もう12年も前の話しだし、私のつたない経験談ですが聞いて下さい。
私は12年前まだ独身だったとき、関連会社の工場に二年の期間限定出向を命じられました。
社長以下27人の工場で、私は生産部門を任され、パート女性17人を仕切る役割でした。
パートさんは58才の人をリーダー格に、話しの中心、仮名で富紀子さん53才、あとは40代~30代のパートさんでした。
この富紀子さんというパートさん、とにかく自分より若いパートさんの悪口が酷く、パートさん達の関係は最悪でした。
どうにかならないものかと、私はパートリーダーさんに話しをしました。
富紀子さん、10年近く前に早々旦那さんを亡くし、一人息子さんも大学進学を期に一人暮らし、更年期、欲求不満、寂しさがあるの私は知ってるから、富紀子さんに強く言えない、と言われました。
作業効率上がらないし、なんとかしなきゃの一心で、私は腹を割って話そうと、富紀子さんを仕事終わったあとに呼び出したんです。
リーダー格さんから、私のこと富紀子さんは、相当お気に入りみたいだから、うまく話せると思うの助言もありました。
あと、私は結構ポチャデフ系好き、後に妻になる、当時遠恋してた妻もポチャでしたから、もしかしたらの期待も多少ありました。
最初はとにかく、仲間をぼろくそに言うだけだった富紀子さんでしたが、私は我慢強くそれを聞いてました。
そしていい加減、悪口いい疲れたのか、これからはちょっと態度改める主旨の話しに導けたとこで、私は富紀子さんを自宅に送りました。
良かったお茶でもしていってと言われたので、上がらせてもらいました。
亡くなった旦那さんの仏壇も拝みました。
寂しい家が丸出しといった感じで、余計な物がないんです。
この家に一人か~と思いました。
普段富紀子さんは人に弱いとこを絶対見せない人でした。
でもそのとき、私の話しに素直に寂しいと言いました。
欲求不満?みたいな質問を投げかけると、普段強気の富紀子さんは、太った身体を丸め、縮こまるみたいな格好で、耳まで真っ赤にしてました。
『う~ん、そうなのかも、かな』
歯切れが悪い富紀子さんも初めて見ました。
俺はちょっと富紀子さんに迫ってみました。
戸惑った様子を少し見せました。
でも富紀子さんは富紀子さんでした。
仏壇の扉をパタッと閉めました。
『やるんなら風呂くらい入らなきゃ失礼』
そう言われました。