自動車教習所で指導員をしている
基本18歳~20歳の教習生が大半を占める中稀に主婦層の入所がある
前妻の浮気が元で離婚して半年を過ぎた頃だった
年は行ってるが凄い美人が入所したと入所式を担当した幹部職員が話題にしていた
技能教習は教習生と指導員をグループに分けていたので『噂の美人教習生』を担当する事はなかったが控室で待機している姿は素知らぬ振りしてチラ見していた
正しく美人でドストライクのタイプだった
学科教習では何度か受け持ち高校生や大学生とは異なり真剣な表情で受講していたのが印象的だった
『教習原簿』を見ると『美代子42歳』となっていた
仮免の『技能検定』に落ちると規定時限の『補修』を受けなければならない
美代子は1回目の検定に落ち偶然手空きだった自分が補修を担当する事になった
余りに美人でチヤホヤされていたのか落ちて当然のレベルどころか検定に辿り着けないレベルだった
自分より8歳年上の美代子に相当厳しく指導したが美代子は耐え抜き次の検定で合格してくれた
別の教習生の教習を終えて事務室に戻る途中美代子が満面の笑みで近寄り
「先生受かりました 先生に教わったお陰です」
と言うなり多くの職員・教習生の面前でハグをして来た
滅茶苦茶嬉しかったけどそれ以上に恥ずかしかった
オバサン特有の大胆行動なのか根っから朗らかなのかは知る由もなかった
美代子が路上教習の5時限目から見極めまで何故かずっと担当になった
グループが違うので受付担当に聞くと無理矢理自分を指名し始めダメなら辞めると駄々を捏ねたための措置だった
案の定交通の流れにビビッてパニックの美代子だった
技能指導よりもメンタル指導を優先させ見極めの時には意外に余裕をかましていた
信号待ちの時にチェンジレバーを握りしめ離さない美代子
指導上左手はハンドルが原則なので注意
するとレバーのグリップを怪しく摩り始めた
「先生このレバーってスケベな形ですよね」
今まで気付かなかった指摘だったが美代子の仕草・声音・笑みにドキッとさせられた
2時限連続教習だったので通りすがりのコンビニでジュースをご馳走して休憩をしていると何度もしつこい程にLine交換を求めて来た
ハニートラップかも知れないと感じ「Lineはしていない」と嘘を言って断る始末だった
明くる日美代子は無事に『卒業検定』を一発で合格してくれた
昼休みは趣味を兼ねて二輪教習車でコースを爆走していた
卒業式後ずっと自分を待っていた美代子が事務所から出てきた自分に近付き
「先生ありがとうございました 来年娘を入れるのでよろしくお願いします」
言い終わると自分の頬にキスをして少女の様に駆け去った