兄の顔が見たくなった。
カレーでも振る舞ってあげようかとスーパーに寄った。
兄好みのルーを買い、兄が待つマンションに足を運んだ。
寝惚けた顔でテレビを見ていた。
もうすぐ40に手が届くと言うのに、なんとも冴えない。
言葉少なげに夕食を済ませた。
お風呂は、私が料理してる間に兄が用意してた。
別々にお風呂に入り、風呂あがりにビールを飲んだ。
よくある風景。
よくいる兄妹。
「なぁ、今日するのか?」
兄が声をかける。
私は頷いた。
兄が引出しからゴソゴソとコンドームを取り出す。
「ゴムする?」
「うん」
兄は私と生で繋がるのを嫌がった。
独身男の兄とバツイチの寂しい妹。
お互いの欲求を満たすには最適な相手かもしれない。
兄の綺麗な顔を撫でる。
唇を重ねるのは、ほんの少しだけ。
全裸になり股まで開いてるのに、やっぱりよくないと躊躇する兄。
私は満たして欲しいだけ。
それ以上は何もいらない。
兄の首筋から男の匂いがする。
匂いに酔いながら、この男は兄じゃないと思い込む。
兄は私を抱いた後で必ず落ち込む。
時間が解決するのか、慣れるのか、やめるのか。
悩みながら夜が明ける。