2008/10/08 17:56:59
(BwjqSi1i)
よき隣人 ジェニー6969
いつも通り遅い目の走行となっていた。毎日40マイルを通勤し、週6日間
レンガを積むって仕事は、やはり多少とも疲れがたまる。前の金曜、それを
夜にでも取り返したい気分だった。食べ物は持ち帰りを買ってまにあわせ、
テレビで球技を見ながら冷たいヤツでも飲って、ゆっくりしようかなという
腹づもりになっていた。ちょうど春の嵐が近づいてきそうな気配もあって、
私は急いで帰ろうとしていた。
離婚して家を維持するので財政がきつくなっていた。だからどんな仕事も
請けるしかない。次の年に娘を大学に行かせるゆとりをどうやって作るか、
が目下の懸案だった。只今はまだ私と暮しているが、娘の目標は州立大学に
通うことだ。そのためには銀行から上乗せして借りるしかなく、もう一年、
古トラックに走ってもらうとするか、と私は目論んでいた。
冷えたビールと軽食とを求めて、地元の食料雑貨店に立寄った。駐車場に
停め、カートを引寄せ、店内に入っていった。ちょうどその時、滝のような
雨が降りだした。お目当てに夢中で気もせいていて、通路の端を回った時、
もう一人の買い物客がいるのに私は気づかなかった。ぱっと目に入ったのは
ふくよかな美しい尻だった。ちょうど彼女は、自分の落とした缶を拾おうと
身をかがめていた。止めきれず、その尻にカートをぶつけてしまったのだ。
「わわっ、申し訳ありません」と後ずさりしながら、私は叫び声をあげた。
「何ともドジなことで。どうぞ、ごかんべん、」そう言いかけた時、彼女の
方も身体を真直ぐに起こしたので、ヘレンと分った。公有地の真向かいで、
うちの隣りだ。「やあ、ヘレンじゃないですか!」
「あ、ロンね。いいのよ別に。ぶきっちょだわ、私って。今日は何やっても
注意力が今一つみたい」彼女が向き直って、顔を合わせると浮かんでくる。
上品な美しさのきらめき出るこの女性に、いつの日も私は強烈にそそられる
思いを禁じえなかった。この日は、その北欧的な顔が長い黒髪と似合って、
カーキ色のカジュアルな服装にサンダル履きの格好だった。
※まず、ここまでにしてみます。日本語も男っぽくしましたが、おそらくは
原文を向こうの人が読んでみて持つ印象もこんなふうにオトコっぽくなって
いるのだろうと思います。ボク自身、翻訳し始めた当初は、そんな理解など
思いもつかず、もっとずーっと大人しく訳してみたのですが、あとあとまで
進めてみると、著者の意図はもっとずっと抉るような立ち入り方をしてる、
あるいは心の中に土足で踏み込んでいる、とでも言っていいかと思います。
当初は著者を「なかなかワルだな」と思ったのですが、次第に「人の奥に
ひそむ性の魔性のなせるワザでないか」と気付きまして、さらにのめり込む
ようになりました。