私が大学一年の時に新宿三丁目の輸入雑貨店でアルバイトを始めた。店は輸入のアクセサリーや女性の下着などがメインで、男の私は店に立つ事は少なく、もっぱらバックヤードと事務の手伝いが主な仕事だった。店員は若いアルバイトの女性3人と40代の女性で11時~23時の間を交代で務め、忙しい時には社長(35歳×イチ)も店に出る事もあった。社長は大学を卒業とともにお金持ちの人と結婚して悠々自適の生活をしていたようだが、旦那さんの浮気癖に愛想をつかし、この店といま住んでいるマンションを手切れ金がわりに貰って、結婚生活10年で別れたと聞いている。
決算の棚卸の作業があり、いつもなら夕方にアルバイトが終わるのであるが、その日は20時過ぎまで裏の倉庫で棚卸を行っていた。終わって事務所に顔を出すと社長と40代の女性社員が帳簿の整理を行っていた。
「お疲れさまです、棚卸は終わりました」
と言うと
「こちらももうすぐ終わるから、一緒に食事でもしましょう」
と社長が誘ってくれた。
「ありがとうございます・・・御馳走になります」
と言って待つことにした。社長と女性社員は遠い親戚にあたるらしく、事あるごとに社長が相談をしていて信頼している人だった。30分くらい待っていると
「あーっ、やっと終わった」
と言って二人が後片付けを始めた。
「じゃあ、行きましょう」
と社長に促されるように歌舞伎町方面に向かう。
「私は家の事もありますから失礼します」
と途中で女性社員の人は西武新宿の方に別れていった。社長と二人で歩いていると
「焼肉とステーキのどっちが良い?」
と聞いてきたので
「ステーキが良いです」
と答えると「車屋」という店に連れて行ってくれた。
店に入ると
「若いんだからいっぱい食べてね」
と分厚いステーキとワインを注文してくれた。ワインが運ばれてきて、グラスに注ぎ軽く乾杯をして飲むと気持ち良くすっと喉を通っていった。すぐにステーキが運ばれてきた。ワインと肉が美味しくてガツガツと食べていると
「もっとゆっくり私のペースに合わせて」
と社長が笑いながら言った。
「ワインもステークも美味しくてついつい行ってしまいました」ちょっと照れて言い訳した。食べながらアルコールの勢いも手伝って何となく美人の社長が気になり、いろいろと聞いた。社長は知的でスタイルも良く美人でお店にも社長目当てと思われる男性が来たり、社長へお誘いの電話が時々掛かってきたりしていた。
「再婚はなされないんですか?いろいろお誘いが多いようですし、こんな綺麗な女性は周りが放って置かないでしょう」
「しばらくしたら考えるかも知れないけれど、今はそんな気がしないわ・・・お店も楽しいし」
そこまで言うと、ワインを一口グッと飲んで
「私が旦那と別れた理由も知っているでしょう?」
私が小さく頷くと
「男の浮気はしょうがないとは思っているけれど、彼の場合はちょっと度が過ぎていたの・・・私もけっこう我慢していたけれど、ある日ついに堪忍袋も緒が切れてね・・・だから当分、男はこりごりよ」笑って言った。
私を見ながら
「彼女はいるの?」
「いいえ、彼女と言えるような人はまだ」
「彼女じゃあないと言うとガールフレンド?」
「うーん、女友達というところかな」
「じゃあセックスはどうしてるの?」
社長もワインで大胆になってきわどい質問をしてきた。
「一応男ですから溜まりますので、出したいときは自分何とかしてます」
と少し恥ずかしそうに言うと、顔を近づけてきて
「それって、オナニーしてるってこと?」
「うん、しょうがないですから」
「まだ童貞?」
次々ときわどい質問を浴びせられた。
「はい・・・まだ」
と言うとクスクスと笑った。いつの間にかワインが一本空いて、食後のデザート・コーヒーに移っていた。そして
「もう一軒いいところがあるから席を変えよう」
と立ち上がった。歌舞伎町内をなれた感じで社長が先導し、とある一軒のオシャレなバーに入った。社長は常連さんのようで奥の席に座るとボーイがバランタインとグラスと氷とおつまみを何も言わずに持ってきた。社長が自分で二個のグラスに氷を入れ、バランタインを半分くらい注ぎこんで
「このウィスキーは香が良いから好きなの」
と私にグラスを渡してくれた。
グラスにそっと口をつけるとスーッと軽く喉に入った。
「ふーん・・・時々オナニーで満たしているんだ・・・若いから大変ね」
と飲みながら、ちょっとからかうように言った。
「社長は女性だからそんな気になりませんか」
と聞くと
「女だって性欲はあるからしたいときはあるわよ」
「でもお相手がいっぱいいそうだから大丈夫ですよね」
「変な男はこりごりとさっき言ったはずよ・・・だから私も時々はオナニーして満足しているわよ」
こんな綺麗な女性でもオナニーするんだと、その答えにちょっとビックリした。