『金』
『今、妊娠しているのは誰の子なのか?』の質問に、姉は中々答えませんでした。僕はパンツを半立ちチンポに引っかけたまま、耳を『マギー審司』にしていました。
僕がうっかり飛ばした、精液がついた肛門辺りをティッシュで拭き終わると、姉は
「う~~ん…、ねぇ? 誰の子にしたら、イッパイお金貰えるかな?」
と、最低の答えを引き出しました。僕は心の中で、『ふざけんなよっ!』と叫びました。
僕の可能性はゼロでしたが、やっぱりスッキリしません。すごく気になりました。ところが『あいこ』は、
「な~んだ、分かんねぇのか? やっぱり!」
と、ナニか思い当たる節があるのか、深く追求しませんでした。
「まあ、『まさみ』の言う通り、どっちにしろ、取り敢えず必要なのは、まず『金』だな!」
バカたちは一番大事な所は『沖の鳥島』辺りに置いといて、『どれだけ金が集められるか』の相談を始めました。バカ姉と関係した男たち全員から、『義援金』をもらうという話です。
ホントは会話中、別な名詞を使ってましたが、諸般の事情により『義援金』とさせていただきます。僕は『ヤバい』空気を感じました。
「おいっ『ともスケ』! お前は取り敢えず10万な! 払えねぇ~だろうから、ツケとくぞ! それから利子の分は、しばらくお前、あたしのパシリな!」
僕はいきなり多額の債務と苦役を背負わされました。思わず『えゲぇ~っ!』と声を出してしまうと、『あいこ』が強烈に僕のキンタマを握りしめました。
「お前、姉ちゃんと近親相姦やらかして、その上あたしみたいなイケてる女抱いといて、『ダーター』な訳ねえだろ!」
このバカたちは本気と冗談の境界線が無いから、ホント嫌です。でも、『あいこ』がイケてる身体だったのはホントなので、文句は言えません。それに、苦し過ぎて声も出せません。
姉の携帯が鳴りました。母が『夕飯どうする?』と聞いてきました。
「出前取ろうかって。『あいこ』も食べてくんでしょ?」
危ない空気がちょっと和らぎました。『あいこ』が僕のキンタマを、やっと解放しました。
「おっ! 食べる、食べる! でもせっかくだから、あたし『リッちゃん』のオムライスが食べた~い。」
『あいこ』は僕の母を『リッちゃん』と呼びます。店でも結構みんな『リッちゃん』を使います。母のオムライスは結構イケてて、昔々、喫茶店のバイトで覚えた得意技です。
「『リッちゃん』作ってくれるって! あたし豚カツーっ、豚カツねーっ!」
僕もリクエストがあったのに、バカ姉は無視して携帯を切ってしまいました。『あいこ』が悶絶してる僕の方をチラッと見ながら、
「あたし今日、泊まろうかなぁ~。」
と、恐ろしい事を言い出しました。
「いいよ~。泊まんなよ。じゃあパジャマ貸したげる。パンティーもいるでしょ?」
バカ姉が地獄の扉を開けました。『あいこ』はバッグからサッと一万円を出しました。
「おいっ『ともスケ』! コンドーム買って来い!」
するとバカ姉も一万円を出して、
「ともゆき、こっちは『ユンケル』代ね。」
と、言いました。
「おっ! 『まさみ』切れてるね~。『ともスケ』、ちょろまかすんなよ! 買えるだけ買って来いっ!」
僕は渡された二万円を見て、『これで切符買ったら、電車でどこまで逃げられるだろう…』と、思いました。すると、僕の怪しい気配を嗅ぎ取ったのか、『あいこ』がすかさず言いました。
「…おい、ダッシュで行って来い。」
僕は条件反射で『ハイッ!』と言って、パンイチにTシャツでコンビニへ走り出しました。当然、コンビニで店員さんと揉めました。
余計な事に、その日の夕飯は精のつく物ばかりだされました。夕飯で取ったカロリーは、夜の内に全部消費させられました。
夕食後、父が帰ってきました。『久しぶりっ!』と『あいこ』に声をかけてハイタッチをしました。なぜか僕の両親は『あいこ』を気に入ってます。
母が『あいこ』のお泊りを父に教えました。すると父が、
「そうか。じゃあ『あいこ』に背中流してもらいたいなあ。」
と、とんでもない事を言い出しました。バカが父にまで伝染してました。
「しょうがねぇな~、『タマじぃ』は!」
『あいこ』は関係ある人ほとんどに、自分勝手にあだ名をつけています。僕の父を『タマじぃ』と呼びます。理由は父の名誉ために言えません。
ちなみに『あいこ』には、お兄さんが二人います。長男を『マンコ』、次男を『チンコ』と呼んでました。ある時お兄さんたちに抗議されて、『マン兄』、『チン兄』と変えました。最低です。
父のエロ親父発言にキレるかなと思ってたら、『いいよ!』と『あいこ』が引き受けてしまいました。僕はまた『えゲぇ~っ?』と叫ぶところでした。
「よしっ!、じゃあ気が変わらないうちに!」
エロ親父丸出しで父が『あいこ』を『おねだりソープ』に引っ張りました。すると、『あたしも入る!』と姉まで調子に乗って言いました。
父は喜んで入るかなと思ったら、姉まで『入る』と言い出したので、ちょっと引いてました。でも、『いいから、いいから、』と二人に言われて、お風呂に連れていかれました。
「いやぁね~。あんたもいっしょに入りたいの?」
並んで洗い物をしていた母が、見透かしたように、ニヤニヤして僕に言いました。
僕は女の人の笑いに、色んな意味で『ドキッ!』とする体質になってしまったようでした。何だか母とも怖い関係に発展しそうな気がして、慌てて洗い物を片付けました。