30過ぎても童貞、女性からもてない俺は正直、結婚どころか女性との付き合いも諦めていました。
結婚して家を離れていた姉家族が、実家に住むと決まり、半ば追い出されるように俺は部屋を借りて一人暮らしに、でもそれが俺の人生を変えました。
借りた部屋の階下、弓子という女性が住んでました。
俺同様太ってて根暗な感じでした。
行き会っても挨拶も交わさない最初でした。
半年くらいそうでした。
ある日、仕事から帰ってくると、ドアノブにスーパーの袋がかけられていて、中にはみかんがいくつか入っていました。
お袋か姉が持ってきたのかと思いきや、中にメモが入っていて、階下の弓子からだとわかりました。
もらいっぱなしは失礼だよなと考えましたが、お返しする物がありません。
とりあえずお礼くらい言わないと、下の弓子の部屋に行きお礼。
実家から箱で送られてきたからおすそ分けとのことでした。
会話らしい会話を始めて交わしました。
俺は後日、洋菓子屋さんのクッキーを買い、みかんのお礼と弓子に渡しました。
弓子はその店のクッキーが大好きだったようで、物凄く喜んでくれました。
俺はそれまで女性に喜ばれた経験などなく、それが凄く嬉しかったのです。
それがきっかけで俺と弓子の仲が、急速に縮まりました。
同時俺33才、弓子は9才下24才でした。
行き会えば挨拶会話を交わし、時々物のやりとりをしたりするようになり、そして俺は弓子に興味を持つようになりました。
デートに誘ってみたい、でも俺なんか絶対無理だろう、その葛藤との戦いでした。
一人暮らし開始一年になろうとしていたバレンタイン、弓子はあの洋菓子屋さんのチョコレートを俺にくれました。
義理チョコですら何年ももらってない俺は舞い上がりました。
洋菓子屋さんのチョコレートですから、スーパーの安物とはわけが違う、俺は決断しました。
ホワイトデーを口実に、俺は弓子を誘いました。
喜んでくれなかったらそこでお終い、それならそれでいいと、腹を決めてました。
弓子は誘いを断りました。
終わったな、そう思いました。
やっぱり俺なんかじゃダメなんだ、今まで何回も経験してきたから、意外とあっさり現実を受け止めました。
ホワイトデーまであと数日って時でした。
郵便受けにメモが入っていました。
(ホワイトデー、仕事の都合つけれたので大丈夫です)
断りの理由に仕事を出した弓子、それは口実だと思ってたら、本当だったのだと知りました。