『にゃ~…』
今私の足元に一匹の猫がいる。
ただし普通の猫ではない。何故ならば外見は普通の女性だからだ。
『…チロチロ…ペチャペチャ…』
一匹の牝猫が革靴を舐め始める。
「ん?どうした?」
頭を撫でてやる。
すると自ら私の手に頭を擦りつけゴロゴロと喉をならす。
私は何時からか
手のひらで感情のない物体に対してのみ念力を加える事がわかり、今では水に念力を加え、猫に与えている。
ソレを舐める猫は外見は人間の体になる。
各界では名の知れている飼育屋だ。
『…チュッ。チュパー…』
「こらこら、指がお前のよだれだらけじゃないか。」
こちらを見上げる猫。頬は紅潮させ、目をうるませている。
まだこの猫は首輪をしていない。
飼い主が決まっていないのだ。
「ほら。こっちおいで躾をしてあげよう。これに耐えたら新しい主人が出てきてくれるかもしれないからな…。」
私は猫を…。商品を大事に抱えながら寝室へ向かった。
商品に優しく、卑猥な言葉を投げつけながら。