話は5年前まで、逆上ります。
私の勤務先(幼稚園)に電話がありました。
それは、義父(母の再婚相手)が転倒し、病院に搬送されたというものでした。
幸いにも、左腕の骨折だけで済み、命に別条はありませんでした。
しかし義父は母をなくした直後であり、骨折しての不自由な生活という事で、数年ぶりに、長女を連れて実家に戻りました。
実を言うと、その当時、すでに私と夫は完全に冷め切っており、酒に溺れては手を上げる夫から逃げる様に出て来たのです。
当初、義父はかたくなに「お前の助けなどいらん。」と頑固に言い張っていましたが、やはり不自由な事に直面し、私が手を差し出す事にも文句を言わなくなる様になっていました。
数ヶ月後、怪我も完治。
それでも私は、ずっと実家に残りました。
毎朝、父に温めれば済む昼食を作り、勤務を終えて長女と義父待つじに、帰り夕食を作る生活。
何でもない、そんな平凡な毎日を穏やかに過ごせる事に、ささやかな幸せを感じていたのです。
昔ながらの男くささを感じさせる義父と平和に暮らせる事に、感謝の気持ちで一杯でした。