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1:キャンプへ行った妻
投稿者:
不甲斐ない夫
今年の夏、妻がキャンプに行ってもいいか、と訊いてきた。
パート先で企画が持ち上がったらしく、日頃の慰安を兼ねて、バイトの子やパート仲間で行くのだという。 子供たちは夏休みであったし、無理に反対する理由もないので快く承諾した。 キャンプに出掛ける日は、軽装に着替えた妻をパート先の近くまで送ってやったものだ。 ぴっちりとしたホットパンツに小さめなTシャツと、めずらしく肌の露出が多い服装をしていたのが、いささか気になりはしたものの、若い男の子たちも来るというから、老けて見られるのを嫌って若い格好をしているのだろうと、あまり気にも留めなかった。 集合場所に着くと、待っていたのはキャンプ資材を積んだ真新しそうな新型のワンボックスと、バイトの子らしい3人の若者たち。 礼儀正しい青年たちだった。 まだ、大学生だという。 他に車は見あたらず、そこに立っていたのは、妻を含めてその4人だけだった。 「他は、まだ来ていないみたいだな。」 「うん、まだ早いから、これから来るんじゃない?」 パート仲間や従業員たちも一緒に行くのだと聞いていた。 だから、誰もいないのを不思議にも思いもしたが、何食わぬ顔で、そう言った彼女に私はまったく疑問さえ感じていなかった。 「ありがと。もう、いいわよ。」 行ってくるね、と手を振る彼女に笑顔で見送られ、私は、妻を残して家に帰った。 キャンプの予定は3日間。 日頃の妻の苦労をしっかりと肌に感じつつ、その3日間は、子供たちを相手に悪戦苦闘したものだ。 3日目の夕方になって、妻はようやく帰ってきた。 「ああ、疲れた!」と、玄関で荷物を下ろした彼女は、疲れてるわりには、とても晴れ晴れとした表情を浮かべていた。 きっと、仲間といっぱい遊んで、リフレッシュできたに違いない。 家計をやりくりするためにパートをふたつも掛け持ちしている彼女だ。 たまには家族を忘れて気分転換するのもいいことだ、などと、晴れやかな表情を浮かべる彼女を見て、私は心の底から喜んだりしていた。 しかし、よく見ると、妻は怪我をしていて、ひざやひじのあたりには小さな擦過傷が幾つもある。 小さな傷は、ふくらはぎや足の先にも見てとれた。 「それ、どうしたの?」 気になって、訊ねてみたら「ああ、ちょっと転んじゃって。」と、妻は、はにかむように笑っていた。 どれほど羽目を外したのかは知らないが、「歳なんだから気をつけろよ。」と、窘めると「失礼ね。これでも、まだ若いのよ。」と、彼女は勝ち誇ったように笑っていた。 それから一週間ほどが過ぎた頃のことだ。 近くのスーパーで買い物をしていたら、たまたま妻の友達にあった。 ママ友で、長女が幼稚園からずっと一緒だったせいか、私にも気軽に話しかけてくれる、気さくで明るい女性だった。 ノースリーブのシャツを着ていた彼女の肩が、真っ黒に日焼けをしているのを見て「さすがにキャンプに行ったら、焼けてるねえ。」と、私は笑った。 彼女も、妻のパート仲間で、この間のキャンプへ行ったのだ。 すると、不意に彼女が怪訝な顔をした。 「キャンプ?なにそれ?今年は行ってないよ。」 「え?この間、うちの奴と一緒にキャンプに行ったでしょ?それで、焼けてるんじゃないの?」 妻は、彼女も一緒に行くと、確かに言っていた。 だから、安心して、妻を送り出すことができたのだ。 「これ?全然違うよぉ。実家の手伝いに行ってたの。毎日畑仕事させられて、大変だったよぉ。」 訊けば、実家のお母さんの具合が悪くなったらしく、帰省を兼ねて、家族ぐるみで農家をやっている家の手伝いに帰っていたのだという。 「じゃあ、キャンプには行ってないの?」 「行ってないよ。」 「でも、うちの奴が、○○さんも一緒に行くって・・・。」 「そんな話聞いてないよぉ。」 「だって、パート先の慰安旅行を兼ねているから、みんなで行くって・・・。」 言葉が続かなかった。 この辺りから、胸がざわつき始めていた。 「それって、いつぐらいのこと?」 妻がキャンプに行った日を教えてやった。 急に彼女が思案顔になって、不安そうな目を向けてきた。 「あのさ、こんなこと言ったら、なんなんだけど・・・。奥さん、気をつけた方がいいわよ。」 「気をつけた方が、いいって・・・?」 「うん、××さんの奥さんね、職場で意外と人気があるのよ。ほら、スタイルだっていいし、顔も可愛いでしょ?だからね、奥さんに声掛けてるバイトの子が結構いるみたいなの。まだ学生の子が多いから年上の人に興味があるみたいで・・・。奥さんは、相手にしていないみたいだったけど、その時って、ちょうどバイトの子の何人かがキャンプに行くって言ってた日なのよね。だから・・・もしかしたら、その子たちと行ったのかも・・。ああ!これは、あくまでも私の想像だけどね!」 慌てて否定していたが、もはや、私の頭の中には、疑念だけしか渦巻いてなかった。 「私が言ったこと、奥さんには黙っててね。」 まずいことを教えて妻との関係がこじれるのを嫌ったのか、バツの悪そうな顔をして、逃げるように立ち去ろうとした彼女を呼び止めた。 「悪いけど、頼みがあるんだ・・・。」 疑惑は、確信に変わりつつあった。 キャンプから帰ってきた日、妻はノーブラだった。 ふっくらと盛り上がっていたTシャツの薄い生地に、ふたつの小さな突起が飛び出していたのを思い出していた。 ひどく暑い日が続いていたし、日頃からブラジャーを嫌って、家の中では、あまりしたがらないのを知っていたから、さほど気にも留めなかった。 だが、今思えば、若い男たちの前にノーブラの姿をさらすなど、既婚とはいえ、羞恥心がないわけではないのだから、普通ならできることじゃない。 しかし、身体の関係があるなら、話は別だ。 私は、彼女にあることを頼むと、携帯電話の番号を教えて、別れた。 妻とは、結婚をしてから12年になる。 結婚したての頃は、25歳だったから、彼女は今37歳だ。 ふっくらとした顔をしていて、眼尻が下がっているから、年齢よりも幼く見られることが多い。 そのせいか、見ようによっては男好きのする顔をしている。 子供を3人産んでいるわりには、スタイルはまだ崩れてなくて、乳房なども目を見張るほどに豊かな張りに富んでいた。 尻も大きくて、細い身体とのアンバランスが、よく男の目を惹いた。 性格は、これと言って問題はない。 大人しいかと言えば、そうでもないし、かといって、特に口うるさく騒ぎ立てることもなく、毒にも薬にもならない気性をしているから、ことさら不満を覚えたこともなかった。 夫婦仲は、それほど悪くない。 ただ、2年ほど前から、軽いEDになって、夜の生活は、ここしばらくご無沙汰している。 私と妻は、8つ歳が離れていた。 妻も気遣っているのか、無理に求めて来ようとはしないので、申し訳ないと思いつつも、今まで甘えてきた。 だが、可愛がってやらないからと言って、それを理由に妻が不機嫌になることはなかったし、仲違いをしたこともない。 派手なことを好む女ではなかったし、ことさら癖のある性癖を持っているわけでもなかったから、あまり興味がないのだと思っていた。 どちらかと言えば性行為には控え目な性格をしていて、ことさらしたがるタイプでもなかったのだ。 だから、浮気などそれまで一度として考えたこともなかった。 ましてや、妻に変態的な嗜好があるなどとは夢想だにしたこともない。 実に、良き妻であったし、良き母親であった。 私は、心の底から彼女を信じ切っていたのだ。 ママ友の彼女から、携帯に電話があったのは、つい先日の夕方のことだ。 スーパーで会ってから、1週間ほどが経っていた。 近くの喫茶店に呼び出されて、そこで落ち合うことになった。 結論から言えば、クロだった。 それも、開いた口がふさがらないほどの真っ黒だ。 「待ち合わせしたところに3人いたんでしょ?その3人を相手に頑張っちゃったみたいよ。」 アイスコーヒーのストローを口にくわえながら、彼女は呆れたように言っていた。 にわかには信じられない話に、呆然と聞いていたものだ。 「そこに背の高い子がいなかった?その子が、奥さんをすごく気に入ってるらしくて、強引に口説いて、キャンプに行く前から、もう関係はあったらしいわ。私も知ってるけど、なかなかカッコいい子だから、今は奥さんの方が夢中になってるみたい。それでね、その子には、仲の良い子が他に二人いて、奥さんは、その子たちの相手もしてるみたいね。それが、待ち合わせ場所に一緒にいたふたりよ。どうして3人も相手にすることになっちゃったのかは知らないけれど、無理矢理ってわけでもないみたいで、キャンプに行った時も、納得して行ったみたいよ。奥さん、最初から3人を相手にするつもりだったのね。」 冷ややかな目で彼女に見つめられて、思わず頬が赤らんだ。 思わぬ妻のふしだらさと、それに気付きもしなかった自分が恥ずかしくてならなかったのだ。 「向こうに行ってからも、ずいぶんとすごかったみたいよ。最初からエッチ目的だったみたいで、誰も来ないような山奥まで行ったんだって。行く途中も車の中で散々したらしいわ。向こうに着いてからも、ずっと裸で服を着る暇もなかったって話よ。奥さん、休むこともできなかったんじゃない?若い人って、ほんとにすごいし、3人もいたらねぇ・・・。それで、3人いっぺんに相手までしちゃったって言うんだから、ちょっと彼女の性格からは信じられなくて、話を聞いたときには私も耳を疑っちゃったわ。でも、事実らしくて、ずっとそんなことばかりしてたみたい。真ん中の日は、裸の奥さんを山の中に逃がして、強姦ごっこみたいなこともしてたって言うんだから、まったく驚いちゃうわよねぇ。3人で追いかけて、捕まえた人からしたんですって。ずっと、一日中そんなことばかりしてたらしいけど、奥さん怪我とかしてなかった?でも、なんか、私も聞いてて、少しだけうらやましくなっちゃった。ちょっと、憧れたりはするわよねぇ。」 そう言った彼女の瞳には、妖しい光が浮いていた。 あの妻からは、信じられないような話ばかりに、現実のものとして捉えることができず、夢の中で話を聞いているような気さえしてならなかった。 しかし、言われてみれば、確かに妻の手足には、幾つもの擦過傷があった。 あれが地面にひれ伏しながら犯された傷ならば、納得もできる。 だが、アナルまで使わせたなどとは、にわかに信じがたかった。 アナルに触れただけで、嫌がるような妻だったのだ。 「コンドームなんて使わないでしてたって言うから、避妊はどうしたんだろ?赤ちゃんなんかできたら、最悪なのにね。」 おそらく、それはないだろう。 それだけは、確信があった。 私との交渉は、ここのところまったく途絶えていた。 だから妊娠などすれば、すぐに浮気が発覚する。 もし、彼女の話が事実であるならば、おそらくキャンプに行く前から、妻は避妊の準備をしていたのだ。 子供の学校の支度は、必ず前日のうちに終わらせていて、朝になっても、子供たちが慌てふためくことなど、一度もなかった。 何事にも念入りに準備をして、きちんとしていなければ、気の済まない性格をした妻だった。 おそらく、彼女は妊娠することがないように、きっと用意周到に準備をしていたはずだ。 ピルでも飲んでいたのかもしれない。 今夜、タンスの中でも探ってみよう、などと彼女の話を聞きながら考えていた。 「ねえ、ほんとにまったく気付いてなかったの?私は気付かなかったけど、若い子の間では、奥さん評判にもなってたみたいよ。」 彼女の瞳には、非難するような色があった。 正直なところ、性欲というものが失せかけていて、ここのところまったく妻の裸を見ていない。 多少でも、妻を気にかけていれば、もっと早くに気付いていたのかもしれないが、私は、それを怠っていたのだ。 非難されても仕方のないことだった。 「なんかね、その3人のうちのひとりが良いとこの坊ちゃんらしくて、結構いいマンションに住んでるみたいでね、そこをたまり場にして、乱交パーティみたいなこともしてるんですって。それでね、時々は、その3人以外にも、他の子が混じったりしてたらしいのよ。手当たり次第だったみたいね。ほんと、迷惑な話だわ。」 ため息混じりに、ぽつりとつぶやいた最後の彼女の言葉の意味がわからなかった。 淡々と口にしていたが、その時の彼女は、まるで妻を嫌ってるかのようにも思えた。 いったい、妻が彼女になんの迷惑をかけたのだろうか? 同じパート仲間として恥じているのか? それとも、同性として、妻のふしだらな行為を軽蔑しているのか? 妻と同い年の彼女だった。 歳が同じだったせいか、知り合ってからは、同じ勤め先を探してくるなど、ひどく懇意にもしていた。 だが、その時の彼女は、妻を忌み嫌っているようにも見えたのだ。 そう言えば、一人言のようにしゃべり続ける彼女に、妙な疑問を覚えた。 彼女は、いったい誰から話を聞いたのだ? まるであたかも自分が見てきたように話をしているが、それはいったい誰に教えてもらったことなのだろう? それを考えると、不思議でならなかった。 「ねえ、ところで、それは誰に聞いたの?」 疑問が、口をついて出た。 彼女は、迷惑そうな顔をしながらも、あっけらかんと答えた。 「私のカレから・・・。私も奥さんと同じで、あの職場に若いカレ氏がいるの。奥さんを気に入ってる子と仲が良いから、頼んで全部訊いてきてもらったのよ。それを、あなたに教えてあげてるの。」 予想もしなかった答えに息を飲んだ。 彼女も、浮気をしていたのだ。 「でね、訊いてよ・・・。」 急に眉根をしかめ、不機嫌そうな顔つきで身を乗り出してきて、彼女が続けた。 「あなたに言われてから、すぐにカレに聞いたんだけど、なかなか教えてくれなくて、おかしいな、とは思ってたのよね。でも、やっと昨日白状して、なかなか教えてくれなかった理由がわかったわ。実は私のカレもね、その子に誘われて、今言ったマンションに、行ったことがあるんですって。それでね、あなたの奥さんとしてきちゃった、なんて言うのよぉ。挙げ句にすごく良かったなんて言うもんだから、もう腹が立っちゃって。あなたが、しっかりと奥さんを見ていないから、私まで嫌な思いしちゃったじゃない。」 怒ったように告白されて、ようやく疑問が解けた。 そうか、彼女は男を寝取られたと思っていたから、妻を快く思っていなかったのだ。 まさか、妻が彼女の男まで相手にしていたとは思いもしなかった。 それにしても、なんと言うことだ。 あの妻が、次々と若い男たちに体を開いているの言うのだ。 まさに彼女が言うように手当たり次第ではないか。 だが、聞けば聞くほど、あの妻が、そんなことをしているなど、にわかには信じがたい気持ちが強くなっていき、戸惑いさえ覚えた。 それは、おそらく事実なのだろう。 わざわざ私を呼び出してまで、嘘を教えるメリットが彼女にはない。 むしろ、浮気の事実さえ教えてしまったデメリットに、真実味さえ感じてならない。 きっと、彼女の言っているとおりなのだ。 妻は、次々と若い男たちに身体を与え、そして喜悦の声を上げて悶えているのだ。 「これから、どうするの?」 塞ぎ込むように黙り込んでしまった私に、彼女が苛立つように訊ねた。 答えなど求められても、すぐには返答などできそうになかった。 どうしても信じられなかったし、信じたくもなかったのだ。 その時、不意に彼女の携帯が鳴って、彼女は慌てたように小さなバッグから携帯電話を取り出すと、耳へと当てていった。 「うん・・・うん・・・わかった。すぐ、行くね。」 携帯を畳んだ彼女は、実に嬉しそうな顔をしていた。 「カレが迎えに来てくれたみたいだから、もう行くね。」 「彼?」 「今言った、若いカレ氏。浮気した罰に、今から遊びに連れて行ってもらうの。」 「えっ?これから?子供たちはどうするの?こんな時間から、いったいどこへ行くって言うの?」 本当なら、主婦である彼女は、夕げの支度にいそしんでいる時間のはずだった。 私の問いに、彼女の目が意地悪そうに輝いた。 「そのマンションに遊びに行くのよ。今日は、早くに仕事が終わったから、子供たちは、旦那が見てくれてるわ。たまには、私だって息抜きくらいさせてもらいたいわよ。」 「えっ!?」 露骨に乱交をしに行くと告げたのだ。 そのマンションは、乱交パーティのたまり場だと、彼女自身が言っていた。 予想もしなかった返事に、ただただ驚くばかりだった。 息抜きにしては、ずいぶんと艶めかしいことだ。 「じゃあ、行くね。」 立ち上がって、すぐさま背中を向けようとした。 「あ、それとね・・・。」 不意に振り返った彼女が、ひどく暗い目で私を見つめてきた。 「奥さんのことは、黙っていた方がいいかも。騒いでも何もいいことはないわよ。どうせ、遊びなんだし、向こうだって本気にはならないから、子供のことを考えたら、何も言わないで好きにさせてあげてた方がお互いのためだと思うわ。きっと、すぐに飽きちゃうだろうしね。それに、××さんだって、ずっとしてあげてなかったんでしょ?やっぱり、問題はあったと思うのよね。奥さん、ずっとこぼしてたもの。だから、少し遊ぶくらい大目にみてあげなきゃ。本気にならなければいいんだし、奥さんもバカじゃないから、それくらいわかってるわよ。」 妻を引き合いに出しているが、それは彼女のことも黙っていろと、暗に告げているように聞こえてならなかった。 若い男に弄ばれながら、喜悦の声を上げる妻のふしだらさが、大したことではないのか? 呆然としている私を尻目に、彼女はスタスタと歩いて店を出ていってしまった。 目の前で、話を聞かされても、にわかには信じがたい。 とても、浮気ができるような女ではなかったし、そんな気配など、これまで一度として感じたことはなかったのだ。 だが、あの奥さんが嘘をついているとも思えない。 やはり、妻は浮気をしているのだろうか? しかし、乱交だと? 山の中で、強姦ごっこをしていただと? あの妻がか? キャンプから帰ってきた後も、いつもとまったく変わらない妻だった。 家事も手抜きすることなく、きちんとこなしていた。 相変わらず明るく笑うし、家族にも優しかった。 彼女は、彼女のままであって、ずっと良き妻であったし、良き母親であったのだ。 とても、ママ友の奥さんが言っていたようなことをしていたとは、到底思えない。 乱交までした事実を、あれほどうまく隠せるのなら、妻は、まさしく悪魔だ。 仮にそれがもし事実だとして、これからどうする? 離婚するのか? 3人の子供の面倒は誰が見る? 三女はまだ幼い。 長女にしたところで、まだ手の掛かる年頃だ。 思春期になって、いよいよ扱いづらくなってきた。 そこに、離婚話など持ち上がったら、いったいあの子はどうなってしまうのだ? 仕事にしたってそうだ。 今は、出世レースの大事な時期だ。 もし、離婚の事実が判れば、管理能力を問われるだろう。 私に不利益が働くのは、目に見えている。 浮気をしていようが、していまいが、選択肢など残っていないような気がした。 それに、私自身が、まだ妻を愛していた。 この事件が発覚するまで、なんの不満などもなかったのだ。 確証があるわけではない。 疑いがあるだけだ。 信じたくない思いが強すぎて、無理に信じ込もうとしていた。 キャンプだって、あれから仲間が来たのかもしれない。 ママ友の奥さんは、私をからかっただけなのだ。 気さくな彼女は、よく人をからかって楽しむところがある。 もう少し妻を信じてみよう。 無理にそう思い込みながら、私は家へと帰った。 玄関を開けると、ちょうど出掛けようとしていた妻と、ばったり出くわした。 「ああ、あなた、帰ってきたの?よかったぁ。ちょうど今、電話しようと思ってたとこなの。」 携帯電話を手にしていた妻は、いかにも助かったといった顔をして、明るい笑顔を向けてきた。 「え?なに?どうしたの?」 小綺麗に着飾った服を着て、丁寧に化粧をしていた。 強めの香水の匂いが、やけに鼻をくすぐってならなかった。 「あのね、ごめんなさい。また急にパート先から電話が入っちゃって、夜のシフトに入ってくれないかって、頼まれちゃったの。人がいなくて大変みたいで・・・。悪いけど、ご飯の用意はしてあるから、あの子たちに食べさせてあげてくれない?」 パートに出掛けるだけなら、そんなに着飾ることはない。 ずっと、気にはなっていた。 『あら?外に出るなら、これくらい普通よ。あなただって、自分の奥さんが綺麗に見られた方がいいでしょ?』 そうやって、いつも言いくるめられてきた。 私は、ずっと騙されていたのだ。 もはや、疑いの余地はなかった。 妻はふたつのパートを掛け持ちしている。 ママ友の奥さんと一緒に勤めている化粧品の配送センターの他に、深夜まで営業している大手焼き肉チェーン店の清掃婦もしているのだ。 通常なら、どちらも子供が学校へ通っている昼間だけだが、ここのところ、焼き肉屋の方が、突然、夜間のシフトが入れることが多くなっていた。 それを疑問に思ったことは、一度もなかったが、嘘だったのだ。 ついさっき別れたばかりのママ友の奥さんは、これからマンションに行くと言っていた。 そのマンションに待ち構えているであろう男たちと、息抜きと称した乱交を愉しむのだ。 おそらく妻も、その乱交に加わる。 「12時前には帰れると思うから。」 まだ6時にもなっていなかった。 つまり、これから5時間以上も、妻は何人もの男たちに弄ばれるのだ。 返事も待たずに、妻は、急ぐようにハイヒールに足を入れていく。 表情に悪びれた様子はない。 口元に微笑まで浮かべていた。 そんなに若い男はいいのか? 私の知らない妻が、目の前にいた。 「じゃあ、お願いね。あなた♪」 見事なまでに屈託のない笑みを残して、妻は、嬉しそうに玄関を出て行った。 きっとママ友が来ることは知らないはずだから、驚くはずだ。 だが、何事もなかったように、彼女たちは明日もパートに出掛けていく。 そして、今夜を境に、ふたりはより親密になっていくことだろう。 そうなったら、もう、私には、真実を知る術がなくなる。 口裏を合わせるようになるからだ。 胸の奥で、何かがすっぽりと抜け落ちたような感覚を覚えてならなかった。 私は、ぼんやりと玄関に佇みながら、妻の運転する軽自動車のエンジン音が遠のいていくのを、黙って聞いていた・・・。
2011/08/21 01:49:24(95m0bXiu)
投稿者:
おちんぽさん
不甲斐ない夫さん
続きが気になってしかたありません 書きたくないような出来事でもあったのですか? お互い夫婦の性癖を理解しあえば強い絆でやっていけると思います
11/10/25 19:13
(ynxoOIGQ)
投稿者:
不甲斐ない夫
約束の時間が近づいてきたので、店を出た。 テッペイのマンションに向かう道すがらは、ふたりとも口数が少なく、案内するサトシの声に、私も肯くだけだった。 テッペイのマンションは、駅裏にあった。 我が家からは、車で30分もかからない距離だった。 近くの空き地に車を停めて、マンションへと向かった。 住人たちの駐車スペースに見覚えのある車はなかった。 マンションの玄関は、暗証番号のキーになっていた。 サトシは、慣れた手つきで暗証番号を押すと、私たちは、エントランスの中へと入った。 一目見ただけで、ここの住人になるためには、それなりの金が必要だというのがわかった。 「ひと月40万ですよ。」 ホールを見上げながら、ため息を漏らしていた私に、サトシが自慢げな顔で言った。 お前の部屋じゃねえだろ・・・。 テッペイの部屋は、7階にあった。 エレベーターで向かい、ドアが開くと、目の前は玄関になっていた。 エレベーターは2基あったから、つまり、このマンションはワンフロアに2件分しかないということになる。 外から見た目は、大きなマンションだった。 テッペイは、その大きなマンションの半フロアを、自分の部屋として使っていることになる。 自分の子供に、こんな大きなマンションを与えるなど、いったいどんな親なのだと、彼の両親の顔が見たくなった。 サトシが、無造作に玄関のドアを開けた。 鍵は、掛かっていなかった。 玄関に入ると、二つの靴が乱雑に脱ぎ捨ててあった。 部屋の住人は、すでに中で待っているようだった。 サトシは、振り向きもせずに、中へと入っていった。 私も後に続いた。 油断がなかったかと言えば嘘になる。 だが、これほど早く反撃の手が向かってくるとは、予想もしていなかった。 リビングのドアを開き、サトシの後に続いて入ったところで、後頭部に、もの凄い衝撃を受けた。 身構える暇もなかった。 そのまま昏倒し、私は気を失った。 薄れゆく意識の中で、妻の悲鳴を聞いたような気がした。 どのくらい気を失っていたのか。 目覚めたときには、目の前に床が広がっていた。 頭の痛みがひどくて、自分がどこにいるかも、すぐには思い出せなかった。 うっすらと目を開けながら、ひたすら思い出した。 「ああっ!!!」 聞き覚えのある声を耳にして、ようやく我に返った。 最初に入ったリビングの中だった。 不意に後頭部を何物かに殴られて、気を失ったのだ。 体を起こそうとしたが、身動き一つできなかった。 痛みに動けなかったのではない。 手足を縛られ、床の上に転がされていたのだ。 断続的な女の悲鳴が、耳に届いていた。 かすんだ視界の先で、細くて白い足が揺れ動いていた。 「お!気がついたみたいだぞ。」 カメラを構えていた男が、私に気付いた。 男は、裸だった。 シュンだ。 シュンは、カメラを構えたまま、私に近づいてきた。 「すげえ・・・、やっぱり人間って、なかなか死なねえもんなんだな。」 カメラを構えながら、シュンは、笑っていた。 レンズは、ずっと私に向けたままだった。 「そう簡単に、くたばられてたまるかよ・・・。その野郎には、たっぷりと礼をしなけりゃならねえんだ・・・。こっちが済んだら、しこたまぶん殴ってやる。と・・・その前に、地獄見せてやんよ・・。」 声の主は、背中を向けていた。 昼間、散々聞いていた声だ。 背中を向けていた男が振り返った。 サトシだ。 サトシは、高い身長を誇示するように背中を立てていた。 両手に、細い足首を握っていた。 白い足の間に、サトシの身体が入っている。 サトシも裸だった。 男のわりには、綺麗な尻がゆっくりと動いていた。 サトシは、にやけた顔を、私に向けていた。 だが、すぐに思い直したように顔を戻した。 「おら、お前の亭主が目ぇ覚ましたぞ。死んでなくて良かったなメス豚・・・。」 サトシがメス豚と呼ぶ女は、ひとりしか知らない。 細い足首を掴んでいた手を離した。 女の髪を掴んだようだった。 そのまま、身体の向きを変えた。 目の前に、虚ろな目をした妻の顔が現れた。 やはり・・・。 驚きはしなかった。 この部屋に来る前から、こうなるような予感はあった。 だから、気を付けていたつもりだった。 反撃が、あまりにも早すぎて、対処することができなかった。 「おっさん、インポなんだってな?でも、女房がやられてんの見たら、立つんだろ?こいつが教えてくれたわ。俺が協力してやんよ。好きなだけ立たせていいぜ。俺たちの使い古しで良かったら、後で使わせてやんよ。」 「ぎゃはははは!」 サトシが声を出して笑った。 シュンも、カメラを構えながら笑っていた。 薄々は、気付いていた。 (・・・・じゃあ、帰りは遅くなるのね。夕方からだと、帰りは6時くらいになるのかしら。先にご飯食べさせちゃうわよ・・・・。) なぜ、あの時妻は、夕方、などと言ったのか? サトシが、飯をかっ込むように食っていたのを、ぼんやりと眺めながら、今夜、娘たちは何を食べるのだろうと考えていた。 その時、はっ、と気付いたのだ。 まだ、2時半になったばかりで、陽は高かった。 あのタイミングで、これから向かうことを考えれば、夕方などという言葉は出てこない。 だが、妻は、はっきりと、夕方というワードを使った。 それは、彼女がマンションに向かう時間を知っていたからだ。 サトシは、ファミレスに入ってから、一度も私の目の前から離れていなかった。 ケータイを使ったのは、シュンとテッペイに電話をしたときだけだ。 それ以外は、ケータイを開きもしなかった。 妻と連絡が取れるわけがない。 考えられるのは、妻がテッペイかシュンのどちらかに電話をしたことだ。 もしかしたら、サトシからの電話に不信を抱いた二人のどちらかが、妻に電話を掛けたのかもしれない。 どちらにせよ、そこで妻は、16時にマンションに集まるのを聞いた。 だから、夕方、などという言葉を、つい言ってしまった。 しかし、その事実を私には告げなかった。 隠したのだ。 隠す理由は一つしかない。 妻とこいつ等は繋がっている。 信じたくはなかった。 だから、マンションの駐車場で妻の軽を探した。 ないのを確かめて、ホッとした。 その油断が、わずかに警戒を解かせたのかもしれなかった。 思いのほか、早い反撃に遭い、このざまだ。 妻の身体が、小刻みに揺れていた。 あっ・・あっ・・・と、断続的に声を漏らしていた。 虚ろな瞳は焦点が合わず、口の端からは、涎まで流れ落ちていた。 陶酔の極にあるのは、間違いなかった。 胸に縄が掛けられていた。 両手も、後ろ手に縛られているようだった。 しかし、今の彼女には、私の姿は見えていない。 「どうだい?目の前で、女房がやられてんのを眺める気持ちは?早速立ってきたか?これから、もっと面白れえもん、見せてやっからな。」 サトシは、下卑た笑みを浮かべながら、腰の動きを速めていった。 「おら!気持ちいいかメス豚!亭主の前で、いつもみたいによがってみろ!その腐れマンコで、早く絞り出してみろ!」 「ああっ!気持ちいいっ!!おマンコ気持ちいいっ!!!もっと突いてっ!もっとグチャグチャにおマンコ突きまくってえっ!!!」 速く動かれて、妻は狂ったように叫びだした。 「ご主人様のチンポは、気持ちいいか!?」 「ああっ!!気持ちいいっ!!ご主人様のチンポ、気持ちいいっ!!!」 「亭主の腐れチンポと、どっちが気持ちいいっ!?」 「ああ!!こっちの方がいい!!!ご主人様のチンポの方が気持ちいいっ!!」 「ずっと欲しいか!?」 「はい!ずっと欲しいですっ!!ご主人様のチンポが、ずっと欲しいですっ!!」 「よし。じゃあ、いつものを言え!いつものようにご主人様にお願いするんだ!」 「ああっ!!はいっ!マンコの中に出してください!ご主人様の精液を、マンコの中にたっぷりと出してくださいっ!!!」 「欲しいんだなっ!!!ご主人様の精液が欲しいんだなっ!!?」 「欲しいです!!たくさん、欲しいですっ!!!」 「ようし!くれてやる!たっぷりとくれてやるからな、メス豚っ!!」 「ああっ!!ありがとうございます!!ありがとうございます!!」 「おら!逝くぞっ!!!」 「来てっ!!!たくさん来てぇっっっ!!!!」 さながら地獄絵図だった。 妻は、我を見失ったように叫びまくった。 涙さえ流しながら、懇願していた。 あごを仰け反らせ、見せつける喉元が哀れに思えた。 サトシは、歯を食いしばると、一気に深く押し込んだ。 そのまま、歯を食いしばりながら、しばらく動きがやんだ。 「ああ・・・すごい・・・たくさん、入ってる・・・。」 眠るような声だった。 妻は静かに目を閉じながら、最後の余韻を味わっていた。 なにも感じなかった。 妻の痴態を思っていた頃は、あれほど興奮したのに、それが、いざ現実のものとなると、なんの変化も起こりはしなかった。 虚しい想いだけが、胸の中を吹き抜けていった。 だが、地獄は、まだ終わらなかった。 サトシは、身体を離すと、うっとりと目を閉じているだけの妻を抱え上げた。 ひざの裏に手を入れ、子供に小便をさせるように持ち上げた。 そのまま、妻の身体を私の顔の上に持ってきた。 愛液とサトシの精液に濡れ光る妻の性器が、真上にあった。 厚ぼったく腫れた陰門の割れ目から、すぅと白いものが流れ落ちて、私の顔を濡らした。 「てめえの女房の中に入れたもんだ。てめえの女房だからな。返してやるよ。」 出せ、と冷たい声でサトシが妻に命じた。 妻は、虚ろな目で見下ろしながら、唇を噛みしめると、一気にそれを流れ出させた。 どぼどぼと、妻の性器からサトシの精液が溢れ出た。 大量の精液が、私の顔にかけられた。 妻の瞳に、精気はなかった。 正気ではないようにも、思えた。 一切、何もしゃべらない。 虚ろな瞳を向けているだけだ。 「こんなことをして、ただで済むと思っているのか?」 なんと言えばいいのだろう。 怒りはある。 だが、静かな怒りだ。 高揚も興奮もない。 しかし、確かな怒りが、沸々と胸の中に湧いていた。 お前等に、殺す勇気などあるまい。 だが、俺は違う。 俺はお前等を殺せる。 縄を解かれ、身体さえ自由になれば、こいつ等を殺す覚悟はある。 逡巡などしない。 どんなに、泣いて許しを乞うても、必ず殺す。 その自信が、不思議なほどに私を落ち着かせていた。 だから、耐えられた。 「強がってんじゃねえよ!テメエ、自分の状況がわかってんのか!?縛られたまんまで、何ができるって言うんだよ!?」 妻を無造作に転がすなり、サトシが腹に蹴りを入れてきた。 「今は・・縛られたままだが、いつまでも、こうしてるわけには行くまい・・。どうせ、解くことになるんだ・・。解放せざるを得んのさ・・・。その時、貴様らはどうする?。俺は、お前に言ったはずだ。何があっても、お前の一生を潰してやる、とな・・。それは、長い先のことじゃない。すぐ、目の前のことだ・・・。」 痛みなど感じなかった。 歯を食いしばりながら、下から睨みつけていた。 サトシの顔色が、にわかに変わったのがわかった。 そうだ。こいつ等は、覚悟を持ってやってるわけじゃない。 自分の一生と引き替えにする気など、さらさらないのだ。 子供が、ほんのちょっと質の悪い悪戯をした。 その程度にしか考えていない。 だから、相手が本気になれば、こいつ等はすぐに怯む。 「なに謳ってんだ!この野郎!!」 立て続けに、腹に蹴りを入れられた。 悶絶するほどの痛みがあった。 だが、それを顔には出さなかった。 「俺を殺すか?・・・。それ以外・・お前の生き残る道は、ないぞ・・・。俺を、生かしておけば、必ず復讐する。必ずだ・・・。」 とことん、追い詰めるつもりだった。 それが、凶と出るか吉と出るかは、わからなかった。 窮鼠猫を噛むの喩えがあるように、弱い人間でも追い込まれれば、何をしでかすかわからない。 こいつ等は、弱い人間だ。 だから、激発すれば、最悪の結末が待っていることも予測できた。 だが、そうなったら、そうなったで構わなかった。 しがみついて、無理に生きていくだけの価値がない世界だった。 妻を奪われ、あまつさえその痴態を目の前で見せつけられた。 妻は、裏切り、ひたすら快楽を求めて、私の顔さえも忘れた。 不倫相手の精液を膣の奥深くに溜め、命ぜられるままに、それを私の顔の上に落とした。 もはや、なんの未練もありはしない。 不思議と、妻を恨む気持ちにはなれなかった。 女なのだ。 どうしようもなく、ただ女なのだ・・・。 なぜか、それだけをはっきりと思った。 サトシの顔が歪んでいた。 さっきまでの、にやけた顔は消え失せていた。 「どうすんだよサトシ?このおっさん、やる気らしいぜ。俺、面倒なの嫌なんだけど。」 シュンが、他人事のように言った。 「うるせえ!テメエだって、共犯なんだぞ!こいつが訴えたりしたら、お前だって捕まるんだぞ!それでもいいのかよ!?」 「なんで?やったのは、ほとんどお前だろ?俺は、殴ってもいねえし、蹴ってもいねえよ。捕まるとしたら、お前だけじゃね?」 シュンは、どこ吹く風だ。 いいぞ。仲違いしろ。 そうすれば、俺にもチャンスがまわってくる。 内輪揉めの間に、話が妙な方に進む可能性だってある。 いきり立ってるのはサトシだけだ。 シュンに、殺意のようなものは、まったく感じられない。 「てめえ・・よくもそんなことを・・・殴ってねえって!・・・」 「い、いい加減にしてよ!サトシ!」 その時、不意にあらぬ方向から声が聞こえた。 テッペイだった。 テッペイは、どこかで様子を見守っていたようだった。 抜き差しならない状況になったと見て、慌てて出てきたらしい。 テッペイは、裸にもなっていなかった。 「なんだよテッペイ。お前まで、裏切ろうってのか?」 サトシの顔に、色はない。 青ざめていた。 「裏切るってなんだよ。最初から僕は、協力なんかしてないじゃないか!」 「協力してないだと?お前だって、こいつとやったろうが!」 サトシは、縛られたまま、虚ろな目で転がっているだけの妻を、足先で蹴った。 「お前がしていいって、言ったからだろう!?でも、こんなのやり過ぎだよ。もう、潮時だって。これ以上やったら、ほんとに警察に捕まるよ!」 もう、十分に捕まることをしてるがな・・・。 「じゃあ、どうすんだよ!?俺は、殴られたんだぞ!被害者は、俺の方だっての!」 おいおい・・どこまでガキなんだ・・・。 「お前が、殴られるようなことをしたからだろう!?とにかく、続きがしたいなら、僕の部屋から出て行ってくれ。それと、もう二度とここには来ないでくれ!」 テッペイは気色張っていた。 青ざめるサトシとは、対照的に頬を真っ赤に染めていた。 テッペイは、おもむろに私に近づくと、屈んで縄を解き始めた。 「な、なに・・してんだよ?」 「見たらわかるだろう?縄を解いてるのさ。ここで死なれたりしたら困るからね。」 「死、死なれたらって・・・そんなこと・・・。」 「じゃあ、縄を解いても構わないだろう?」 腕の縛めが弛んだ。 だが、じっと動かなかった。 テッペイは、無言のままに足の縄も解いた。 ゆっくりと、手足を動かした。 かすかな痛みはある。 しかし、大丈夫だ・・・。 縄を解き終えて、テッペイが立ち上がった。 「二度と、ここには来るな。」 冷たい声音だった。 「お、おい、シュン・・テッペイに、何とか言ってくれよ・・・。こ、こいつ、何か勘違いして・・・。お前、なんで顔を背けてんだよ・・・。俺は、お前たちが言った・・。」 「さっさと、ここから出てけ!!」 テッペイの怒声が、サトシの言葉を遮った。 仲間割れかよ・・・。 やはりテッペイは我慢していたのだ。 友達だと思っていたから、我慢していた。 しかし、サトシは甘えて調子に乗りすぎた。 いくら何でも常軌を逸している。 人妻を散々弄び、抗議に来た亭主に暴力を振るって、拉致までした。 もう、子供の遊びでは済まされない。 良識のある人間なら、当然のようにこの状況を忌避する。 当たり前のことだった。 「お、お前ら・・ふたりで俺のことを・・・。」 裏切ったと言いたいのか? だが、そうではない。 付き合いきれなくなったのだ。 当然の結末を迎えただけだ。 世の中は、お前が考えているほど甘くはない。 「ふ、ふざけるなぁっ!!!」 線が切れたように、唇を震わせながら、サトシがテッペイに襲いかかろうとした。 痛みはあったが、身体は思ったよりスムーズに動いた。 咄嗟に起き上がるなり、体当たりをかました。 サトシは、思わぬ攻撃に、もんどり打って床の上に倒れた。 リビングのテーブルには、私を脅すのに使おうと準備していたのか、刃渡りの長いナイフが置かれてあった。 すぐ横の壁には、私を殴ったであろうバットも、立て掛けられていた。 そのバットを手に取った。 サトシは、驚愕の目で私を見上げていた。 声も出せないほどに、唇を震わせ、尻をつきながら後ずさった。 それほどに、私の目からは、殺意が感じられたのかもしれなかった。 不思議なほど、心は穏やかだった。 妻を蹴ったサトシの姿が脳裏にある。 愛していた妻だった。 その妻は、汚され、弄ばれ、玩具にされて、縛られたまま床の上に転がされていた。 自分を見失うほどに、狂喜に喘いだ。 どうしても信じられない妻の姿を、まざまざと見せつけられた。 こいつさえいなかったら、妻は、まだ貞淑な人妻でいられたはずだった。 すべての元凶が、逃げ道を探して、必死に後ずさっていた。 後悔はない。 長女は、しっかりした子だ。 親なんかいなくても、きっと妹たちを立派な大人にしてくれる。 あの子なら、大丈夫だ。 こいつは、あの子たちから母親を奪った。 敵を、とってやる・・。 確固たる意志は、躊躇いを覚えない。 ゆっくりと、しかし、大きくバットを振り上げた。 グリップを握る手のひらに、かつてない力強さを覚えた。 容易いことだった。 目の前を何かが落ちていった。 振り下ろしたことにさえ、気付かなかった。 それほどに、衝撃を感じなかった。 ふっと目を向けると、サトシの頭にバットが生えていた。 見事なまでに、サトシの頭は、潰れたトマトのようにグシャグシャになっていた。
11/11/09 00:26
(GpzikV8f)
投稿者:
(無名)
なんじゃこりゃ!
11/11/09 08:33
(eNDlNtbl)
投稿者:
(無名)
待ってました!
11/11/09 12:45
(Ey6GAfx1)
投稿者:
M
待ってました。
11/11/09 14:14
(Qr3/vtv1)
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