新潟の妻実家は豪雪地帯ではないが、それなりの降雪が
あるため除雪は日課のようなものだ。
義父が存命中は、正月にお邪魔したときに手伝うぐらい
だった。
義父が他界してからは会社に事情を話し休暇をもらい
除雪作業をするようになったのは3年前からだった。
暮れに実家へ行き私、妻、義母の三人で除雪をして
新年を迎える。
一足先に妻と義母は作業から上がり、入浴を済ませ
夕飯の支度に取りかかる。そのころ私が作業を終わらせ
除雪作業で湯気があがるカラダを湯船で癒やす。
風呂からあがると、待ってました!とばかりに妻から
マッサージの声がかかる。
ジャージ姿でリビングに横になった妻のカラダを肩から
順に背中、腰と揉みほぐし臀部を円を画くように揉み
最後は尻たぶの下から、つまり尾てい骨の下あたりから
上に持ち上げるように強めの指圧をして終わる。
いつもの事だが、強めに押し上げると妻も声をだす。
「あ、そこそこ、気持ちいい~、もうちょっと!」
「ねぇ、ねぇ、お母さん!お母さんもやってもらいなよ!」
「私はいいよ」とキッチンから義母。
「すっごい気持ちいいしカラダが楽になるから早く早く!」
「お義母さん、ここに横になって!」
と私も義母を呼ぶ。
遠慮がちにリビングに姿を見せた義母を俯せさせ、
妻同様の手順で始める。義母もジャージだが妻とは肌の
感触が違う。マッサージ慣れしていなためもあるが
指先に伝わる肌感触が違う。
妻も柔らかいのだが、指を押し返す力があるが、義母の
肌は埋もれるような感じがした。年齢からくる筋肉の
衰えのため弾力の違いを感じた。
最後は同じように尻たぶを押し上げるように押と義母
も声をあげ終了。
「お母さん、どお?こうちゃんのうまいでしょ」
「気持ちよかったぁ~、ほんとうまいね!」
「学生のときで慣れてるみたよ」
「部員同士でやってたから慣れてるんですよ」
「康介さん、ラガーマンだもんね、ありがとう」
「東京に帰る前、雪かきしたあとにやりますよ」
このとき初めて義母のカラダに触れた。
「最後のお尻上げてもらうのが気持ちいいのよ。
お母さんも声出してたもんね」
「あれは気持ちよかったよ!」
「人間は立ってることが多いから、押上げることが
必要なんですよ」
それが本当かどうか疑問だが『うまい!』って
言われた手前、いい加減なうんちくを言っただけだが
二人とも納得顔で聞いてくれていた。
「お義母さんは、筋肉が衰えてるから尚更揉んで
筋肉を刺激した方がいいですよ。何十年も自分の
足で歩けるようにね」
「そうよ!お母さん足腰の衰えは老け込む原因だからね」
「そうなのよ!あんた達の世話になりたくないから、
クルマ使わないようにしてるのよ」
「カラダのケアが必要でしょうね、一人で出来る
ケアを僕が教えますよ」
「色々うんちくがあるけど、こうちゃんうまいから
大丈夫よ」
「一月から月に二回、除雪に来ますよ、会社にも
休暇貰える手配しましたから、少しずつカラダのケア
もしていきましょう」
こうして雪と義母のカラダのケアのため実家に通う
ようになった。
違いなのだろう。