カラオケに行き、譲二さんの前で歌を歌うと、私の歌を聴いた譲二さんから「おかあさん、失礼ですが、おかあさんの発声は基本的に間違っていますよ。そういう発声では、絶対に高音をのびやかに力強く出すことはできません。おかあさんの発声とミーシャさんや吉田美和さんの発声は根本的に違っています。その違いが分かりますか?」と言われ、私は初めて人からそのようなことを指摘されて驚き「譲二さん、どのように違うのですか?」と聞くと「おかあさんは、歌うとき、喉頭を下に位置させようとして、のどぼとけを下に押しつけながら歌っていますね。」と言うので「ええ、だって譲二さん、私、良く聞くんですけど、歌うときは喉頭を上げてはいけないとか、のどぼとけを動かさずに下に位置させておくことが大事、とかよく聞くのですけど。」と言うと、譲二さんは「それが根本的に間違っているんです。いいですか、今から僕が歌いますから、僕の喉頭、のどぼとけがどう動くかよーく見ててください。」と言って、譲二さんはカラオケに合わせ歌い始めました。譲二さんの歌声は実に自然で力強く美しいので感心しましたが、驚いたことに、歌っている譲二さんののどぼとけを見ていると、のどぼとけが音程に応じて自由自在にぴくぴくと自然に上下に動いているのです。特に高音になると、のどぼとけがこんなに上に上がるのかと思うほど上に上がっていました。譲二さんは歌い終えると「どうでしたか、おかあさん、僕ののどぼとけは。音程に合わせて自然に上下に動いていたでしょう。喉頭を下に押し付けるような間違った力は全く加えていないのです。これがミーシャさんや吉田さんの発声なんです。ミーシャさんや吉田さんは女性ですから、のどぼとけが小さいので、分かりにくいかも知れませんが、分かりやすい例で、のどぼとけの大きい男性で言えば、細川たかしさんの発声が基本的に同じです。細川さんはよくテレビに出ていますから、今度細川さんがテレビで歌っているとき、細川さんののどぼとけの動きを注意して見てください。のどぼとけが実に自由に動いていることに気が付くはず。おかあさんのように喉頭を下に押し付けたりしていませんから、高音になると喉頭が上に上がって行きますし、歌い終えると上がっていたのどぼとけがまた下に降りるてくるのが分かります。ああやって音程に応じて自由に喉頭が動くから、あの年齢であんなにのびやかで力強い歌声が出せるんですよ。Jポップや歌謡曲の発声はこれが正しいんです。オペラの発声は別として、こういう発声法をマスターしない限り、高音をのびやかに力強く出すことはできませんよ。」と譲二さんは私にとうとうと教えてくれたのです。
私は初めてそのようなことを知り、目からうろこが落ちる思いで「譲二さん、どうしたら、そのような発声をマスターできるのですか?」と聞くと「まず、喉頭を下に押し付けるような間違った余計な力を抜くために、こうやってのどをマッサージして、のどの力を抜くことから始めるんです。」と言って譲二さんは私にまずするべきことを教えてくれました。
私は譲二さんの言う事を信じて、次ぐ日から毎晩のように譲二さんとカラオケに通い、譲二さんのレッスンを受けました。
そうしましたら、私ののどからどんどん余計な力が抜けて行き、私も譲二さんと同じように、音程に応じて喉頭が自然に自由自在に動くようになり、信じられないほど高音が楽に力強くのびやかに出るようになったのです。私は、喉頭を下に位置させようとしていた私のそれまでの不自然な発声が間違っていたことをしみじみと知り、自分の新しい自然な発声法に確かな自信が持てるようになりました。
そして〇月に開かれた某カラオケ大会の当日、主人と娘より一足先に、譲二さんが私を譲二さんの自動車に乗せてくれて大会の会場に連れて行ってくれ、控室でずっと私に付き添ってくれました。そして緊張している私に「おかあさん、自信を持ってください。あれだけ高音が力強く出せるようになったのですから、ひょっとしたら、入賞どころか、優勝も狙えるかもしれませんよ。落ち着いて緊張せずに頑張って歌ってくださいね。」と言って私を励ましてくれたのです。そのあとから、主人と娘も、主人が車で娘を乗せて会場に駆けつけてくれ、会場の席から、私を応援してくれました。
そして私が歌う番が来て、ステージに立ち、私は譲二さんが教えてくれた通り、心を込め、思い切って、力強く、私の歌を歌いました。
そして受賞者の発表があり、その結果はなんと!私は、優勝こそできませんでしたが、見事、準優勝に輝くことができたのです!
準優勝の賞状を頂き、控室に戻ると、譲二さんが待っていてくれて私に「おかあさん、おめでとう!頑張りましたね!とても上手でしたよ!」と言うので、私は嬉しくて「みんな譲二さんのおかげよ!」と言って、譲二さんに飛びついて思い切り抱きついてしまいました。しかも有頂天になった私は、はしたなくも、譲二さんの頬にお礼のキスまでしてしまったのです。その時私は胸元が開いたステージ用の少しセクシーなドレスを着ていましたので、譲二さんにしっかりと抱きつくと、私の大きな乳房が譲二さんの胸に強く接触し、譲二さんは私の乳房の柔らかい感触を感じてか、私の胸元をのぞき込み、少し興奮したような顔をしていました。
その日娘は夜に夜勤の仕事がありましたので、カラオケ大会が終わるとすぐに主人の車に乗って主人と一緒に家に帰って行きました。私は大会の打ち上げがありましたので会場に残り、譲二さんも付き添って一緒に残ってくれました。
そして、打ち上げが終わり、譲二さんが私を譲二さんの車の助手席に乗せてくれ、二人で車で家に帰る道すがらのことでした。
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