父が亡くなって何年になるのだろう。あの日以来、母は祖父に呼ばれ何度祖
父の部屋に行っただろう。呼ばれたら最後、母は朝まで祖父の部屋から出ら
れず、僕は泣きながら一人で寝ていた。
「おじいちゃん、もうお母さんを許してあげて。お母さんが、おじいちゃん
の部屋でお腹に何か入れられているのを僕は知っているんだ。お母さんのお
腹が少しづつ大きくなり、去年、妹の裕子が生まれた。
そして今もお母さんのお腹は大きくなっている。おじいちゃん、お母さんを
許してやって。お母さんもいけないんだ。この間の夜中、僕がオシッコに行
きたくておじいちゃんの部屋の前を通ったら、お母さんがもっと奥まで入れ
て。いいわ、いいわと言っていた。だからおじいちゃんもお母さんのおおき
なお腹にもっと何かを入れるんだ。