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2010/10/31 22:24:40 (WZkdkRDM)
「お兄ちゃん今日帰ってこれる?お母さんがね・・・」
妹の声が電話でせつなくつぶやく
「分かった直ぐに帰るから」そう言うと電話を切り荷物をまとめた

俺と母とは血の繋がりは殆どなく、勿論妹とも無い
俺の本当の両親は俺が小学1年の夏に交通事故でこの世去った。
俺は、遠い親戚に引き取られたが、養子ではなく居候のような形で育てられ
た。将来養子である事で俺が束縛されないように配慮してくての事だった。

荷物をまとめて、車に押し込み出発する。
「母さん・・・」心の中でつぶやいだ。

交通事故で亡くなった本当の親と引き取ってくれた育ての親は、遠い親戚で
家計図で言えば、殆ど他人になるんだろう・・・
でも両親とも仲が良く、行き来をしていた。
だから、俺の本当の両親が死んだ後も、俺の面倒を進んで見てくれていた。

そんな育ての父は、俺が小学5年の時に心臓発作で倒れ帰らぬ人となっ
た・・・
育ての母はそれは、凄い悲しみでありながらも、俺と実の娘である真理を
必死に育ててくれた。
女手一つでボロボロになっても、愚痴も溢さずいつも笑顔で接してくれた。

病院に到着し病室に向かうと廊下に妹がいた。
「お兄ちゃんお帰り間に合ってよかった」
「ああ・・今はどんな状況?」
「今はね看護の人がお母さんの世話をしてるから、終われば直ぐにあえるよ」
5分位して入室でき恐る恐る母の顔を見た。
意識はあるようだが、顔にマスクをされている姿が痛々しい

「お母さん、俺だよただいま、わかるかな?」
静かにうなずく母の目に薄っすらと涙が浮かぶのが分かる。
俺は母の手をそっと握るとあの頃を思い出した。

中学3年の進路相談で俺は進学よりも就職を選んだ。
理由は母に金銭的に苦労を掛けたくなかったからだ。
あの頃はお母さんとは呼ばず、おばさんと呼んでいた・・・

母は3社面談で初めて俺が就職希望をしてると知り、激怒した
あんなに怒った母を見た事が無かった。
「あなたは、まだ子供なんだから、甘えていいの!」
大粒の涙が母の目から溢れていた。
「血の繋がりがなくてもあなたは、子供なのよ、何で甘えてくれないの・・」
俺の将来を心配する母の気持ちが本当に伝わってきた。
「ありがとうおばさんでも、俺おばさんにこれ以上は甘えられないよ」
俺も涙声だった
すると母は初めて俺の顔を叩いた
パシ!と大きな音が響くほど、後で顔少し腫れるほどの強さだった。
「馬鹿!なんで分かってくれないの?」
俺は無言になるしかなかった。
母は言う
「将、あんたはいつも遠慮ばかりして、子供でいいのよ、もっと我侭を言いな
さいそして甘えなさい」
俺は母のその言葉以上に母の思いやりを感じた。そして重い口を開いた

「ありがとう、おばさん本当は高校に行きたかったんだ」
やっとの思いで言うと母は、涙ながらにうなずいた。
俺は勇気を出して
「もう一つ我侭を言っていい?」
「いいよ・・・何でも言って、あまり高いのは駄目よ」
と赤い目をしながらも笑顔で言ってくれた
「・・・・いい?」
「ん?聞こえない」
もう少し大きな声で言ってみる
「・・・・と呼んでいい?」「これからおばさんではなく、母さんと呼んでい
い?」照れくさく勇気のいる質問だった。

母は俺を無言で抱き寄せそして、「いいのよ・・・ありがとうね母さんと呼ん
でね」と母の温もりが気持ちよかった。なんて安心出来るんだろう
この温もりを守る事ができるなら俺は何だって出来ると思った。
この日を境に本当の親子になれたような気がした。

妹を見ると少し疲れているようだった。
「真理、家に帰って少し寝ておいで、俺がいるから」
軽くうなずく妹
「うん、でも月に一度だけしか親子3人揃わないからもう少しこのまま」
俺もそれ以上は言わなかった。
「お兄ちゃん覚えてるかな?」
「何を?」
懐かしそうに少し笑みを浮かべ
「私の誕生日にお兄ちゃんが自転車買ってくれた事」
忘れるはずも無い思い出の一つだ。
「折角お兄ちゃんが自転車買ってくれたのに、私が色が嫌だって我侭言った
の・・・」
無言でうなずく
「私ね後でお父さんとお母さんに散々怒られたんだよ」
「何で?」
「お兄ちゃん、お小遣いもお年玉も、全部使わないで、私にプレゼントする為
に貯めてたって・・・」
窓から見える景色を少し見て、
「その話を聞いて悪い事したなって思ったけど素直になれなくて・・・」
「そうだったな、結局、自転車を交換して貰いに行って、多少足りない
お金は母さんとお父さんが出してくれたな」
懐かしい話だ。

「お兄ちゃんの事ねお母さんはいつもほめてた、羨ましかったな・・・」
真理はそういうとそっと母を見た。
母の表情も笑顔に見えた。

2年前だった。
母が体調が少し悪いと病院に行き、付き添いで俺と真理が付いていった。
検査の結果は直ぐに分かったガンとの宣告に泣き出す真理
もう少し詳しい結果は一週間後との事。

一週間が過ぎ、詳しい事を聞かされる。
ガンは一箇所だけではなく、細かく全身に転移しており・・・
もうその辺の事はどうでも良かった
「治るんですか?」
抗がん剤で延命するしかないです・・・
治療法等を相談しながら色々と・・・

俺の周りではなんで大切な人が次々と死んでいくんだ?
全てが自分のせいのように感じてしまう。

「お兄ちゃん、お母さんがガンになってから、毎月温泉とか、美味しいもの食
べにつれて行って、お母さん凄く喜んでたんだよ」
「でもそれ位しか出来なかったよ」
「ううん、お兄ちゃんは頑張ったよ」

夜が明ける前に母の容態が悪くなり、そのまま息を引き取った
安からかな寝顔にはまだ精気があり、とても死んだとは思えなかった。
そのせいだろうか不思議と悲しみは感じない
ただ、時間が止まってしまった空間の中で天井だけがゆっくりと回っている感
じだった。
真理がつぶやく、「お母さんゆっくり休んで」
その言葉が止まった時間を動かし、俺に母の死を認めさせた。
あふれ出す悲しみが全てを洗い流す。

葬儀が終わりあっという間に一週間が過ぎた。
妹が俺にお母さんから預かったという手紙を渡す。

〔将へ、
あなたが、私達夫婦の家に来た時は、ちゃんと育てられるか心配でした
でもあなたは、私達に負担を掛けまいと自分の事は自分でして、勉強もちゃん
として育ってくれた。
お父さんがいなくなって、あなたは、真理の面倒も見て、家事の事を殆どやっ
てくれて、母さんは大変に助かりました。
あなたが、就職して毎月給料の半分以上じゃないかと思えるほどのお金を送っ
てくれたけど、本当にうれしかったけどあのお金は使っていません。
真理の大学費用にちょっと使わせてもらったけど、全部あなた名義の通帳に入
っています。

私が死の宣告を受け、あなたは今まで以上に親孝行をしてくれて本当に感謝し
ています。
でも一番の親孝行は、私をお母さんと呼んでくれた事。
これが何よりも最高のプレゼントで、一番幸せな時でした。

今までありがとう、真理を宜しくね。
母より」

あれから数年が経ち俺と真理は結婚した。
子供もでき、墓前に報告する事もできた。
近親相姦ではないが、見方をかえれば一つの近親相姦なのか・・・
でも、愛し合い可愛い愛娘、そして二人目が真理のお腹にいる。
悲しい出来事もあったが、それを乗り越えて幸せになる。

感謝を込めてこう言いたい

「お母さん有難う」





byゴリ(本物)
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12
投稿者:ルシファ-
2010/11/01 12:35:22    (mS0l/d1e)
良い話しやの~~~。
13
投稿者:p-girl
2010/11/01 16:22:51    (.hzEIRnW)
この欄を読み始めて初めて涙がでた。
こんないい話がたまにはあるんですネ@
お笑いネタではありませんよ。

14
投稿者:(無名)
2010/11/01 21:00:21    (n9D2jBYJ)
( ; _ ; )/~~~
15
投稿者:**** 2010/11/01 23:55:50(****)
投稿削除済み
16
投稿者:舌の魔術師
2010/11/02 07:25:17    (.Z.FSLHI)
なんでか、わからんけど、字が、霞んで鼻水まで、出てくるし、(:_;)
17
投稿者:奈舞陀佐須
2010/11/03 09:22:12    (t63dDlvO)
涙が出てきた。レスを書いてる人たちも適当にスケベで人情味があって、ど
こかで会って話をしたいと思ってしまった。
18
投稿者:(無名)
2010/11/03 10:11:52    (j48FI0vx)
場違いだけど、たまにこんなのがあるから、このサイト楽しいんだよね!
19
投稿者:無名
2010/11/03 16:27:44    (z/H/CZjT)
なんか非常に違和感あり。
投稿者の趣味が「近親相姦」に憧れてここに中身を別にしても投稿したかった
んだろ。
俺は読んだけど感動も勃起もしねー内容。
20
投稿者:**** 2010/11/03 19:24:50(****)
投稿削除済み
21
投稿者:**** 2010/11/04 02:23:10(****)
投稿削除済み
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