うちは小さな日本家屋の家で、私の部屋は洋間でしたが、
両親が寝ているのは、紙のふすまで仕切られた和室でした。
あれは私が高校生の頃、夜中に目を覚めたのでトイレに行くため、
両親の部屋のとなりの居間に入りますと、
ふすまの向こうで母親の「ああん、あん、あはーん…。」
という声がします。
いつもの声の感じと全く違うので、思わず足が止まりました。
するとその気配に気づいたのか、
母の声が止んで、代わりに「〇〇ちゃん、いるの?」と声を掛けてきました。
私は何だか悪い時に来ちゃったことを恥ずかしく思い、
黙ってトイレに行って用を足し、慌てて自分の部屋に戻りました。
あれは両親がセックスをしていたに違いありません。
プライバシーがほとんど守られなかった時代の家での話です。