今日のような寒い日は、ふとあの日を思い出してしまう。
当時、若かった私は、女の裸が見たくてたまらなかった。その性欲は暴走して、あろうことか自分の母親に向かった。
といっても母親と入浴する習慣など、とっくになくなっている。
なんとかして母の裸を見れないか、思案を巡らせていると、風呂上がりの母と鉢合わせたことがあるのを思い出した。
その時は小学生だったこともあり、何も思わなかったが、おぼろげに覚えている母の裸。もう一度見たい。
偶然を装って鉢合わせしようと試みてみたが、なかなかうまくいかない。
他の家族の手前もあって、あまりに露骨に行動することもできなかった。
それでも、母はもう着替えてしまっていたが、湯上りの母の火照った姿に大興奮したりしていた。
ある寒い日、あまりに寒くてすぐに体を温めようと風呂に入ろうとしていた時だった。
「寒い、寒いー」と言いながら母が帰って来た。
いつもなら風呂直行することなどない母が、その日は直行してきた。
仕事用の鞄も服もそのままだった。
私を見て母が
「あ、お風呂入るの?」
と尋ねるので、私は黙って頷いた。
「お母さんも入りたいんだけど・・・」
私がどうしたらいいかわからず固まっていると、母はちょっと困った顔をして
「じゃあ、一緒に入ろうか」
うん、そうしようといった軽い感じで声を掛けてきた。
あまりに突然のことで、私は遠慮してしまい、母に順番を譲るそぶりをしてしまった。
あ、そう。悪いわねといった感じで母はそそくさと服を脱ぎ、あっという間に風呂の戸を閉めた。
母の裸もよく見れず、母に誘われて一緒に入浴、なんて幸運を逃してしまった。
「一緒に入ろう」と言われたあの時、「うん」と答えられていれば・・・
声は出せなくてもせめて頷いていれば・・・