2020/10/06 19:39:44
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母は赤裸々に自分の過去を話しはじめたがどれも意外なものだった。
まず最初に父との結婚が破綻したのは、母が45歳の時、出会い系サイトで知り合った20代の男によるものだった。
当時の父は新聞社で働く一方で労働組合の幹部も務めていたこともあり連日帰りが遅く、職場に泊まることもしばしばだった。
一方で家事全般、僕、そして僕の兄の進路についてはほぼ母に丸投げだった。母は誰かに話を聞いてもらいたい一心で出会い系サイトという場所に心の拠り所を求めてしまったんだろう。
でも、相手は出会いを求めてるわけで、それだけでは終わらなかった。
20代の男は比較的近所だったこともあり、執拗な誘いに母はとうとう一度きりという条件で会ったらしい。
母は話を少しするだけで会いに行ったらしいが、もちろん相手にはそんなつもりはなく、母のカラダが目当てだったのは高校生の僕でもわかった。
案の定、母は若い男とカフェで話しをしたあと、ホテルに連れ込まれカラダを許してしまった…
その後も母は若い男との密会を重ね、数ヶ月が経ったとき、凍るような出来事が母を襲った。
いつになっても生理が来ないのを疑問に思った母は妊娠検査薬を使い、自分の身体で何が起こっているのかを知った。
知ったと同時に罪悪感が押し寄せ、とんでも無いことをしてしまったと身体を震わせた。
母は若い男に連絡をとり、その旨を伝えた。
するとそれまで優しかった男が一変、母を罵り自分の子供という証拠はどこにも無いと告げた。
母は一人で悩み、確かにその頃の母は、無口で元気がなく、僕と妹で心配してた記憶がある。
しかしそれだけでは終わらなかった。
母の様子に気づいていたのは僕たちだけでは無かった。
父も気づいていた一人だった。
父は寝室に盗聴器をしかけ、母のハンドバッグの底にはGPSを忍ばせていた。
母と若い男とのその後のやり取りは全て父に筒抜けになっていた。
父はその証拠らを母に突きつけて問いただした。
母は逃げ場を失い、追い込まれ、全てを地に話した。
父は怒りで身体を震わせ、母に言い放った。
「よくも、よくも俺を裏切ってくれたな!」
「お前たちのことは絶対に追い詰めてやる!」
父はそれから家を出ていき、後日、母と若い男のところには家庭裁判所から告訴状が届いた。
慌てて母は若い男に連絡すると、すでに携帯電話は解約され、話すことはできなかった。
結局、その若い男は身を隠したまま、判決は下され母と男は200万円ずつの慰謝料を命じた。
母は、父との離婚で得る予定だった財産分与からその分を引かれ、男の方は実家の両親が支払ったらしい。
母はあえて遠くの婦人科へ行き、堕胎するために若い妊婦達が待つ婦人科の待合室で自分の順番を待った。
この時の母の心境を考えると痛ましくて仕方なかった。