私と兄は時間をずらして家を出た。
近くのショッピングセンターで待ち合わせをすると、素早く兄の車に乗り込んだ。
「少しドライブしよう」
たぶん兄は離れた場所にあるホテルまで移動するつもり。
「み~、ジュース開けて」
「うん」
まるで恋人同士みたいに振る舞う。
そうしなければやり切れないように。
30分ぐらい車を走らせるとインターチェンジのラブホ街に着いた。
「どこにする?」
私はピンク色の新し目のホテルを指さすと、兄は駐車場に入った。
降りてから手を繋ぐ。
一応、人目を気にして私はうつむいた。
早足の兄に着いてくから小走りになる。
フロントに入ると兄が
「どの部屋にする?」
「どこでもいい」
私が小さく言うと、兄が選んでエレベーターまで移動する。
エレベーターに乗ると、兄が腰に手を回した。
寄り添ってフレンチキス。
降りて部屋の前まで無言で歩く。
『ガチャ』兄がドアを開けた。