彼の魔法の指が脚へと移り、まず深く捉えたのは「脛(スネ)の斜め上」あたりでした。
そこに指が沈み込んだ瞬間、思わず息が止まるほどの鋭い激痛が走りました。
顔をしかめて耐える私に、彼は冷徹に、けれど優しく告げます。
「ここが痛いのは、血が止まっていて脚の先まで巡っていない証拠です」と。
そして、「今、押して道を開きましたから、これで血が通いますよ。少し待っていてください」と続けました。
そう言われた直後は、自分の体感としてはまったく変化を感じませんでした。されるがままにうつ伏せで待っていると……。
「ほ〜ら、モチモチしてきた。起きて、自分で触って確かめてみてください」
彼に促されて起き上がり、自分の脚を見下ろして息を呑みました。
左右のふくらはぎの差は、一目瞭然でした。施術を施された左のふくらはぎだけが、まるで内側から命を吹き込まれたかのように、血流でふっくらと膨張していたのです。
恐る恐る自分の手で触れてみると……皮膚がしっとりと手のひらに吸い付いてきます。自分の脚とは思えない、まさに「モチモチ」という表現がぴったりな、生々しい柔らかさ。
「これが、きちんと血が通った『本当の人間の脚』なんですよ」と彼は微笑みました。
続いて、右のふくらはぎにも同じように彼の手当てが入ります。
驚くべきことに、あれほどの激痛は最初の一押しだけでした。滞っていた血が流れ出し、道が開通した後のツボは、彼がどれだけ圧を強めて深く押し込んできても、まったく痛くないのです。痛みは消え去り、ただただ深い快感と熱が全身を巡っていきました。
自分の110kgの身体が整い、指先一つで生まれ変わっていく過程を「視覚」と「触覚」で冷酷なまでに突きつけられる。
この圧倒的な事実の前では、彼が放つすべての言葉が絶対的な説得力を持ち、私の理性は彼を【盲信】するしかなくなっていくのです。
私は今、この密室で、彼が施す『手当て』という名の支配によって、細胞の隅々まで完全に満たされていました。
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