バカの部屋
「板野友美ってさあ、最近あたしに顔、似せて来てんだよね。」
と、この前ウチの『椿鬼奴』が言ってました。僕以上に妄想がヒドイ、バカ姉です。
ちなみに僕は『中村俊輔』を意識していたんですが、みんなには『ニセ渡辺篤史』とか、『ヒゲ無し探訪』とか呼ばれてました。
スパッツの中で僕のチンポが行き場を探してます。柔らかいけどピッタリサポートしているから、短パンのゆったり感と合わせ技でバレないと思ったんですが、しっかり『富士山』になってました。
僕は慌ててバッグを抱きかかえて隠しました。それを見て『あいこ』がおちょくりました。
「しょうがねぇヤツだなー。何で興奮した? 姉ちゃんのオッパイか? それともマンコか?」
僕は『あいこ』の言葉にドキッとして、さらに血流が増えました。
めんどくさい事に、姉も反応してました。僕の方をチラチラ見ながら、軽くオッパイとか揉んでました。
「それとも、さっきから見まくりの、あたしのココか?」
『あいこ』が調子に乗って、座り込んでからずーっと広げてた足をM字して、腰をグイッと持ち上げました。筋肉質の太ももがパカッと開きました。
全開になったブルーのパンティーが、弾みでケツから食い込みました。それを見てチンポがズシッと、重くなった感じがしました。
『あいこ』は自分の後側の姉の様子には気づかずに、僕だけ見てニヤニヤしています。僕はこのバカ二人に冷や汗をかかされまくりです。
「この子、すぐおっきくしちゃうのよ…」
バカ姉が余計な事を言い出しました。『あいこ』がすぐに食いつきました。
「ナニ? 『ともスケ』、姉ちゃんオカズにマジ勃起するって?」
「…うん。」
「『ともスケ』、マジで近親相姦やる気じゃねーだろーなー?」
『あいこ』が、イヤなネタを蒸し返してきました。タバコで僕のチンポを指してからかってましたが、姉が、
「って言うか、ヤッちゃった!」
と言わなくいい事を、アッサリ言ってしまいました。僕はもう二人の顔は見れません。
「……………ハァ?!」
僕の背中に『あいこ』の『ハァ?』が刺さりました。
「ヤッちゃったの。近親相姦。」
バカが駄目押ししました。僕は頭真っ白、目の前真っ暗になりました。
「ああぁー?」
『あいこ』が、文字にしにくい発声をしました。
「意味分かってんの? …って言うか、マジかーッ、お前らッ!!」
『あいこ』が僕のケツを蹴りました。でも、ケツより頭と耳が痛いです。
「だって、デカイんだもん。ともゆき。」
このバカ姉は、オッパイとかマンコとか秘密とか恥とかを、隠すって事を知らないんでしょうか?
「デカけりゃイイの? ヤッちゃってイイと思ってんの?」
珍しく『あいこ』がマトモな事を言いました。
「中に出さなきゃ、イイんじゃない?」
……………絶句です。
「じゃあ、どこに出したんだよ?」
それは、どうでもいい事だと思います…
「あはは、自分の顔! ともゆき、自分の顔に引っかけちゃったのよ!」
ヒトの思い出したくない過去を、バカがわざわざ、ほじくり返して言いました。あの時、姉を突き飛ばしたんで、見られてないと思ってたのに…、覚えて欲しい事は忘れて、忘れて欲しい事は絶対忘れないから、マジでムカつきます。
「えーっ、何それ? マジ受けるんですけど!」
『あいこ』が、ヒトの傷口にメンソレータムを塗り付けるように笑い出しました。ほんのちょっと、このバカ女に常識を感じた自分が恥ずかしくなりました。
「って言うか、ともゆき、早漏~。あたしが気持ち良くして上げようかなぁ~って時に、ピュッてイッちゃったんだもん。」
僕はバカたちの、バカ笑いの嘲笑を背中全面に受け止めました。『あいこ』は笑いながら、僕のケツを蹴りまくりました。
「『ともスケ』、お前どこまで情けねーんだよ?」
それは自分でイヤと言うほど分かっているので、わざわざバカに言われたくなかったです。
散々、僕を笑い者にしていたら、『あいこ』が急に、
「気合いが足んねーんだよ。」
と、マジなトーンで言いました。
僕は、『気合い』のワードに反応して、ビクッと萎縮してしまいました。つい振り向いて、『あいこ』と目を合わせてしまいました。ガッツリ睨まれて、
「脱げ!」
と命令された僕は、『ハイッ!』としか言えませんでした。もたつくと確実に殴られるので、即行で全部脱ぎました。
『あいこ』がゆっくり立ち上がり、僕に顔を近づけてきました。もし、この時ここが陸上のトラックだったら、僕はウサイン・ボルトより早いタイムが出せたかも知れません。
『あいこ』は僕とガッツリ目を合わせて、こう言いました。
「いいか『ともスケ』、サッカーもセックスも同じスポーツだ! 宮本信子が言ってたんだよ! 気合いと根性なんだよ! あたしが教えてやる!」
僕の2番目の女性経験が、『コイツか…』と思うと、これからの僕の人生に、『希望』の文字が無くなりました。