そしてある日彼女から今晩どうですか?と打診があり出かけたんだけども、一切飲まない自分に
「珍しい、飲まないの?」
『あー今日はちょっとね』
「二日酔い?」
『いや、深酒しても翌日の健康診断で肝機能は正常値の立派な肝臓持ってる(笑)』
「健康診断前日に深酒しないでしょ普通」
なんて他愛もない話をして20時前には解散、その足で自分は会社に戻り、残してきた仕事とうちの子のミスの修正なんかを始めた。
1時間半程でそれも終わり、帰ろかな?と思ってふと彼女のデスクを見ると、大したことはないけど明日期限の書類があったので、パパっと片付けて帰ろうとしたところで、彼女がパタパタと入ってきた。
「え?」
『あら』
「だから飲まなかったの?」
『あちゃーバレたか』
「かっこつけて帰ってるけど、こうしてシコシコ残業仕事してるのね」
『左様でございます、で。何で戻ってきたの?』
「浮かれてて、期限のやつ提出し忘れててたかもと思って…」
『あーあれは片付けといたよ、何に浮かれてたの?』
「ありがとう、まさかそれに気がついてて?ご飯の美味しさね」
『いや、これは本当にたまたま。今さっき気がついた(笑)』
「危ない惚れるところだった(笑)」
『なんだ惚れてくれんのか(笑)』
「奥さん居るでしょう?」
『奥さんいても惚れられるだけなら構わないっしょ(笑)』
「中学生じゃないんだから、遠くで見てればいい片思いというわけにもいかないよ」
『お。珍しく踏み込んでくるねぇ』
「まぁね。あたしだって女だってことよ」
『へぇ…処女だと言われても信じちゃいそうな実直な女子だと思ってたんだが』
「失礼な。あたしだってそれなりに経験くらいあるわよ、でも誰でもいいわけじゃないから、遊び歩いてたりはしてないよ」
『そうか…単刀直入に聞くけど、いつからだ?』
「え?」
『惚れちゃうじゃなく、惚れてるんだろ?違う?』
「え?いや…」
『話の流れからするとそうなるのだけど?』
「そうだね。ここまで来たら仕方ないか」
『で。いつから?』
「夜も食事に行くようになった頃にははっきり好きだった」
『そりゃすまんね、まるで気がつかなくて』
「隠し通さなきゃと思ってたから」
ここで彼女を抱きしめてキスをした。
ねっとりと時間をかけてのキスだったが、やはりそれほど多くの経験はないようだった。
「もう後戻りはできないよ」
『うちには嫁さんがいるから本気にはならないよ、男だから女性を抱きたい気持ちはあるし、環みたいな真面目が服を着ているような子を、めちゃくちゃにしたい欲求もある』
「久しぶりだから優しくしてほしい」
『いつぶりだ?』
「10年はしてない」
『痛くないように気をつける』
「うん」
※元投稿はこちら >>