「けしからぬ事ハ養母が孫を産み」
孫とは、子の子のことである。今、私の養母は、私の子供を宿して9ヶ月になる。
嘘みたいな話だが、事実だ。しかしこの事は、私と義母だけの秘密の事である。
私は、昨年請われて養子縁組をして此の家のあとを継ぐことになった。
どちらかと言えば、仕事熱心なしかし少し体の弱い養父は、これも祖父に見込まれ
て此の家に入った人で、相変わらず仕事に熱中している。
38歳になる養母は、2代続いた養子娘と言うことで、なかなかの我が儘なひと
だ。
どこで見込まれたのか判らないが、少し早いが跡を継いで欲しい私は此の家の人に
なった。最初は、養母に連れられて親戚やら、取引先の挨拶から始まった。
一月ほどたったある日の事、お昼前で仕事は終わりゆっくりと昼食をして帰ろう
と、或るホテルで昼食をとった。夜までに帰れば良いと少しビールを飲み、長い間
これからのことを話し合った。養母は、「疲れた。少し休む」と云って部屋をとっ
た。私も、仕方なく従った。その部屋はダブルの部屋だった。
養母は、シャワーを浴びてベッドに潜り込んだ。「あんたも、シャワーを浴びて」
シャワーを浴び手来るといきなり義母にベッドに引きずり込まれた。
「結婚しても、時々相手をするのよ」私は、一年ほどあとに養母の身内の娘と結婚
することになっていました。
成るように成れ。養母の云うままにその日はお相手しました。養母は、満足したよ
うでした。
その後、時々養母の云うままに相手をしてきました。
お正月過ぎ、二月の初めですか。「どうも、妊娠したらしい。貴方の子よ。だけど
黙って居て。貴方の弟か、妹として産みたいの。お父さんの子として」
「矢っ張り跡取りを貰うと出来るもんだ」別居しておる祖父母も何か養母の妊娠を
慶んだようです。養父も、始めての子と養母の妊娠を慶んでいました。
養父母も、祖父母も養母の産む子は、喩え男の子でも私にあとはついで貰う。
産まれてくる子は、男でも次男として扱う。そんなことを私の顔を見る度に云いま
す。私はどうでもいい。
養母は、矢っ張り跡継ぎを貰ったから、出来たのよ。
こんなことを言いながら、町の婦人会やら、ボランテアの役員会に大きな腹を抱え
て出かけ行きます。
あと半月くらいで、産まれるそうです。