お正月の季節がくる度に、二年前の事を思い出してしまいます。ゆあは中学3年でした。
11月の始め頃、家にゆあとお婆ちゃんだけの時にお客さんが来ました。中年の男の人で、ゆあが「どなた様ですか?」って聞こうとしたら、その人が「お~。もしかしてゆあか!ぜんぜん見んうちに大人になったなぁ!」って言われて、固まってしまいました。
「俺や、分からんか?」
「えっ…ハイ…。すいません…。ちょっと分からないです…。」
「まぁ、しゃーねぇーな、最後に会ったの10年位前やもんな。覚えとらんわな、俺や、英臣や。ほやけど、もうすっかり大人やなぁ~!」
その人は伯父さんで、お父さんのお兄さんでした。確かに小学校低学年の頃の記憶があったけど、顔はぜんぜん覚えていませんでした。
「ぁっ、伯父さん…ですか?ごめんなさい、ぜんぜん分かりませんでした…。お久しぶりです、ゆあです。」
みたいに、伯父さんは分かってるのに自分で自己紹介しちゃう位焦ってました。
「兄ちゃんはおるか?」
「すいません、今お婆ちゃんだけです。お父さんとお母さん出かけてて…。今お婆ちゃん呼んできます。」
って言って呼びに行きました。そしたら、
「英臣か、久しぶりやな。ぜんぜん顔見せんと。今から寄り合いがあるで出掛けなかんわ。ゆあ、座敷に上げてお茶入れたり。」
って言って、その伯父さんと5分位喋ってすぐに出ていってしまいました。なんかそっけない感じでした。とりあえずゆあと伯父さんは座敷でお茶を飲んでたんですが、気まずかったのを覚えてます。
だけど、ゆあの子供の頃の話とか色々してくれて、打ち解けたって言うか緊張が解れてきました。関西人得意の面白おかしく話してくれて、笑わせてくれたりしました。で、気持ちに余裕が出てくると、よく見ると伯父さんけっこうカッコイイ感じで、坂田亘さんが髭生やして年取った感じです。年は48歳って言ってました。
色んな話をしてる時に、そいえば…、っていう感じで、ある事を思い出しました。それは、何年か前にお父さんや親戚が「ロクな仕事もしなくて…」みたいに言ってた事です。多分お婆ちゃんが素っ気なかったのもそのせいかなって思いました。
聞いちゃいけないかなって思いながらも、思い切って質問しちゃいました。