その日の夜空は雲一つない晴れ渡った夜空だった。さらに月は満月で眩しく輝きながら大地を照らしていた。
満月に照らされた大地の下には少年と少女がいた。といっても少年はあと数年足らずで立派な青年、少女のほうは二十歳目前だった。
少年は旧家の当主を思わせる立派な着物、少女は凛とした巫女姿だった。
2人は砂利のある地に打たれた飛石の上を歩いていた。
少女の方が先に歩き、少年はその後に続いていた。
飛石を歩く度に左右の足を交互に運んでいく。
飛石の終着点には大きな拝殿があり、その途中には清流が流れる小川とそのかかる小さな石橋があった。
拝殿がある石橋の手前には真新しい木の祠があった。
少年と少女が飛石から石橋に足を運ぶと、少女は祠があるところで足を止めた。