(続き)
私を乗せたTさんの車は、湾岸線を海に向けて走り続け、私は引き返すきっかけを自分から作れずにいました。
ほろ酔い気分で聴く心地よい音楽に、私は心からリラックスしていました。
ドライブなんて何年振りかしら…
というか、夫の友人とふたりで夜のドライブなんかしてていいの?
そんな思いが沸きあがると、私は急にドキドキしだし、Tさんに引き返してもらう言葉を探していました。
急に無口になった私に気づいたTさんが、
『何かドキドキするね』
と言い、そう言いながら突然私の手を握ってきました。
私はその手を払い
『ダメですよ』
と言いました。
『もうそろそろ引き返しましょう』
私がそう言うとTさんは、
『もう着きます、ほら』
Tさんがそう言うと、目の前に海が見えました。
私『わぁキレイ』
ライトアップされた海岸線に思わず私はそう言い、その景色をしばらく見つめました。
Tさん『タマにはこんなドキドキも必要じゃないですか?』
海岸線に停めた車の中で、Tさんが再び私の手を握ってきました。
私『ホントにダメですよ』
Tさん『ドキドキします?』
私『そりゃしますよダメです、ここまでです』
そう言って何度も手を払おうとしますが、Tさんは離してくれません。
仕方なく諦め、Tさんに手を握らせていると、Tさんは指と指を絡めた恋人握りをし、
『やっぱりドキドキしますねぇ、でもいいじゃないですか人生で一度位こんなドキドキがあっても』
私『ドキドキさせ過ぎですよ、心臓に悪いからもうこの辺で』
私のそんな言葉を無視するかの様にTさんは私の手を引き、私の体を引き寄せました。
私『あっ、ダメですって、ホントにもう…』
Tさんは私の肩を抱き、いきなり私の唇を奪いにきました。
寸前の所で何とか身を交わした私でしたが、強く抱きしめられると、ふと気が緩み、その瞬間Tさんの唇が私の唇に重なりました。
ふと気が緩んだのは、夫から強く抱きしめられるという事がなくなり、私の中にそれを求める秘めたるものがあったからかもしれません。
Tさんは私を力一杯に抱きしめ、キスをしてきました。
最初は激しく拒んでいた私も、強く抱きしめられキスをされると一気に気が緩んで、自然にTさんのキスに応えていました。
唇を割って差し込まれたTさんの舌を受け入れ、私は激しいディープキスをTさんとしていました。
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