

「黒城でも学習するんだな?」

「こう見えて不感症だからさ」

「初耳だな」

「致命的だよ」

_黒城は白い歯並びを見せて笑いながら、右手でマウスを滑らせてフォトブックをたたいた。
_読み込み中の数秒がやけに長く感じられ、二人は思わず生唾を飲み込んだ。
_その視線の先の画面が一瞬暗くなって、サムネイルがフェイドインされる。

「これって結構ヤバいシチュエーションがあったりするんじゃねえの?」

「おい、女の裸は見飽きたんじゃなかったっけ?」

「不感症には薬が必要なもんで」

_サムネイルで確認できる範囲だけでも、その肌色の面積から想像すれば、露出はかなり多いだろう。
_黒城は缶ビールの飲み口に歯をたてて、無作為に画像の一つを拡大させた。

「っと、麻美ちゃんてなかなか、いや、かなり可愛いかも」

「おまえそれ、顔出てないぜ」

「小田にはわからんだろうな、20歳の等身大の色気と品格ってやつがさ」

_拡大された画像には一人の女の子が写っていて、姿見の鏡の前で私服姿を携帯電話で撮ったアングルになっている。
_肝心の顔の部分は携帯電話で隠れていて確認できないが、どうやらここに写っている人物が徳寺麻美に間違いなさそうだ。
_また別の画像ではベッドの上でランジェリー姿になってみたり、女の子らしくネイルのアップだったり、それだけで画像からアロマオイルの良い匂いが漂ってくるような感覚に酔いはじめる。
_そしてついに、着衣は姿を消し、ありのままの彼女の肌色を写し出してしまうのだ。
_柔らかい脂肪をはじけさせる胸の大きな膨らみと、たるみのない豊かなヒップラインから伸びる細い脚線。
_彼女のナマの姿にはまるで無駄がない。

「これだけ良い体してるんなら、彼氏とかいなかったのかな?」

「どうだろうな。いたとしてもだ、その彼氏と仲間に強姦された可能性だってあるし。けど、この画像を見るかぎりじゃ同情できないな。これじゃあまるで『狩ってください』って誘っているみたいだ」

_クリックの音が頭の奥で飛び跳ねるたびに、淫らに満ちた彼女の行為がエスカレートしていくのを期待せずにはいられない。
_白い乳房を両手で支えながら、谷間にバイブレーターを挟んだもの。
_使用済みの生々しいキュウリと充血した局部の接写。
_性器の穴から何本ものローターのコードを垂らしたもの。
_愛液をまとった細長い指を舌で受けとめ、あやしい糸を引くもの。
_それに、人の手首ほどもありそうな太さを見せるディルドにまたがり、膣を拡張させて背中をしならせる彼女。
_パートナーが写りこんでいないところを見ると、今のところ自慰の範囲を越えたものはなさそうだ。
_しかしながら彼女の性癖の偏りはどの画像にもあらわれているし、どれもすべて無修正だ。
_思わず、目の前の景色に蜘蛛の巣状の亀裂がはしって、音もなく割れていくような幻覚におそわれたのは……黒城の方だった。
_男の性欲を満たすはずのいやらしい画像がグニャリと形を歪ませて、彼の頭を痛めた。

「おい、大丈夫か?顔色わるいぞ」

「ち……ちょっと酔いがまわっただけだ。帰って寝れば……治るさ」

_飲みかけの缶ビールをデスクに残したままの黒城は、眉間に深い皺(しわ)をつくって立ち上がり、具合のわるい足取りで小田のアパートを出て行く。
12/01/20 10:37 (NtLm6qtR)
8
投稿者: ぽこた ◆ygWHLvxtZ2
喫煙所で何気ない顔をして読んでます。続き楽しみにしてます。
12/01/20 13:06 (CW38Mtk0)
9
投稿者: いちむら沙織
6



_部屋にひとり残された小田は思う。

あいつがあの程度で酔うなんて、よっぽど疲れていたんだな。
最近はバイトばかり入れて、四人で顔を合わせる機会も減ってきているし、みんなそうやってだんだん会わなくなって、社会人になれば別々の道に進んで行くんだ。
大学を卒業したら、俺もこんな推理ゲームなんて卒業しよう。
そうして今回の事件が解決したら、花織に気持ちを伝えよう。

_パソコンの内蔵ファンは忙しく回転している様子で、徳寺麻美の恥部を惜しみなく映し出したまま低く唸っている。
_小田が次のサムネイルに進もうとしたとき、彼の頭の中には別の疑問が生まれていた。
_それを確かめれば事件解決への糸口になるかも知れないとひらめき、徳寺麻美のブログページとリンクしている姉妹サイトへと進んだ。
_そこは小田が想像していたようなアダルトサイトではなく、女性ユーザーの「美」を評価したり投稿する交流サイトだった。
_ブログサイトが「裏」とするならば、交流サイトは「表」といったところか。
_サイト全体にハロウィンをイメージさせる装飾やアイコンが散りばめられていて、それはカボチャだったり、黒猫だったり、魔女といった感じだ。

「……魔女?」

_小田の濃い眉毛がピクリと曲がり、その手はもう次の動作をはじめていた。
_交流サイトのイベントトピックを確認してみると、それはあった。
_ハロウィンにちなんだ「魔女コンテスト」で投稿者を募っているところに、全国の美しい魔女達が集って美貌を競い合っていたのだ。
_一見して普通のガールズサイトのようでいて、しかしそこはアダルトブログサイトの姉妹サイトというだけあって、裏のブログで性器を露出している女の子が、じつは表のSNSでは何の疑いもなく自分の顔を出しているのだ。
_それぞれまったく異なったハンドルネームで投稿しているから「顔」と「性器」が繋がることはないが、この「魔女コンテスト」に徳寺麻美が関わっているということは疑いようがなかった。

そういえば、俺はいちばん肝心なことを忘れていた。
徳寺麻美本人は誰に強姦されたと言っているのだろうか。
フリーターの数馬良久か、教授の平家洋先生か、それとも別の誰かなのか。

_小田の目に新たな意志が宿って、それは夜の暗がりのどこかを見つめていた。



「大事な話があるから、二人きりで会わない?」

_花織からのメールにはそう書いてあった。
_もちろん彼女に下心なんてものはあるはずもなく、それは小田もわかっているつもりだ。
_駅からは少し離れているものの、陽が落ちたばかりの薄暗い道沿いにはコンビニの明かりや街灯が途切れることなく繋がっていて、それなりに人通りもある。
_小田が花織のアパートに着く頃には、途中のコンビニで買っておいたたい焼きも少し冷めかけていた。
_インターホンで「俺だ」「あいかわらず時間に正確ね」と短い言葉を交わし、間もなくドアの鍵を開ける音が聞こえると、毛先の巻き髪をほぐしながら花織が出迎えた。
_花織の部屋を訪れるのは初めてではなかったが、やはりひとり暮らしの女性の部屋というのは独特な匂いがあって、男子禁制の構えが居心地を悪くさせるものだ。

「散らかっているけど気にしないで」と言ったわりには片付いた部屋に上がると、呼吸を合わせたかのように花織がコーヒーをテーブルに運ぶ。

「たい焼き、買ってきたんだ」

「ありがとう。コーヒー、インスタントしかないから我慢してね」

「ああ。俺らだってインスタントみたいな付き合いだしな」

「そういう事にしておいてあげる」

_しばらく大学でのお互いの話やら就職の話で進捗状況を確かめ合っていたが、「あ、そうだ」と花織は突然立ち上がり、レターケースから封筒を取り出して来て小田の前に差し出した。

「これ、何かの役に立つかしら?」

_一瞬、彼女のネイルの色気に目を奪われながら、小田はその封筒を開けた。
_中からは写真が二枚。
_これは?と目だけで問いかける小田。

「このあいだサークルの二年の子たちに聞いたの、徳寺麻美さんと植原咲さんてどういう子なのかって。そうしたらその写真を貸してくれたわ。二人とも彼氏はいたみたいなんだけど、誰もその彼氏を見たことがないって言うし、なんだか変よね?」

「そのあたりは警察もあたっているだろうし、いずれ明らかになるさ。で?どの子が誰なんだ?」

「あ、そうそう、こっちの二人で写っている方の右側の子が、強姦された徳寺麻美さん。それからもう一枚の方に写っているのが、行方不明になっている植原咲さん。これは多分、昨年のミスキャンパス選考会の時のやつね。私も優子も一緒にいたから間違いないわ」

_小田は二枚の写真を交互に見比べて、彼女達を自分の研究チームに就かせた平家教授の思惑がわかったような気がした。

「二人とも可愛いね。小田くんはどっちがタイプ?」

「よせよ。それより、徳寺麻美はもう退院してるんだろ?犯人のことについて何も言っていないんだろうか」

「それなんだけど、しばらくは大学にも出て来ないと思うけど、犯人のことは『知らない人』って言ってるみたいよ」

「知らないというのは、本当に知らない人物か、知っているのに何かの都合で言えない人物ということか」

「それと──」

_花織は写真の彼女達に視線を落として、「うちの大学の女の子がもう一人、数日前に誰かに強姦されていたかも知れないの。しかもその子、あの平家先生の研究チームの子らしいわ」と顔色を変えて言った。

「その子はどこのチームなんだ?」

「チーム月よ。たしか一年の美山砂羽(みやまさわ)さんて言ってたっけ」

「そういうことか……。すでに強姦されている美山砂羽が月曜、今回強姦された徳寺麻美が火曜、行方がわからないままの植原咲が水曜。みんな平家先生の研究チーム生ということは?」

「偶然じゃなさそうね」

「植原咲はまだ強姦されたわけじゃないけど、それが明らかになったら次は木曜チーム、そして金曜チームの誰かが狙われるんじゃないだろうか」

「え……?」

_花織は背筋に冷たいものを感じた。

「ちょっと待って、チーム木には優子がいるし、私はチーム金なのよ。どうしよう……、どうしたらいい?」

_不安の表情で小田を見つめる花織。
_深い朱色のカーディガンの胸元がわずかに膨らんでいて、白い手をそこにあてている。
_ショート丈のスカートから伸びる脚は黒いストッキングのおかげでさらに細く見え、内股の間にもう片方の手を挟みこませて、座り心地わるそうにすり合わせている。
_花織にしてみれば不安のあまり無意識にそんな仕草をしたのだが、左手はバストに触れているし、右手はスカートの中の女の子の部分をさぐっているようにも見える。
_自慰行為を想像させるには十分な要素がそろっていた。
_若い女性特有の甘い生活臭がいまさら小田の鼻腔をくすぐって、愛しくも汚れた眼差しで彼女を見つめてしまいそうになるのだった。
_見つめ合ったまま二人の距離が縮まる。
_そして小田の手が花織の肩にのびて、優しく触れた。

「大丈夫さ。事件の容疑者だって捕まっているんだし、平家先生も教授の立場がわからない人じゃない」

「そうだけど、植原咲さんはまだ見つからないし、他に共犯者がいたとしたら優子も私も……」

「あのさ、一応パソコンも持ってきてるし、これから付き合ってくれないか?」

「どういうこと?」

「黒城のやつ、なんだかこの間から具合が悪いって言ってるし、あいつの代わりに花織が今回の推理ゲームのアシストをしてくれないか?この強姦事件が解決したら、俺もこんな推理ごっこなんか卒業して就活に専念するつもりだし、花織や優子のこともまもってやりたい。どうだろう?」

「そうね、私だってひどい事されたくないし、小田くんに甘えてばかりじゃダメね。協力はするけど、私でいいの?」

_黒いストッキングから浮き出た肌色は相変わらず彼女を魅力的に見せていたが、小田は花織の視線を正面から見つめたまま軽く頷いた。



_彼の「仕事」には無駄がない。
_花織はそんなことを思いながら小田のパソコンワークの手際良さに見とれていた。

「カッコいいね」

「よく言われるよ」

_付かず離れずの会話に恋を意識してしまうのが、若い二人の自然の流れであって、四人でいる時には見えなかった互いの魅力が性の対象に変わっていく。
_小田はジーンズの前を膨らませ、花織はインナーの股生地を湿らせた。
_そんな生理の変化を顔に出さないように装っていると、いつの間にか小田のノートパソコンの画面には「ディープ」の検索キーが表示されいて、深層の扉が開かれる時を静かに待っていた。
_沈黙を破るように小田の手指がいそがしくブラインドタッチすると、次の動作で直近の強姦事件をヒットさせた。

「これだわ」

_花織の視力が何かを捉えた。

「新聞とかには個人が特定できる情報なんて出てなかったはずだけど、この一ヶ月前の強姦事件の被害者がうちの大学の女の子よ」

「被害者女性、S大学一年の美山砂羽さん(19)。発見当時の状況、アパートの自室で全身に縄を這わされ全裸の性器や乳房を縛られた上、局部にバイブレーターを噛まされた状態。複数の男性の体液の付着あり、アルコールの摂取は確認されず、軽い脱水症状の所見あり。美山砂羽さんと連絡が取れないことを不審に思った知人が彼女のアパートを訪れ、無施錠の玄関から部屋の中を確認すると、そこに美山砂羽さんが倒れていた。体液の鑑定結果から浮上した容疑者男性数人を取り調べするも犯行を否認。現場の第一発見者は、おなじS大学二年の徳寺麻美さん(20)……。彼女とつながった……?」

_小田は新たな収穫に思わず声を上ずらせた。

「美山砂羽さんを発見した徳寺麻美さんが彼女とおなじ目に遭って、今度はそれを発見した植原咲さんが狙われているってわけね」

_花織もできるだけ冷静を保ったまま、しかしまもるべき自らの女性の部位を手で押さえながら言った。
_自分のそこに縄が食い込んで、しかも淫らな異物が挿入されたとしたら、そんな想像をしただけで悪夢にうなされた時のような気分になった。
_小田は、徳寺麻美が投稿しているアダルトブログサイトと、「魔女コンテスト」が開催されている画像投稿型交流サイトがリンクしていることを花織に伝え、徳寺麻美と植原咲の写真を元に彼女たちの存在を両サイト内でさぐった。

「『魔女狩り』っていうから中世のヨーロッパで起きたアレだと思ったら、ただ自分の性欲を満たす為に女の子を強姦しているだけじゃない。発想は幼稚だけど、やっている事はそれ以下だわ」

_花織の横顔は不機嫌そうに見えて、しかし長い睫毛の束や頬の血色はピチピチと潤いのある色気を放っていた。

「見つけた。徳寺麻美と植原咲はやっぱり魔女として画像を投稿している」

_小田が正義の眼差しで言った。

「もしかしたら、私が借りてきた写真の徳寺麻美さんと一緒に写ってる子は、美山砂羽さんじゃないかしら?」

_花織のその一言で、あちこちに散らばっていたパズルのピースが上手い具合にハマろうとしていた。
12/01/23 01:36 (czzvrIDx)
10
投稿者: いちむら沙織
7



_裏モノ検索サイト「ディープ」のフィルターを通して、徳寺麻美に次いで植原咲と美山砂羽のアダルトブログも見つかり、その内容はやはり自らの性癖を無修正のまま肉食男子の目にさらす行為に及ぶものばかり。
_第一の強姦事件の被害者である美山砂羽の裏の顔は、根太い男性器を口いっぱいに頬張りながらひざまずき、下腹の割れ目には別の男性の仕置きを受け入れている。
_淫らに肉が裂け、そこから女の脂を絞り出し、玩具とペニスで体中の穴を塞がれた19歳の私生活を赤裸々に露出している。

「なんか、すごいね」

_同性の体を隅々まで見ることなど、レズビアンでもなければ巡り会えないだろうと思いながら、花織は率直な気持ちを言葉にした。

「こういうの苦手なら見なくてもいいんだぞ?」

_それでも花織は何度もまばたきを繰り返して、美山砂羽の濡れ場を目に焼きつけている。

興味がないわけじゃない。

_言葉にしなくても、花織の表情からはそんな好奇心が読みとれた。
_今となりにいる花織にも、彼女とおなじように卑猥な膣口がネバネバと開いていて、桃をぶら下げたようなみずみずしい乳房が育っているのだろうか。
_息がかかる距離で、精子を持った者と卵子を持った者が、それぞれの色目でおなじ画像を見ているのだから、ベクトルもおなじ方向を向いているはずだと小田は考えていた。

「次は、第二の強姦事件の被害者、徳寺麻美のブログだ」

_小田の言葉に花織が頷くと、画面が慌ただしくスキップして、あっという間に目的の座標を映し出した。
_前回、小田に呼び出されたバーで優子と一緒に見たものは、徳寺麻美のブログの一部をコピーした生々しい文面だけだった。
_それが今、変態的な自慰行為を実行したことを裏付ける画像として、花織の目を犯していた。

「画像の中に何らかの手掛かりがあるかも知れないから、何か気づいたら教えてくれ」

「うん……」

_頼りない声で花織は返事をして、「ごめん、私ちょっとアレだから、トイレ……」と隣の寝室にしている部屋に消えたあと、ふたたび戻って来て小田の横をすり抜けトイレに入った。
_気を遣った小田は、見るつもりもないテレビをつけてボリュームを少し大きめに上げ、空になった二つのマグカップにインスタントコーヒーを作りなおした。
_パソコンワークとは違って、こちらはなかなか手際が悪い。
_あちこちに散らかしたコーヒーの粉を片付けようと、とりあえず布巾が入っていそうな引き出しを漁ってみた。
_花織がトイレから戻るまでにはと、少々焦りながらさぐっていた小田は、一つの引き出しの奥に布巾の束があるのを見つけ、ごっそりと取り出してみた。

「ん?これは何だ?」

_小田の視線が引き出しのさらに奥の方へと潜る。
_そこには細いコードが収納されていて、その一部は布巾に絡まってこちらに顔をのぞかせていた。
_収納というよりは、隠してあるといった感じだ。
_妙に気を引かれるそれをたぐってみて、小田は後悔した。
_コードの先にはピンク色で卵形のプラスチックカプセルのような物が付いていて、反対側はそれを操作するコントローラーへと繋がっている。
_まさかとは思いつつも試しにスイッチを入れてみると、ピンクのカプセルが小刻みに振動して小田の手指にまで伝わってきた。

あの真面目な花織がローターを持っていたなんて、しかも動くということはこれを使っていつも独りで……。

_彼女の秘密を知ってしまった衝撃は、小田の体のどこをどんなふうに走り抜けていったのか、コーヒーカップにお湯を注ぐのも忘れて立ち尽くす。
_その時、何度目かのトイレを水洗する音が聞こえて、小田は手にぶら下げた物をあわてて引き出しの奥に突っ込み、興奮と後悔が入り混ざった気持ちを落ち着かせた。
_一方花織はトイレから出るとすぐに小田の死角に身を隠し、風呂場横の洗濯機へショーツを落とすと、小田のいる部屋に戻って清楚な脚をストッキング越しに太ももまで露出させながら女の子座りをした。

「コーヒー、入れ直しておいたよ」

「ありがとう」

二人きりでこんなエッチな画像を見続けているのに、小田くんは私に何もしてこないって事は、遠慮してるのか、私に魅力がないのか、それとも彼なりの優しさなのか。
さっきだって、生理だと思ってトイレでショーツを確かめたら、経血じゃない液でぐっしょり濡れていたし。
なんか嫌、つくづく女ってめんどくさい。

「どうかしたのか?」

「あ……、うん……、こんなこと私が言ったらキャラが違うけど、女って生理もあるし、妊娠もあるし、そうしたら出産だってあるじゃない?だから色々めんどくさいな、なんて思ったの」

「それに比べて男は気楽なものだ、か?」

「そうは言わないけど……そうなのかな?」

「どっちだよ」

「色々だよ、色々」

「まあ、ブログの彼女たちみたいに他人に言えない秘密ってのが誰にでもあるんだし、それをどこまで覗いていいのか、境界線もなくなってしまった環境に馴れ合っているだけなんだ」

「それってどういうこと?」

_花織に返答を迫られ、さっき見てしまった事を意識するとなかなか真っ直ぐには言えなくなる小田。

「秘密は秘密にしておくのが利口だよな?」

「小田くんがしている事は誰も誉めてくれないけど、その秘密を利用して彼女たちに体の関係を迫るわけでもないでしょう?どちらかと言えば味方だよね?」

「そのつもりだ」

「知ってもいい秘密だってあるんじゃないかな?」

「知ってもいい秘密か……」

_小田の脳裏には少なからず花織との未来が描かれていて、引き出しの奥に潜ませている秘密を知ったところでその思いは変わらない。

「花織の秘密も検索してみるかな」

「えー、やだ」

「ははは、冗談だよ」

「そんなことしたら絶交だからね?」

_アイラインに皺を寄せて怒ったフリをしながら、「さっきのブログの続きを見ましょう」と悩ましく脚を組み替える花織。
_小田の目がそれを追う。
_彼女のスカートの中の事情など、今の小田には到底推理できそうにもなかった。
_コーヒーの湯気が立っているうちに二人は植原咲のブログで彼女の秘め事を確かめ、そしてある共通点を見つけた。

「ねえ、私気づいたんだけど、彼女たち三人とも体調の変化をブログに書いているわ」

「女性の体調といえば、月経のことか?」

「ううん、違う。たまたまかも知れないけど、軽い脱水症状を訴えるカキコミが目についたから、何かの内服薬の副作用じゃないかしら?」

「そうだとしたらダイエットの為にサプリメントを過剰摂取したとか、睡眠薬に近いハルシオンのようなものか」

「もしも得体の知れない違法ドラッグを彼女たちが飲んでいたのだとしたら、それをどんなルートで手に入れたかも気になるところね」

「そこに犯人が絡んでいそうだな」

「ネット売買でなんとでもなっちゃうのも怖いし、裏の市場っていうの?その規模だって想像もできないわ」

_花織の口数が増えたことに、小田は意味深な笑みを見せる。

「ひとの顔見て笑うなんて、なに?ようやく私の魅力に気づいた?」

「頼もしいよ」

_彼のその言葉に照れ笑いをして、花織は少し鼻をふくらませた。



_美山砂羽、徳寺麻美、植原咲、この三人がアダルトブログのユーザーだった事、さらにその姉妹サイトでは「魔女コンテスト」が盛り上がりを見せていて、そのイベントにも彼女たち全員が画像を投稿していた事が確定した。
_そこに目をつけた何者かが薬物を使って彼女たちを乱暴し、「魔女狩り」だと囃したてるマニア連中の注目を集めている事もわかった。

「ただ賢くて、得する顔をしているだけだと思ってたけど、意外に花織も勘が鋭いところがあるんだな」

「なにそれ、得する顔ってなんなのよ?」

「可愛いってことだよ」

_一瞬、真顔になった花織の耳は恥ずかしそうに赤くなって、ピアスの小さな光輪もよく似合った。

「冗談だって……顔に書いてあるわよ……。そういうことは……好きな子に言いなさいよ……」

_まともに小田の目を見れなくなって視線を落としてみると、そこにはたくましい胸板と男らしい腕があった。
_花織の心臓がドキドキするたびに、血の巡りは乳首や膣をいたずらに疼かせた。

「それじゃあ、俺帰るわ」

「うん……」

「薬のことなら黒城のやつが詳しいんだが、まだ体調悪そうだし、俺なりに色々調べてみるよ」

「私、小田くんの役に立った?」

「今の俺には花織が必要だ。またよろしく頼むな」

「ありがとう」

_推理ゲームにも進展が見られたが、二人の関係もわずかな進展があったのだろうと、それぞれの思いを秘めたまま「おやすみ」「おやすみなさい」と言葉を交わす。
12/01/24 23:35 (sC3MUdM4)
11
投稿者: ThirdMan
すごいね!
すっごく面白い。
表現力が豊かだわ。
失礼だけど作者さんは、ほんとの女性?
男目線では、書けない文章な気がする。
いやらしさの表現が、何とも言えないくらい巧くて、興奮させてもらいました。
とても面白いけど、敢えて一つだけ言わせてもらえれば、台詞以外の段落に付いている冒頭の下線が、多少気になって読みづらいかと。
ない方がすっきりする気がします。
作者さんのこだわりなら、仕方ないんですけど・・。
結末はどうであれ、必ず最後まで落としてください。
気長に待ちながら、楽しみにしてます。


12/01/25 06:18 (KBh36IE6)
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