来月からは、妻の美智子の勤務は日勤だけになるという。5ヶ月を過ぎて目立つよ
うになり、それでも元気に勤めに行く彼女を見ていると本当に女房乍ら健気で可愛
くなる。
昨夜の事だ、義母の米子が、いつものようにやってきた。美智子に自慢の服をみせ
にきたのだ。8ヶ月目に入り美智子に比べて格段と大きな腹を、アパッパの厚地の
木綿の服で隠しているのだが、少し洋裁の知識のある米子が、自分でデザインした
ものだという。
昨日、今日はほんの少し楽だが今年の暑さは異常で、米子はパートの仕事は、もう
半月も前から休んで居る。
美智子も言うのだが、少しは動いた方が、体のために良いと言うのだが、朝から晩
まで転がって居るだけだ。それが、今日は此の服を着て町に買い物に行って来た。
見て見て。という。
丁度昔テレビで見た南の国の酋長が来ていたようなダブダブのワンピースの様なも
のだ。しかも米子は、その下に腹巻きすらつけていない。
腹の大きいのを別にすれば産まれたままの格好だ。
さすがに美智子も、声も出なかった。
実は、先日来美智子と話し合って義父とも内々に承諾を得て居るのだが、
俺たち夫婦は、来月くらいに隣町に引っ越しすることにした。
ということは、米子は、美智子の勤めて居る病院で出産することにしており、今も
診察を受けて居るのだが、此処数年来の最高齢の出産であり、一番我が儘な妊婦さ
んだと云われておるそうで、いくら自分の母親でも米子の世話は、お断り。とい
う。
そうだろうと思う。自分もすぐあとに産月を控え母親の出産の手伝いをするなん
て。
私も、確かに米子とは、美智子と結婚する前からの付き合いであり結婚してから
も、関係もし、しかも彼女の現在の状態も私の責任と言えば、私との関係が原因か
も知れないが、二人の合意のうえの結果であり・・・・。
夫婦の間で、秘密をなんて言われているが、この事だけは美智子に内緒で、しまい
たいし、美智子の希望を聞いて、一日も早く転居したい。
もう米子との子とは、義母というだけにしたい。
転居をすれば、米子は・・・。想像も出来るが是が、米子夫婦と私たち夫婦の幸せ
の原点では無かろうか。