大型連休を利用して1人千㍍級の山へ登った。簡単に登れるだろうと思って装備も軽装だった。順調に進みお昼過ぎ山頂に着いて昼飯を食べ、下り始めると天候が急変した。一気に霧が濃くなり5㍍先も見えなくなった。ヤバいなと思いながらも下りて行く。案の定、道を見失い迷った。視界が白から黒に変わってきた。時計を見ると日の入りはとっくに過ぎていた。焦って下りていると、足を滑らせ滑落した。少し気を失いやがて目が覚めると、辺りは真っ暗闇になっていた。携帯を掛けようとしたが、滑落した時に落としたらしく見つからなかった。持っている物はチョコを少しと飲みかけのペットボトル、タバコとジッポーそれと上着だけだった。次に体を確認すると、擦り傷があちこちにあるがどれも軽傷、骨は折れていなかったが右足首を捻ったらしく痛みがあった。どうしようと考えていると、沢の音が聞こえた。足を引きずりながら音の方へと進んだ。そこで折れた枝を拾って杖代わりにして沢をゆっくりと下った。