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1:キャンプへ行った妻
投稿者:
不甲斐ない夫
今年の夏、妻がキャンプに行ってもいいか、と訊いてきた。
パート先で企画が持ち上がったらしく、日頃の慰安を兼ねて、バイトの子やパート仲間で行くのだという。 子供たちは夏休みであったし、無理に反対する理由もないので快く承諾した。 キャンプに出掛ける日は、軽装に着替えた妻をパート先の近くまで送ってやったものだ。 ぴっちりとしたホットパンツに小さめなTシャツと、めずらしく肌の露出が多い服装をしていたのが、いささか気になりはしたものの、若い男の子たちも来るというから、老けて見られるのを嫌って若い格好をしているのだろうと、あまり気にも留めなかった。 集合場所に着くと、待っていたのはキャンプ資材を積んだ真新しそうな新型のワンボックスと、バイトの子らしい3人の若者たち。 礼儀正しい青年たちだった。 まだ、大学生だという。 他に車は見あたらず、そこに立っていたのは、妻を含めてその4人だけだった。 「他は、まだ来ていないみたいだな。」 「うん、まだ早いから、これから来るんじゃない?」 パート仲間や従業員たちも一緒に行くのだと聞いていた。 だから、誰もいないのを不思議にも思いもしたが、何食わぬ顔で、そう言った彼女に私はまったく疑問さえ感じていなかった。 「ありがと。もう、いいわよ。」 行ってくるね、と手を振る彼女に笑顔で見送られ、私は、妻を残して家に帰った。 キャンプの予定は3日間。 日頃の妻の苦労をしっかりと肌に感じつつ、その3日間は、子供たちを相手に悪戦苦闘したものだ。 3日目の夕方になって、妻はようやく帰ってきた。 「ああ、疲れた!」と、玄関で荷物を下ろした彼女は、疲れてるわりには、とても晴れ晴れとした表情を浮かべていた。 きっと、仲間といっぱい遊んで、リフレッシュできたに違いない。 家計をやりくりするためにパートをふたつも掛け持ちしている彼女だ。 たまには家族を忘れて気分転換するのもいいことだ、などと、晴れやかな表情を浮かべる彼女を見て、私は心の底から喜んだりしていた。 しかし、よく見ると、妻は怪我をしていて、ひざやひじのあたりには小さな擦過傷が幾つもある。 小さな傷は、ふくらはぎや足の先にも見てとれた。 「それ、どうしたの?」 気になって、訊ねてみたら「ああ、ちょっと転んじゃって。」と、妻は、はにかむように笑っていた。 どれほど羽目を外したのかは知らないが、「歳なんだから気をつけろよ。」と、窘めると「失礼ね。これでも、まだ若いのよ。」と、彼女は勝ち誇ったように笑っていた。 それから一週間ほどが過ぎた頃のことだ。 近くのスーパーで買い物をしていたら、たまたま妻の友達にあった。 ママ友で、長女が幼稚園からずっと一緒だったせいか、私にも気軽に話しかけてくれる、気さくで明るい女性だった。 ノースリーブのシャツを着ていた彼女の肩が、真っ黒に日焼けをしているのを見て「さすがにキャンプに行ったら、焼けてるねえ。」と、私は笑った。 彼女も、妻のパート仲間で、この間のキャンプへ行ったのだ。 すると、不意に彼女が怪訝な顔をした。 「キャンプ?なにそれ?今年は行ってないよ。」 「え?この間、うちの奴と一緒にキャンプに行ったでしょ?それで、焼けてるんじゃないの?」 妻は、彼女も一緒に行くと、確かに言っていた。 だから、安心して、妻を送り出すことができたのだ。 「これ?全然違うよぉ。実家の手伝いに行ってたの。毎日畑仕事させられて、大変だったよぉ。」 訊けば、実家のお母さんの具合が悪くなったらしく、帰省を兼ねて、家族ぐるみで農家をやっている家の手伝いに帰っていたのだという。 「じゃあ、キャンプには行ってないの?」 「行ってないよ。」 「でも、うちの奴が、○○さんも一緒に行くって・・・。」 「そんな話聞いてないよぉ。」 「だって、パート先の慰安旅行を兼ねているから、みんなで行くって・・・。」 言葉が続かなかった。 この辺りから、胸がざわつき始めていた。 「それって、いつぐらいのこと?」 妻がキャンプに行った日を教えてやった。 急に彼女が思案顔になって、不安そうな目を向けてきた。 「あのさ、こんなこと言ったら、なんなんだけど・・・。奥さん、気をつけた方がいいわよ。」 「気をつけた方が、いいって・・・?」 「うん、××さんの奥さんね、職場で意外と人気があるのよ。ほら、スタイルだっていいし、顔も可愛いでしょ?だからね、奥さんに声掛けてるバイトの子が結構いるみたいなの。まだ学生の子が多いから年上の人に興味があるみたいで・・・。奥さんは、相手にしていないみたいだったけど、その時って、ちょうどバイトの子の何人かがキャンプに行くって言ってた日なのよね。だから・・・もしかしたら、その子たちと行ったのかも・・。ああ!これは、あくまでも私の想像だけどね!」 慌てて否定していたが、もはや、私の頭の中には、疑念だけしか渦巻いてなかった。 「私が言ったこと、奥さんには黙っててね。」 まずいことを教えて妻との関係がこじれるのを嫌ったのか、バツの悪そうな顔をして、逃げるように立ち去ろうとした彼女を呼び止めた。 「悪いけど、頼みがあるんだ・・・。」 疑惑は、確信に変わりつつあった。 キャンプから帰ってきた日、妻はノーブラだった。 ふっくらと盛り上がっていたTシャツの薄い生地に、ふたつの小さな突起が飛び出していたのを思い出していた。 ひどく暑い日が続いていたし、日頃からブラジャーを嫌って、家の中では、あまりしたがらないのを知っていたから、さほど気にも留めなかった。 だが、今思えば、若い男たちの前にノーブラの姿をさらすなど、既婚とはいえ、羞恥心がないわけではないのだから、普通ならできることじゃない。 しかし、身体の関係があるなら、話は別だ。 私は、彼女にあることを頼むと、携帯電話の番号を教えて、別れた。 妻とは、結婚をしてから12年になる。 結婚したての頃は、25歳だったから、彼女は今37歳だ。 ふっくらとした顔をしていて、眼尻が下がっているから、年齢よりも幼く見られることが多い。 そのせいか、見ようによっては男好きのする顔をしている。 子供を3人産んでいるわりには、スタイルはまだ崩れてなくて、乳房なども目を見張るほどに豊かな張りに富んでいた。 尻も大きくて、細い身体とのアンバランスが、よく男の目を惹いた。 性格は、これと言って問題はない。 大人しいかと言えば、そうでもないし、かといって、特に口うるさく騒ぎ立てることもなく、毒にも薬にもならない気性をしているから、ことさら不満を覚えたこともなかった。 夫婦仲は、それほど悪くない。 ただ、2年ほど前から、軽いEDになって、夜の生活は、ここしばらくご無沙汰している。 私と妻は、8つ歳が離れていた。 妻も気遣っているのか、無理に求めて来ようとはしないので、申し訳ないと思いつつも、今まで甘えてきた。 だが、可愛がってやらないからと言って、それを理由に妻が不機嫌になることはなかったし、仲違いをしたこともない。 派手なことを好む女ではなかったし、ことさら癖のある性癖を持っているわけでもなかったから、あまり興味がないのだと思っていた。 どちらかと言えば性行為には控え目な性格をしていて、ことさらしたがるタイプでもなかったのだ。 だから、浮気などそれまで一度として考えたこともなかった。 ましてや、妻に変態的な嗜好があるなどとは夢想だにしたこともない。 実に、良き妻であったし、良き母親であった。 私は、心の底から彼女を信じ切っていたのだ。 ママ友の彼女から、携帯に電話があったのは、つい先日の夕方のことだ。 スーパーで会ってから、1週間ほどが経っていた。 近くの喫茶店に呼び出されて、そこで落ち合うことになった。 結論から言えば、クロだった。 それも、開いた口がふさがらないほどの真っ黒だ。 「待ち合わせしたところに3人いたんでしょ?その3人を相手に頑張っちゃったみたいよ。」 アイスコーヒーのストローを口にくわえながら、彼女は呆れたように言っていた。 にわかには信じられない話に、呆然と聞いていたものだ。 「そこに背の高い子がいなかった?その子が、奥さんをすごく気に入ってるらしくて、強引に口説いて、キャンプに行く前から、もう関係はあったらしいわ。私も知ってるけど、なかなかカッコいい子だから、今は奥さんの方が夢中になってるみたい。それでね、その子には、仲の良い子が他に二人いて、奥さんは、その子たちの相手もしてるみたいね。それが、待ち合わせ場所に一緒にいたふたりよ。どうして3人も相手にすることになっちゃったのかは知らないけれど、無理矢理ってわけでもないみたいで、キャンプに行った時も、納得して行ったみたいよ。奥さん、最初から3人を相手にするつもりだったのね。」 冷ややかな目で彼女に見つめられて、思わず頬が赤らんだ。 思わぬ妻のふしだらさと、それに気付きもしなかった自分が恥ずかしくてならなかったのだ。 「向こうに行ってからも、ずいぶんとすごかったみたいよ。最初からエッチ目的だったみたいで、誰も来ないような山奥まで行ったんだって。行く途中も車の中で散々したらしいわ。向こうに着いてからも、ずっと裸で服を着る暇もなかったって話よ。奥さん、休むこともできなかったんじゃない?若い人って、ほんとにすごいし、3人もいたらねぇ・・・。それで、3人いっぺんに相手までしちゃったって言うんだから、ちょっと彼女の性格からは信じられなくて、話を聞いたときには私も耳を疑っちゃったわ。でも、事実らしくて、ずっとそんなことばかりしてたみたい。真ん中の日は、裸の奥さんを山の中に逃がして、強姦ごっこみたいなこともしてたって言うんだから、まったく驚いちゃうわよねぇ。3人で追いかけて、捕まえた人からしたんですって。ずっと、一日中そんなことばかりしてたらしいけど、奥さん怪我とかしてなかった?でも、なんか、私も聞いてて、少しだけうらやましくなっちゃった。ちょっと、憧れたりはするわよねぇ。」 そう言った彼女の瞳には、妖しい光が浮いていた。 あの妻からは、信じられないような話ばかりに、現実のものとして捉えることができず、夢の中で話を聞いているような気さえしてならなかった。 しかし、言われてみれば、確かに妻の手足には、幾つもの擦過傷があった。 あれが地面にひれ伏しながら犯された傷ならば、納得もできる。 だが、アナルまで使わせたなどとは、にわかに信じがたかった。 アナルに触れただけで、嫌がるような妻だったのだ。 「コンドームなんて使わないでしてたって言うから、避妊はどうしたんだろ?赤ちゃんなんかできたら、最悪なのにね。」 おそらく、それはないだろう。 それだけは、確信があった。 私との交渉は、ここのところまったく途絶えていた。 だから妊娠などすれば、すぐに浮気が発覚する。 もし、彼女の話が事実であるならば、おそらくキャンプに行く前から、妻は避妊の準備をしていたのだ。 子供の学校の支度は、必ず前日のうちに終わらせていて、朝になっても、子供たちが慌てふためくことなど、一度もなかった。 何事にも念入りに準備をして、きちんとしていなければ、気の済まない性格をした妻だった。 おそらく、彼女は妊娠することがないように、きっと用意周到に準備をしていたはずだ。 ピルでも飲んでいたのかもしれない。 今夜、タンスの中でも探ってみよう、などと彼女の話を聞きながら考えていた。 「ねえ、ほんとにまったく気付いてなかったの?私は気付かなかったけど、若い子の間では、奥さん評判にもなってたみたいよ。」 彼女の瞳には、非難するような色があった。 正直なところ、性欲というものが失せかけていて、ここのところまったく妻の裸を見ていない。 多少でも、妻を気にかけていれば、もっと早くに気付いていたのかもしれないが、私は、それを怠っていたのだ。 非難されても仕方のないことだった。 「なんかね、その3人のうちのひとりが良いとこの坊ちゃんらしくて、結構いいマンションに住んでるみたいでね、そこをたまり場にして、乱交パーティみたいなこともしてるんですって。それでね、時々は、その3人以外にも、他の子が混じったりしてたらしいのよ。手当たり次第だったみたいね。ほんと、迷惑な話だわ。」 ため息混じりに、ぽつりとつぶやいた最後の彼女の言葉の意味がわからなかった。 淡々と口にしていたが、その時の彼女は、まるで妻を嫌ってるかのようにも思えた。 いったい、妻が彼女になんの迷惑をかけたのだろうか? 同じパート仲間として恥じているのか? それとも、同性として、妻のふしだらな行為を軽蔑しているのか? 妻と同い年の彼女だった。 歳が同じだったせいか、知り合ってからは、同じ勤め先を探してくるなど、ひどく懇意にもしていた。 だが、その時の彼女は、妻を忌み嫌っているようにも見えたのだ。 そう言えば、一人言のようにしゃべり続ける彼女に、妙な疑問を覚えた。 彼女は、いったい誰から話を聞いたのだ? まるであたかも自分が見てきたように話をしているが、それはいったい誰に教えてもらったことなのだろう? それを考えると、不思議でならなかった。 「ねえ、ところで、それは誰に聞いたの?」 疑問が、口をついて出た。 彼女は、迷惑そうな顔をしながらも、あっけらかんと答えた。 「私のカレから・・・。私も奥さんと同じで、あの職場に若いカレ氏がいるの。奥さんを気に入ってる子と仲が良いから、頼んで全部訊いてきてもらったのよ。それを、あなたに教えてあげてるの。」 予想もしなかった答えに息を飲んだ。 彼女も、浮気をしていたのだ。 「でね、訊いてよ・・・。」 急に眉根をしかめ、不機嫌そうな顔つきで身を乗り出してきて、彼女が続けた。 「あなたに言われてから、すぐにカレに聞いたんだけど、なかなか教えてくれなくて、おかしいな、とは思ってたのよね。でも、やっと昨日白状して、なかなか教えてくれなかった理由がわかったわ。実は私のカレもね、その子に誘われて、今言ったマンションに、行ったことがあるんですって。それでね、あなたの奥さんとしてきちゃった、なんて言うのよぉ。挙げ句にすごく良かったなんて言うもんだから、もう腹が立っちゃって。あなたが、しっかりと奥さんを見ていないから、私まで嫌な思いしちゃったじゃない。」 怒ったように告白されて、ようやく疑問が解けた。 そうか、彼女は男を寝取られたと思っていたから、妻を快く思っていなかったのだ。 まさか、妻が彼女の男まで相手にしていたとは思いもしなかった。 それにしても、なんと言うことだ。 あの妻が、次々と若い男たちに体を開いているの言うのだ。 まさに彼女が言うように手当たり次第ではないか。 だが、聞けば聞くほど、あの妻が、そんなことをしているなど、にわかには信じがたい気持ちが強くなっていき、戸惑いさえ覚えた。 それは、おそらく事実なのだろう。 わざわざ私を呼び出してまで、嘘を教えるメリットが彼女にはない。 むしろ、浮気の事実さえ教えてしまったデメリットに、真実味さえ感じてならない。 きっと、彼女の言っているとおりなのだ。 妻は、次々と若い男たちに身体を与え、そして喜悦の声を上げて悶えているのだ。 「これから、どうするの?」 塞ぎ込むように黙り込んでしまった私に、彼女が苛立つように訊ねた。 答えなど求められても、すぐには返答などできそうになかった。 どうしても信じられなかったし、信じたくもなかったのだ。 その時、不意に彼女の携帯が鳴って、彼女は慌てたように小さなバッグから携帯電話を取り出すと、耳へと当てていった。 「うん・・・うん・・・わかった。すぐ、行くね。」 携帯を畳んだ彼女は、実に嬉しそうな顔をしていた。 「カレが迎えに来てくれたみたいだから、もう行くね。」 「彼?」 「今言った、若いカレ氏。浮気した罰に、今から遊びに連れて行ってもらうの。」 「えっ?これから?子供たちはどうするの?こんな時間から、いったいどこへ行くって言うの?」 本当なら、主婦である彼女は、夕げの支度にいそしんでいる時間のはずだった。 私の問いに、彼女の目が意地悪そうに輝いた。 「そのマンションに遊びに行くのよ。今日は、早くに仕事が終わったから、子供たちは、旦那が見てくれてるわ。たまには、私だって息抜きくらいさせてもらいたいわよ。」 「えっ!?」 露骨に乱交をしに行くと告げたのだ。 そのマンションは、乱交パーティのたまり場だと、彼女自身が言っていた。 予想もしなかった返事に、ただただ驚くばかりだった。 息抜きにしては、ずいぶんと艶めかしいことだ。 「じゃあ、行くね。」 立ち上がって、すぐさま背中を向けようとした。 「あ、それとね・・・。」 不意に振り返った彼女が、ひどく暗い目で私を見つめてきた。 「奥さんのことは、黙っていた方がいいかも。騒いでも何もいいことはないわよ。どうせ、遊びなんだし、向こうだって本気にはならないから、子供のことを考えたら、何も言わないで好きにさせてあげてた方がお互いのためだと思うわ。きっと、すぐに飽きちゃうだろうしね。それに、××さんだって、ずっとしてあげてなかったんでしょ?やっぱり、問題はあったと思うのよね。奥さん、ずっとこぼしてたもの。だから、少し遊ぶくらい大目にみてあげなきゃ。本気にならなければいいんだし、奥さんもバカじゃないから、それくらいわかってるわよ。」 妻を引き合いに出しているが、それは彼女のことも黙っていろと、暗に告げているように聞こえてならなかった。 若い男に弄ばれながら、喜悦の声を上げる妻のふしだらさが、大したことではないのか? 呆然としている私を尻目に、彼女はスタスタと歩いて店を出ていってしまった。 目の前で、話を聞かされても、にわかには信じがたい。 とても、浮気ができるような女ではなかったし、そんな気配など、これまで一度として感じたことはなかったのだ。 だが、あの奥さんが嘘をついているとも思えない。 やはり、妻は浮気をしているのだろうか? しかし、乱交だと? 山の中で、強姦ごっこをしていただと? あの妻がか? キャンプから帰ってきた後も、いつもとまったく変わらない妻だった。 家事も手抜きすることなく、きちんとこなしていた。 相変わらず明るく笑うし、家族にも優しかった。 彼女は、彼女のままであって、ずっと良き妻であったし、良き母親であったのだ。 とても、ママ友の奥さんが言っていたようなことをしていたとは、到底思えない。 乱交までした事実を、あれほどうまく隠せるのなら、妻は、まさしく悪魔だ。 仮にそれがもし事実だとして、これからどうする? 離婚するのか? 3人の子供の面倒は誰が見る? 三女はまだ幼い。 長女にしたところで、まだ手の掛かる年頃だ。 思春期になって、いよいよ扱いづらくなってきた。 そこに、離婚話など持ち上がったら、いったいあの子はどうなってしまうのだ? 仕事にしたってそうだ。 今は、出世レースの大事な時期だ。 もし、離婚の事実が判れば、管理能力を問われるだろう。 私に不利益が働くのは、目に見えている。 浮気をしていようが、していまいが、選択肢など残っていないような気がした。 それに、私自身が、まだ妻を愛していた。 この事件が発覚するまで、なんの不満などもなかったのだ。 確証があるわけではない。 疑いがあるだけだ。 信じたくない思いが強すぎて、無理に信じ込もうとしていた。 キャンプだって、あれから仲間が来たのかもしれない。 ママ友の奥さんは、私をからかっただけなのだ。 気さくな彼女は、よく人をからかって楽しむところがある。 もう少し妻を信じてみよう。 無理にそう思い込みながら、私は家へと帰った。 玄関を開けると、ちょうど出掛けようとしていた妻と、ばったり出くわした。 「ああ、あなた、帰ってきたの?よかったぁ。ちょうど今、電話しようと思ってたとこなの。」 携帯電話を手にしていた妻は、いかにも助かったといった顔をして、明るい笑顔を向けてきた。 「え?なに?どうしたの?」 小綺麗に着飾った服を着て、丁寧に化粧をしていた。 強めの香水の匂いが、やけに鼻をくすぐってならなかった。 「あのね、ごめんなさい。また急にパート先から電話が入っちゃって、夜のシフトに入ってくれないかって、頼まれちゃったの。人がいなくて大変みたいで・・・。悪いけど、ご飯の用意はしてあるから、あの子たちに食べさせてあげてくれない?」 パートに出掛けるだけなら、そんなに着飾ることはない。 ずっと、気にはなっていた。 『あら?外に出るなら、これくらい普通よ。あなただって、自分の奥さんが綺麗に見られた方がいいでしょ?』 そうやって、いつも言いくるめられてきた。 私は、ずっと騙されていたのだ。 もはや、疑いの余地はなかった。 妻はふたつのパートを掛け持ちしている。 ママ友の奥さんと一緒に勤めている化粧品の配送センターの他に、深夜まで営業している大手焼き肉チェーン店の清掃婦もしているのだ。 通常なら、どちらも子供が学校へ通っている昼間だけだが、ここのところ、焼き肉屋の方が、突然、夜間のシフトが入れることが多くなっていた。 それを疑問に思ったことは、一度もなかったが、嘘だったのだ。 ついさっき別れたばかりのママ友の奥さんは、これからマンションに行くと言っていた。 そのマンションに待ち構えているであろう男たちと、息抜きと称した乱交を愉しむのだ。 おそらく妻も、その乱交に加わる。 「12時前には帰れると思うから。」 まだ6時にもなっていなかった。 つまり、これから5時間以上も、妻は何人もの男たちに弄ばれるのだ。 返事も待たずに、妻は、急ぐようにハイヒールに足を入れていく。 表情に悪びれた様子はない。 口元に微笑まで浮かべていた。 そんなに若い男はいいのか? 私の知らない妻が、目の前にいた。 「じゃあ、お願いね。あなた♪」 見事なまでに屈託のない笑みを残して、妻は、嬉しそうに玄関を出て行った。 きっとママ友が来ることは知らないはずだから、驚くはずだ。 だが、何事もなかったように、彼女たちは明日もパートに出掛けていく。 そして、今夜を境に、ふたりはより親密になっていくことだろう。 そうなったら、もう、私には、真実を知る術がなくなる。 口裏を合わせるようになるからだ。 胸の奥で、何かがすっぽりと抜け落ちたような感覚を覚えてならなかった。 私は、ぼんやりと玄関に佇みながら、妻の運転する軽自動車のエンジン音が遠のいていくのを、黙って聞いていた・・・。
2011/08/21 01:49:24(95m0bXiu)
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不甲斐ない夫
痴情のもつれの果ての殺人事件。 在り来たりな事件ではあるが、金属バットで不倫相手の現役大学生を僕殺したというのは、いささかインパクトがあったらしく、実況見分のために所轄の警察署から連れ出された時は、意外と多くのメディアが集まっていた。 もはや、はるか昔の話しではあるが、一時期は、テレビでも騒がれたようだから、記憶の片隅くらいに残っている人は、まだいるかもしれない。 私に下された判決は、懲役8年の実刑判決。 頭部をバットで破壊した残虐性が争点となり、検察側は、起訴状で12年の実刑を求刑してきたが、こちらも暴行されたのは事実であり、また偶発的で計画性がなかったことや、それまでの事件に至る経緯、その背景、そして日頃のまじめな素行ぶりなどが考慮され、裁判では、情状酌量も加わり、量刑は思ったよりも軽いものにとどまった。 もちろん控訴はせずには、私は、一審の判決を素直に受け入れた。 被害者は、物言わぬ物体となり果て、加害者は、饒舌にありのままを繰り返す。 死人に口なしと言われるが、まさしくその通りで、やりようによっては無罪さえ勝ち取れたのかもしれないが、私は、そうはしなかった。 サトシが、5人兄妹の長男で、苦学の末に大学に入り、そして年老いた両親の面倒まで、彼がみていたことは、起訴が確定して、警察で取り調べを受けている時に、担当した刑事が教えてくれた。 元々身体の弱かった母親は、頼りにしていた息子を突然に失い、悲嘆に暮れるあまり、倒れて入院してしまったそうだ。 その治療代さえ、まともに払えるかどうかもわからないほどに、サトシの実家の財政状況はひっ迫していて、家族にしてみれば、サトシは、たったひとつの希望の星であり、彼らの救世主であった。 その命を奪ってしまった私は、彼らからすれば、やはり許せない存在であるのだろうし、自分としても罪を償うことで、それなりにけじめをつけたかった。 無論、私とてある意味では被害者であり、サトシがこれまでしてきたことを、双手を挙げて許すつもりにもなれなかったが、幾ら憤怒に駆られたからとはいえ、奪わなくてもいい命を唐突に奪ってしまったことは事実であり、無益な殺生に、後悔していたことも、また確かだった。 あまりにも、多くのものを傷つけ、そして、あまりにも多くのものを失った。 だが、これは地獄の始まりに過ぎず、それからも、私はサトシの残した遺産に苦しめられるのだった。 控訴しない旨を、担当していた国選の弁護士に伝えると、年老いてパッとしない彼は、心なしかホッとした表情を見せていた。 控訴などすれば、また膨大な時間を事務的作業に費やすことになる。 それを彼は望んでいなかったし、もちろん私も望んでいなかった。 この弁護士が、取り調べもほぼ済んで、後は一審で審理を待つばかりとなった私の元に、一枚の紙を携えてやってきたのは、事件から3ケ月ほどが過ぎた頃のことだった。 接見室で向き合った被は、「これを奥様から・・」と、さも辛そうな表情を見せて、離婚届を私の前に差し出した。 その書面には、ぽっかりと空いたような空欄の隣りに、妻の名前と押印がしてあった。 愕然とはしたが、無理からぬ話ではあるから理解もした。 世間の耳目を集めるに十分な、スキャンダラスな不倫殺人事件に、マスコミは容赦なく食らいつき、加害者家族の人権などそっちのけで、大挙して我が家に押し寄せた。 地元は騒然となり、当然のように家族は、あの家から出ることができなくなって、まだ起訴さえもされていなかった勾留延長中に、被女たちは、逃げるように何処かへと引っ越した。 それは、この弁護士から聞いて知っていた。 あの日以来、私は、妻と会っていなかったし、彼女の声を聞いてもいなかった。 彼女は、一度として面会にはやってこなかったし、妻のみならず、娘たちも顔を見せることはなかった。 犯罪者となった私の元にやってきたのは、この老弁護士と、やはり年老いた私の両親くらいのものだった。 寂しいとは思ったが、あの惨劇とその後の状況を考えれば、やむを得ないと認めざるを得なかったし、やはり時間も必要かと思えた。 だから、無理に家族に接見を求めたりはしなかったし、離婚届を突きつけられた時は、さすがに悲しくもなったが、来るべき時が来たかと、どこかで諦めた気持ちも強かった。 法律上の縁が切れたからといって、娘たちとの血縁までが切れるわけではない。 家族の絆とは、そんなに簡単に断ち切れるものではなく、時間を掛ければ必ず修復できるものだと信じていた。 しかし、私の思惑とは裏腹に、妙な知らせが耳に届いたのは、拘置所に収監されてから、一年が経とうとしていた頃だった。 久しぶりに接見にきた両親が、不安げな顔で私に告げてきた。 孫たちと連絡が取れない。 どこにいるのか、わからないというのだ。 逃げるように引っ越したのは、彼らも知っていた。 しかし、その引っ越し先がわからないと、泣きそうな顔で告げるのだった。 何を言っているのか、と叱りつけた。 勾留延長中に引っ越したのだから、妻たちが家を出てから、すでに一年が過ぎようとしていた。 その間、連絡は取り合っていなかったのか?と、私は、睨みながら年老いた母を問い詰めていた。 私の問いに、母は、ばつが悪そうに顔を俯かせ、一度だけ電話で話したことがあるだけで、それ以来、まったく連絡を取り合っていない、と素直に白状した。 母からしてみれば、妻は、この事件の発端を作った張本人であり、大事な息子の人生を破滅させた稀代の悪女というわけだった。 たった一度だけ電話をしたというその内容も、母の口ぶりから察する限り、ほとんどが罵倒のように思われた。 いずれは、確かめればいいとくらいにしか思っていたらしく、私の両親は、妻たちの引っ越し先を、ずっと確認していなかった。 妻の携帯電話の番号は知っていたから、久しぶりに孫の声を聞きたくなり、電話を掛けてみたのだが、まったく繋がらないのだという。 それがふた月ほど続き、いよいよおかしいとなって、何か知らないかと、両親は、私の元にやってきたのだった。 檻の中にいれば時間は止まり、世界も止まる。 彼らに知り得ないことが、囚われの身である私にわかるわけがない。 弁護士に訊いてみろと訪ねさせたが、彼も妻たちの居所については知らなかった。 公訴提起が終わり、公判手続きが始まったばかりで、まだ私の裁判は開かれていなかった。 審理が始まっていないのだから、当然、妻は、証人として喚問される可能性があり、そんな重要な証人の居所を知らないとは、開いたロが塞がらなかったが、離婚届のやりとりや証言の裏付けは、彼の事務所で行ったらしく、また、新たな住居として教えられた引っ越し先も、聞いて知っていたから、すっかりそれを信用しきって安心していたようだった。 しかし、教えられていた住所に、妻たちの姿はなかった。 弁護士の彼は、半年ほど前から、その事態に気付いていたが、最悪のケースを懸念して、それを私に伏せていた。 つまり最悪、心中の可能性があったわけで、それを知ることによって私の内面に変化が起こることを、彼は嫌ったのである。 検察側でも、やはり妻の所在を掴んではいなかったが、こういった不倫絡みの事件の場合、どちらかが雲隠れしてしまうのは、よくあることらしく、捜査初期の段階で、起訴に至るための裏付け証言は、十分に取ってあったから、さほど重要な証人と位置付けていなかったらしく、たいした問題ともなっていなかった。 私が、素直に供述を続けたことが、妻の存在を希薄にしていったのである。 事件の発端になった張本人とはいえ、彼女は、殺人そのものには、何ら関係していなかった。 あの現場にさえも、存在していない。 私の供述では、そうなっていた。 サトシを撲殺したあの日、テッペイの配慮で、妻は、うまく逃げおおせることができた。 警察に通報する前に、服を着せて、自宅へと帰したのだ。 ここに女は、いなかった。 いたのは、私とサトシとテッペイの3人だけだ。 不倫が発覚して、サトシと私は、決着を試みることにした。 話し合いの場として、サトシの親友であるテッペイの部屋を借りることになった。 結局、話し合いは平行線を辿ったまま埒があかず、次第に興奮していったふたりは、とうとう最後には、殴り合いのケンカを始めてしまった。 腕力で勝るサトシは、一方的に私を殴り、血塗れになった私は、恐怖から逃れるために、たまたま部屋にあったバットでサトシを殴った。 無我夢中でバットを振っていたので、どういった状況でバットがサトシに当たったのかは、わからない。 気が付いたらサトシは死んでいた。 それが、連行されてから、私が警察に話した内容だった。 その供述を裏付けるように、事情聴取に応じたテッペイは、まったく同じことを警察に話した。 茫然自失としている私に代わり、やってきたばかりの警察に些細な状況を説明したのも、また彼だった。 私だけの証言なら信用性はないが、テッペイは、サトシの親友だった。 不倫とはなんの関係もない、部屋を貸しただけの善意の第三者でしかない。 その彼が、証言するならば、それが事実であった。 真実と事実は、また違うものなのだ。 私にすれば、妻を巻き込みたくない思いが強かった。 妻を庇うよりも、子供たちから母親を奪いたくない気持ちが強かった。 子供たちの母親が晒し者にされ、糾弾されるのを恐れた。 元凶ではある。 夫の目の前で性交に及び、痴態を見せつけた挙げ句、逆上した夫が、不倫相手を撲殺した。 ありのままに全容を明かせば、これまで悪辣な手段で玩具にされてきた人妻たちとの関わりや、多くの学生たちの悪行までが、すべて暴露することになる。 複雑な人間関係は憶測を呼び、邪推が生まれて、ことによっては、妻は共犯と見なされ、犯罪の計画性さえ疑われてもおかしくはなかった。 そんなことになれば、妻は、おいそれと警察からは解放されないだろう。 それが私には、怖かった。 逡巡はあったが、テッペイの「大丈夫ですよ。奥さんのことは心配しないでください。僕の言うとおりにやれば、奥さんが捕まることはありませんから。」の「捕まる」一言が、私に決断させた。 やはり子供たちから、母親は奪えない。 テッペイとシュンのふたりにしたところで、今までの悪事が露見すれば、一生を棒に振りかねなかった。 煩わしい揉め事には、巻き込まれたくないのが、本音のところだったろう。 善意の第三者でいる限りは、彼らが肩入れしてきた悪行の数々は露見しないし、警察の手も及ばないことになる。 私と彼らの利害は一致した。 我々は、口裏を合わせて、事実の隠蔽を図ったのだ。 テッペイは、実に落ち着いていた。 証言と状況が整合するように、裸だったサトシに服を着せ、それまでの性行為などなかったかのように、妻の痕跡を手早く消し去っていった。 頭にバットが刺さったままだったサトシに、いかにも乱闘した後のようにシャツを引き裂き、それを羽織らせた。 濡れたタオルでペニスを丁寧に拭いさえしたのは、解剖を考えたからに違いない。 さらに家宅捜索まで視野に入れて、大量にあったDVDや撮影機材を段ボールに詰めて、それをシュンと着替え終えて、顔を青ざめさせていただけの妻に運ばせた。 見事に理詰めの状況を作り終えてから、4人は、口裏を合わせ、妻は、シュンとマンションを抜け出すと、自宅へと逃げ帰ったのだった。 警察へは、テッペイが通報した。 そこまでに要した時間は、1時間も掛からなかった。 実に手際がよかった。 まるで、そうなることを予測していたかのようだった。 そうだ・・・。 奴は、予測していたのだ。 そうなることを予測していたから、そんなことができた。 殺人事件の現場なのだ。 目の前には、潰れたトマトのようにグシャグシャになった親友の頭がある。 本当なら、狼狽え、脅え、錯乱するのが、人間の性というものだ。 だが、奴はそうはならなかった。 シュンもだ。 ふたりには、あらかじめ、私がサトシを殺すであろうことがわかっていた。 だから、狼狽えがなかった。 私が、」サトシに殺意を向けるであろうことを知っていた。 いや、期待し、そのように誘導したのだ。 テーブルの上には、無造作にナイフがあった。 転がされていたすぐ横には、金属製のバットが立て掛けられていた。 あの臆病で腰抜けのサトシが、それらを使って私に襲いかかってくるとは、到底思えない。 状況を作ったのだ。 殺人を期待できる状況を作り上げ、奴は、巧みにそこへと私を誘導したのだ。 リビングに入った時は、サトシの背中は、確かに私の前にあった。 だから、私の後頭部をサトシが殴れるはずがない。 シュンは、殴っても蹴ってもいないと言っていた。 それが本当であるならば、では、いったい誰が私を殴ったのだ? テッペイは、突然サトシに反目すると、おもむろに私に近づいてきて、縄を解いた。 縄を解くことで、サトシが孤立し、仲間がいないことを、暗に私に教えてくれた。 仲間がいなくなれば、反撃に転じるのは道理だ。 邪魔をする者がいないのだから、一対一の勝負に持ち込むことができる。 腕力では五分五分かもしれないが、道具があれば、はるかに勝てる確率も高くなる。 殺傷能力の高い武器であるなら尚更のことだ。 それは、私のごく身近なところに置いてあった。 当然のように手に取った。 怒りは頂点に達している。 目の前で妻を弄ばれた。 あの子たちの母親をメスブタと呼んだ。 人様の女房の中に無造作に吐き出し、こともあろうか、その陵辱の証を、夫の顔の上にぶち撒けた。 殺されたところで仕方がない。 人間を狂気に変えても仕方がないことを、サトシはしたのだ。 バットを握っていても、それを凶器とは思わなかった。 正義の鉄槌を下すための刃だと思った。 正義は我にあった。 だから、悠々と大きく振り上げた。 かつてない力を感じていた。 一刀両断に切り落とすように振り下ろしていた。 手応えはなかった。 手のひらには、何も感じたりしなかった。 気が付けば、サトシは眼球が飛び出し、脳みそが飛び散るほどに、頭が真っ二つになっていた。 やっと、害虫を駆除した。 あの時の私は、心底血に染まるサトシを見つめながら、そう思っていた。 しかし、サトシは害虫ではない。 人間だ。 親も兄妹もいる、人そのものだ。 熱があり、情があった。 決して虫などではない。 私は、誰かにサトシが虫だと思い込まされたのだ。 サトシを害虫だと思い込まされ、この手で駆除するように仕向けられた。 それは、私の身近なところにいた。 そして、そいつを後ろで操っていた奴が、確かにいた。 初犯で模範囚ということもあり、刑期は1年短縮されて、私は7年で出てくることができた。 未決勾留期間も合算されるので、ちょうど7年が経っていた。 監房の中で、天井を見上げながら、日々考えていたのは、やはり、家族のことだった。 失われた家族は、まだ見つからず、どこで何をしているのか、まったくわかりもしなかった。 それにしても、なぜ妻は、あれほどに豹変し、私を裏切ることになったのか、考えれば、考えるほどわからなかった。 しかし、考え抜いた挙げ句、最後に、辿り着いた答えは、しごく簡単なものだった。 おそらく、彼女の浮気には、私の存在など関与していない。 妻は、彼女の事情で、そうならざるを得なかった。 ただ、それだけだ。 そして、その答えが正解であるのを裏付けるように、出所してすぐに、沢渡というジャーナリストが、私の元を訪れた。
11/11/10 23:32
(NN.3.4lX)
投稿者:
(無名)
不甲斐ない夫さん、今からでも真実を明らかにすればいいのにと思うのは、他人事だからかな?
同情しつつも続きが気になります
11/11/11 00:04
(D.r1HE8m)
投稿者:
(無名)
予想の遥か上を行く展開。面白いですね。
11/11/11 01:15
(2Dk9muET)
投稿者:
(無名)
不甲斐ない夫さんの心境も考えず簡単な言葉ですみませんが続きお願いします
11/11/14 00:00
(CRiFGFLu)
投稿者:
まさ
アゲときます。
続きをお願いします!
11/11/26 06:34
(b4.SHpBl)
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