2016/11/27 11:44:15
(/Icia2bJ)
家に上がり込んで、一緒にお茶を飲んだくらいで、僕達の仲がすぐに急接近をした訳ではありません。基本、普段は会うことのない二人です。
午後7時。会社から帰宅し、車を降りたところで声を掛けられます。『おかえり~。』、その声で川北だと分かります。
『ゆうあくんでしょ?』と辺りがもう薄暗いので、彼女は確認をするように聞き直します。『はい。ただいまぁ~。』と返事をしてあげました。
通行する車のライトに照らされ、彼女が蛍光式の服を着ていることが分かりました。
『ウォーキングですか?』と聞くと、『そうそう。もう何年も続けているの。』と言われ、彼女の健康の秘訣が分かりました。
細い身体に、とてもいいスタイル。背筋も伸びています。70歳近いとは思えません。
これはチャンスでした。普段は会うことも出来ないと思っていた川北さんが、毎日決まった時間に決まったコースを歩いているのです。
僕の中に、更に善からぬ気持ちが芽生えます。
とにかく、帰る時間をその時間に合わせました。早いと、何もないのに車の中で探し物をするフリをしたりします。
2度目、3度目と偶然を装おって会います。
そして4度目。『今日も歩き~?付き合っていい?』と声を掛けました。『私と?いいけど、そんなに歩かないよ。』と言われ、二人で歩き始めます。
近くのスーパーを回ってくる、全長2キロくらいのコースでした。優しい彼女は、危ないからと蛍光式の服を着ている自分がわざと車道側を歩いてくれます。
僕にとっては、これはデートでした。とても楽しい時間となりました。
先に僕の家の前に着きましたが、『家まで送ります。』と言って彼女の家に向かいます。すぐに川北さんの家に着いてしまいました。
『のど渇いてない?なにか飲み物出すわぁ。』と言われ、嬉しくなります。また、彼女の家に上がれるからです。
テーブルを挟んで、二人で話します。その会話の中で『よかったら、メールしませんか?』とお願いをしてみました。
『私、メールとかよくわからないのよ~。』と言われ、『アドレス教えてくれたら、出来ますよ。』と僕も必死である。
アドレスが分からない彼女。仕方ないので、携帯を借りて、プロフィールでアドレスを探してみます。メールの画面を開くと、数件メールが来ています。
彼女もちゃんと返信をしていて、『なんだぁ~、メールのやり取りは出来るんだ。』と少し安心しました。
ところが、受信箱にあるのは『榎本健吾』と言う人物からのメールだらけでした。もちろん、読まずに彼女に返します。
『登録しました。一回送りますね。』と言い、彼女の携帯が反応を示し、僕のメールを受信したことを告げます。
『来てる来てる。』と嬉しそうに喜ぶ川北さん。『ほんと?見せて~。』と言って、再び携帯を取り上げます!
素早く、謎の榎本健吾と言う人物のメールを開きました。そこで、驚愕の事実を知ることになります。
『今から行くぞ。待っとけ。』
『俺のが欲しいんと違うか?』
『お前は、俺がそんな身体にしてやったんや。』
『マンコ、可愛がってやるぞ。』
と、全てその手の内容のメールでした。
ただ、最終の日付は2年前で、それ以降はありませんでした。