「ピッ・ピッ」と電子音が鳴り両親の寝室に常夜灯が
点いたのが襖と天井の間の隙間から見える。
家族が就寝を見届け、尚且つ用心の為か20~30分。
沈黙していた両親が動き出す気配を、襖一枚隣の部屋で
感じる。週に一度の夫婦の営みが始まる。
固唾を飲んで息を潜める。
聞き逃してしまいそうな溜息、吐息に聞き耳を立てる。
何時もながら実に静かな営み。
ビリっと袋が破られる音がする。少し間をおいて
「ウッ。」と一声、母が呻く。
「ハァ~、ハァ~」と母の息遣いが聞こえる。
母の息遣いのペースが徐々に激しく、大きくなって
いく。
「ウッ」と一声唸ると、一瞬の沈黙。
「ハッ、ハッ、ハッ、ハッ・・・」と今までに無く
激しい息遣いに混じりながら
「エ、エエワ、エエワ、エエワ」と苦しそうに
母が喘ぐ。
「あかん、あかん、あかん」
「エエ、気持ちエエ。エエよ、お父さん」
「あかん、イク、いきそう。いってもエエ?
いってもエエ?」
「お父さんは?出る?出そう?」
「お、お母さん出すで。ええな、いけよ。いけよ。」
「うん、エエ、エエよ。あかん。」
「イク。イク。イク。いっくう」
そして、暫く母の激しい息遣い。
ティッシュを引き出す音。