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1:Purple Panic
投稿者:
たんたんタヌキの○○
「…何コレ?」
その日は妙な息苦しさに目覚めた朝…。軽い目眩のする気怠い身体を無理矢理にベッドから引きずり起こして着替える事にした。 時刻は朝7時10分前、まだ学校に充分に間に合う時間だ。 プチ…プチ…プニュ… 「ぅう…肩が重い…」 まだ半分閉じたままの瞼を擦りながらパジャマのボタンを一ツずつ外していく。 (アレ?こんなに袖余ってたっけ…) そういえば途中で変な擬音が入ったような…? プニュ…プニュプニュ… 手首に伝わる妙に温かく柔らかな感覚。その正体を確かめるべく落とした視線の先に有った物。あえて例えるならそれは山、深い渓谷を成す二ツの肉の山。 バッ! 鏡の前で勢いよくパジャマを開くと……そして今に至る。 な…何でこんな所に……ま、まさかッ!? ・・・・ タタタタ… 「アハハ…アハハハ…」 ゆ…夢だ、きっとこれは夢なんだ。さも無ければ無いはずの物が有って、有るはずの物が無いなんて…事が。 ピピピ…ピピピ… 「…ッ!?」 逃避から現実に引き戻すアラーム。午前7時…アイツが…アイツが来る。こんなのアイツに見られたら…。 バタンッ! 「オッス!ちゃんと起きてっか?」 ・・・ 蹴り飛ばす様に勢いよく開けられたドア、無言で固まるアイツ、変わり果てた半裸の僕…。 ……終わった、僕の人生。 「フム…フムフム、我ながら上手くいったみたいだな」 「……ハイ?」 コイツの名前は麻津度 彩依(まつど さいえ)、鼻に引っ掛ける小さな眼鏡とダブダブの白衣がトレードマークの一応"女"…のはず。僕と同じ歳の筈なのに5年前から全く成長していないツルペタのスットン。生まれてこのかたずっと幼馴染みの筈の僕ですら最近は自信が無い。 いや、それより何で驚かないんだ?僕がこんな姿になっているというのに…。まてよ?確か彩依の親父さんは何処かの研究所の元所長で現在は行方不明。何でも突き抜け過ぎたのが原因だとか…。 「流石は"オレの嫁"、可愛いじゃん」 「…ハイ?」 「ドンドンおかわりしてね~」 「フム、お義母様のご飯はやはり美味いな」 「・・・」 何この団欒な食事風景。彩依も一緒にご飯食べてるのはいつも事だけど…。 「ねぇ母さん、何か疑問に思わないの?」 「…?」 いや、頭の上に?マーク出して首を傾げられても…。見た目どころか性別まで変わってるんですよ、貴女の息子は。 「紫織ちゃん。実はママね、ずっと女の子が欲しいなって思ってたのよ。その願いが叶うなんてママ感激!」 ぶっちゃけた!このタイミングでカミングアウトされたよ。 「でも本当に凄いわね~」 「任せてくれ。こうなったからには必ずや紫織の"初めて"を奪い、幸せにしてみせる」 「彩依ちゃん…」 ねぇ…手を握り合って盛り上がってるけど、何かおかしいとは思わないの? 「あ…でも、まだ二人共学生なんだからクレグレも節度は守ってね」 ちょ…母さん、今渡したリング状に盛り上がった銀色の四角いギザギザは何?公認なの?っていうか、渡すべき相手が違うでしょ! 「……ご馳走さま」 もう駄目だ。昔から何処かズレた感覚の人だとは思ってたけど、まさかここまでとは…。 流石に付き合いきれ無くなってご飯もそこそこに自分の部屋に向かった。 「紫織どうした、遅刻するぞ?」 「行ける訳無いじゃないか。大体制服だって合わないし」 「フフフ…こんな事も有ろうかとぉ。ジャ~ン!」 バッと眼前に拡げられた真新しい制服(女子用)。どうやったらこんな事も有ろうかと思えるんだろう…。 「紫~織~ちゃ~ん、フフフ…」 「う…う…冗談…だよ…ね」 ・・・ まさかのピッタリサイズ。鼻唄を唄う程にご機嫌な彩依に腕を掴まれ学校へと連行される。 「な…なぁ彩依、ヤッパリ行かなきゃ駄目?」 「当然だ。これ程に愛らしいオレの嫁を見せずしてどうする」 一応もう一回言うけど彩依が女で僕が男だからね(今は女の子になっちゃったけど…)。 しかし何だか落ち着かない。周りの視線もそうだけどこのスカートって妙にスースーして心許ない。一応短めのレギンスを穿いてるけど、実は…。 ―20分程前の自宅― 「無理ッ!絶対に無理だって!」 「ホラ、可愛いでしょ?絶対紫織ちゃんに似合うから」 「オレ的にはコッチがお勧めだぞ紫織」 もうここまで用意されていたら予定調和としか思えない。専門店のディスプレイそのままに上下セットの布が迫って来る。 「ぼ…僕は"男"だよ!そんなの着けられる訳無い…それじゃまるで変態だよ」 「アラ?今は女の子なんだから逆に男の子の下着着けてる方が…」 ジリジリと壁際に追い詰められていく。 ダッ! 一瞬の隙を突いて自分の部屋へと走り出す。 プルン 「……ッ!?」 胸の先から全身に疾る未知の甘い痺れにガクッと力が抜けてしまう。 「だから言ったじゃない。紫織ちゃんのそれだけ大きいんだからちゃんと女の子用のを着けないと擦れて痛いわよ~」 「で…でも…」 流石に下着まで着けてしまうと全てが終わる気がする。 「紫織…流石にNBNPはどうかと思うぞ…」 歩くだけでも揺れて擦れる先っぽが布地越しでも判る程に自己主張を始めてしまうと動けなくなってしまった。 「紫織~」 「紫織ちゃ~ん」 「い…い…イヤァーーッ!!」 無理矢理パジャマを引ん剥かれ、抵抗虚しく美少女が出来上がってしまった…お陰でこの通り遅刻寸前である。 「急ぐぞ、紫織!」 「ちょ…ちょっと待ってよ」 急ごうにもスカートがヒラヒラするし、胸が上下に揺れて動き辛いんだよ~。 キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン 「ハァ…ハァ…ハァ…やっと着いた…」 「お早う、我が級友共」 「あ、お早う彩依さん」 「ウッス、麻津…度…」 シン…と静まり返る教室、クラス全員の視線が僕に集まる。 「お早う、みん…な…」 「エッ?紫織…君?」 あ"ーーッ!忘れてたー。今の僕は女の子だった。皆に何て説明すれば良いんだ? 怒涛の如く押し寄せて来るクラスメイトに気圧される。 「か…可愛いー!」 「遂に、遂にやったのか麻津度?」 「チクチョー!実は俺、紫織狙ってたのに~」 一部不謹慎な握り拳や理解したくない発言が有ったがこの際スルーだ。 「フフフ…さぁ存分に愛でるがいい、オレの嫁を!」 ガラッ 「お前等いつまで騒いでいる、さっさと席につけ!」 「…アルェ?」 順に出席をとる担任が僕を一瞥しただけで普通に名前を呼び続けた。そういえば母さんが変な事を言ってたよな? 《大丈夫、世の中には紫織ちゃんが理解したくない"力"が色々あるから》 そういえば彩依の家は色んな国に表立っては言えないコネが有るとか…。 ゾクッ… その悪寒の正体を知るのは僕には早過ぎるに違いない。 「ネェネェ、本当に女の子になっちゃたの?」 「良いなぁ…胸大きい…」 昼休み、僕はあっという間に女子に囲まれ質問責めにあってしまい、出遅れた男子達は遠巻きに見詰めるしか無かった。 「あ…あの…ちょっとトイレに…」 まだ自分自身でも理解出来てないのに説明出来る筈も無く、逃げる様に立ち上がる。 ピラ… 「チェ…レギンスかぁ…」 「ちょ…ちょっと…」 ムニムニ… 「うわぁ…本物だぁ…」 「待っ…やぁ…」 突然始まる軽いレズビアンショーに男子達の顔はかなりだらし無い事になっていた。 「そこまでだ!紫織に触れて良いのはオレだけだ。それ以上の不埒は許さん」 諄いようだけど彩依は女子だ。なのに何だろう、この男前っぷりは…。
2011/11/01 18:46:45(aOaycoNd)
投稿者:
たんたんタヌキの○○
【Side Story-6】
何度か彩依とそういう感じにはなったけど後一歩が進めない。 だって凄く痛いんだよ?彩依も出来るだけ時間を掛けて僕を感じさせてはくれる様になったけど、逆に彩依がもたなくて、先にイッちゃうんだ。 しかも僕も敏感に反応する様になっちゃって声を漏らしそうになる。 頻繁に母さんに家を出て貰う訳にもいかないし、もうどうしよう…。 女の子には周期があって、物凄くエッチな気分になる時があるんだ。でもね、そんな時に限って彩依は遊びに来ないの。 最近はクラスの男子とも仲良く遊んでるみたい。まぁ喜ばしい事なんだけど、ちょっと淋しいかな?って…。しかも余計な知識吹き込む男子も居て、それ以上に迷惑してるのも事実なんだ。 どうも皆でエッチなDVDをコッソリ観てるみたい。変な方向に目覚められたりしたらどうしてくれるのよ、ったくもう…。 で、この間母さんが買ってきた新作ゲーム(同時協力プレイが出来るやつ)を彩依と一緒にしようと思って家に誘ったんだけど…。 「紫織~、来たぞ~」 流石に男の子になったからゲームに食いついてきた。…GJ母さん。ちょっと前からお友達に教えて貰いながら始めたお菓子作りで覚えたロールケーキとクッキーも用意したし、彩依の好きなお茶の準備もOK…って、本当に女の子になっちゃったんだと思う。お友達のお墨付きも貰ったから美味しく出来てる…ハズ。……お砂糖とお塩を間違える様なテンプレさえしていなければ…。 「今、お茶とお菓子用意するから先に遊んでていいよ~」 エプロンを着けてケトルでお湯を沸かしながら、ケーキをカットする。茶葉は二人分だからティースプーン3杯とお湯をポットに。カバーを掛けて3分待つ。 うわぁ~、何コレ?新婚さんみたい。新婚っていったら、キッチンでお料理してる奥さんを後ろから抱きしめながら頬にキス。 「もう、もうすぐ出来るから、ちょっと待ってて…」 「駄~目…、我慢出来ない」 …とか言いながら胸やスカートに手が……って、キャー!?何考えてんだよ僕ってば…///。 一人で浮かれて照れてる自分に気付き、ちょっと反省…。 ンン…さて、テーブルの準備は出来たから彩依を呼ぼうっと。……アレ?そういえばさっきからゲームのBGMが聴こえないし、彩依が妙に大人しい様な……? エプロンを外しながらリビングへ向かうと…。 『ん~、コッチがいいかなぁ…?コレは可愛いけど子供っぽいし。うわ~、コレは駄目!セクシー過ぎ…っていうか透けちゃってるじゃん…』 「……あ…ああ、それってぇ」 この前、ショッピングに行った後のセルフファッションショーッ!?しかも下着のやつじゃないかーーッ! 「…ちょ…駄目ーッ!観ちゃダメーーッ!」 まさか母さん、コッソリ撮ってたのー?は…恥ずかし過ぎるーーッ! 「何故だ?綺麗に映ってるじゃないか。本当にモデルの様だぞ」 慌てて消そうとする僕と邪魔する彩依が揉み合ってる間も映像は続いている。 『コレなんか彩依が好きそうだよね~、今度コッソリ着ちゃおうかな?』 うわぁーッ!もう許してー。 「あんなの持ってたのか?一度も見た事無いけど…」 「見なくてイイ、っていうか見せる訳無いでしょーッ!」 も…もう少しでリモコンに手が…。 「いいじゃないか、オレは紫織の全てが知りたい」 ちょ…いつの間にこんなに力ついたの?抱き抱えられたまま動けない~、っていうかドサクサに紛れて何処触ってるのーッ! 「イヤーーッ!消すのーーぉ!!」 ジタバタ暴れていると彩依が画面を凝視して硬直しているのに気付いた。 ―今だ! リモコンに手を伸ばそうとした瞬間、突然耳に入った聞き覚えのある艶めかしい声…。 『…ン…ハァ…ァン…』 ・・・エッ!? 突然画面が切り替わり、トンデも無い映像が…。 『ア…ンン…いや…駄目…ダメだよ彩依…』 ・・・・|||。 一瞬にして引いた血の気が一気に全身を駆け巡る。 「紫織…、コレってオナ…?」 「忘れろーーーッ!!!!」 身体を反転させつつ彩依の脇腹に肘鉄を入れ、怯んだ隙に後ろに廻り込んで首筋目掛けて斜め45度に手刀を! ビシィッ!! ドサ… フゥ…危なかった…。 「彩依、彩依ー、こんな所で寝たら風邪ひくよ~」 〈何事も無かったかの様に…〉 今の内にDVDをゲームソフトに入れ替えて、僕の机の一番奥に…。それから彩依にタオルケットを胸元まで掛けてあげて、膝枕をしてから再び…。 「エイッ!」 ビシッ! 「ン…ンン…あれ?どうしたのオレ?」 「ん?待たせちゃったみたいだね。ゲームをしながら寝ちゃってたから…」 優しさを押し出した女神の如く微笑む。 「そ…そうかな?何か凄くイイ事があった様な…。あれ?何か首や脇腹も痛い…」 「ね…寝違えちゃったのかな?そうだお茶にしない?今、煎れてあげるから座ってて」 前からすぐに手が出ちゃってたけど、彩依が男の子になってから容赦無くなって来たような…?まぁ、仕方ないよね。僕は"か弱い"女の子だしぃ~(笑)。 「じゃあまた明日、遅刻しないでね」 今日はお茶をしながらゲームをしていたらあっという間に時間が過ぎてしまった。 「彩依…」 チョイチョイ… 手招きで呼び戻し、頬にキス。 「また今度ね…」 「……あ、ああ」 首と脇を摩りながら歩く背中を見送った。 ごめんネ、彩依。でも大好きなのはホントだから許して。 ―深夜:紫織の部屋― 消灯した暗い部屋で画面だけがチラチラとしている。 『ア…ンン…いや…駄目…ダメだよ彩依…』 「うわぁ…僕ってこんなにいやらしい声出しちゃうんだ…」 実は始末してなかったという事で…。 「う~ん、また上手くいかなかったわね~。紫織ちゃんもエッチなくせに奥手だからぁ。でも子供の成長を記録するのは親の義務よね~。パパには観せられ無いけど~ウフフ~」
11/11/02 09:58
(us3VexdR)
投稿者:
たんたんタヌキの○○
お気づきの方もいらっしゃるでしょうがPink Hazardと同じ世界、正確には10年後位の話です。
11/11/02 23:21
(us3VexdR)
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