2023/09/21 13:07:30
(5U75P862)
慌ただしかったのもやっと落ち着き、私達の心にも少しは余裕が出てきた。
私は休学しているので特に大学へ行く必要も無く、家でゴロゴロするか早苗三の洗濯や掃除を手伝う位しかやる事が無い。
祖父と祖母は畑へ行ったり、近所の隠居している人達と寄り合いと称して喫茶店に出入りしたりで、昼間に家に居るのは
早苗さんと二人きりになる事が多かったのです。
傷心の早苗さんを見ていると、自分の実父が無くなった事のショックよりも早苗さんを元気付けたい!と言う気持ちの方が強くなり
早苗さんの前ではわざと明るく振る舞ったりくだらない冗談を言ったりして、何とか励まそうとしていた。
そんなある日、早苗さんが実家に用事があるのでクルマで行くけど一緒に行って欲しいと言われた。
私なんかが一緒に行って良いものかと思ったが、時期が時期だけに心配もあったので一緒に行く事にした。
早苗さんの実家は結構遠方なので、途中の温泉宿かどこかで一泊して翌日に早苗さんの実家と言うプランで行く事になり
2人で車に乗り込み、初めは私が運転した。
そう言えば、近所の買い物以外で早苗さんと2人きりで車に乗るのは初めてだな~なんて思いながら不謹慎だけど少しウキウキした気分で運転した。
車の中では何だかんだと結局親父の話題になり、知り合ったきっかけや結婚するまでの経緯なんてを聞いたりして時間が過ぎていった。
親父と早苗さんは仕事の関係で知り合い(同じ会社では無い)早苗さんから親父にアタックしたらしい。
まぁ確かに親父は結構イケメンだし、身長もそこそこ高く「イケてる中年」だったのは私にも分る。
最初は結婚しているからと思ったけど、後に独身・子持ち(私の事)と知ってから猛アタックしたのだそう。
親父は自分から行くタイプでは無いから、その話に妙に納得したのでした。
早苗さんは「私が結婚して!!って逆プロポーズしたのよ」と言っていて、それには驚きでしたが
そんなに好きだった親父が亡くなったのなら、さぞやショックなんだろうな、私が何とかしなきゃと思ったのでした。
幸いにも?親父と私はかなり似ているんです。身長もそこそこ高く、顔は親父の方がイケてると思うけど、ラグビーで鍛えたこの身体!w
早苗さんはそんな私と親父を少し重ねているんだとも言っていました。
富貴君を見ていると、あの人を思い出しちゃう、と。
それを聞いた私はとても複雑な気持ちでしたが、親父が居なくなってまだそんなに時間が経っていないので、今は仕方ないかと
諦め半分の気持ちでした。