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2016/11/27 07:30:43
(UI4w77un)
今、近所に住む69歳のおばさんと暮らしています。
初めて会ったのは、きっと僕が小学生の頃だろうと思います。ご近所と言っても少し離れているので、会う機会も少なく、対して親しくもない。
『あんなおばさんが住んでいるんだぁ。』と、その程度です。
去年20歳になった僕は、人数の少ない町内の青年団に入ることになります。周りは数人のオッサンばかり。そして、婦人会の方とも交流を機会が増えました。
婦人会との交流と言っても、出て来るのは代表者的な方達ばかりなので、おばさんだらけ。その副会長が、この後付き合うことになる川北さんでした。
彼女ももちろん、十分な68歳のおばさんです。しかし、他の方と比べると清楚で、どこか色気を感じます。素直に綺麗な人だと思いました。
意見交換の場で、おじさんおばさんの中、一人浮いている僕。どこか、皆さんと感覚も違い、皆さんの意見に納得も出来ない場面もありました。
そこで自分の意見を述べる訳ですが、人前では口下手の僕は、うまく伝えることが出来ません。それをフォローしてくれたのが、川北さんでした。
たどたどしい僕の話をちゃんと理解してくれて、『ゆうあさんの意見は、こうだとおっしゃってます。そうよね?』と代弁してくれます。
会合も終わり、みんなで会場の片付けをする時、初めて川北さんから声を掛けられました。
『お兄さん、しっかりしてるわねぇ。言いたいことはしっかり言いなよぉ。もう、お兄さん達の時代なんやから。』と言われました。
約15名程度の代表会。年に数回、交流を兼ねて集会場で食事をする機会があります。初参加した僕は、よく分からずに居場所がありません。
そこに救いの手を差し伸べてくれたのも、川北さんでした。『お兄さん、一緒に食べようか?』と隣の席を勧められました。
あまり話せる相手も居なくて、数少ない気をゆるせる彼女から誘われ、助かりました。『はい。』と言って隣に座ります。
とても清楚な方でした。そして、優しい。お弁当の中にあったエビの殻も、僕がよそ見をしている間に取ってくれて、なに食わぬ顔で座っています。
ほんと、才色兼備の女性です。将来、こんな女性が奥さんだったら、ほんと最高でしょうねぇ。
『あっ!いいとこにいい人が来たわぁ~!』、町内で話をしていたおばさん3人組に声を掛けられました。もちろん、掛けて来たのは川北さんです。
『お兄さん、暇?』と聞かれ、『どうしたんですか?』と輪に入ります。雑用でした。川北さんの2階の窓の外に釘を打ちたいと話をしていたみたいです。
『ああ、やりましょうか?いいですよ。』と話し、すぐに彼女の家に入ります。
小さな家ですが、とても整頓されて綺麗です。階段を上り、釘とハンマーを渡されました。『気をつけてよぉ。』と言われ、窓から身体を出します。
『おばさん、持っとくわぁ。落ちたら困るから。』と、後ろにいた彼女は、僕のベルトに手を掛けて引っ張っててくれました。
作業も終わり、キッチンに通されました。お皿に乗せられたカップにコーヒーが入れられます。『ありがとねぇ。前から何とかしたかったのよ。』と言います。
周りを見渡しながら、川北さんとお話しを始めました。お箸の数、イスの数、玄関の靴の数、どうしても腑におちません。
『川北さん、お一人ですか?』と聞いてみました。『私?うん、いま一人。』と答えられ、聞いた僕の中に変化があらわれます。