薬物中毒患者のフラッシュバックの様に、突然襲って来る淫夢に手を焼
き始めていました。主人にも、家庭にも不満を持っている分けでは無いの
に、突然、リアルな淫夢が襲って来ます。細かい事では色々有るのは有る
のですが。ついさっきも、シンクの前で足を擦り合わせていたのです。こ
んな私て変!そんな私に大きな秘密を抱える日が遣って来ました。子供た
ちは友達と旅行に、主人は出張にそれぞれ出かけて行きました。家には私
一人、淫夢の花盛りです。とうとう
「もしもし 私 お兄ちゃん時間ある? ご飯作りすぎたから一緒に食べ
てくれへん?そう 時間は何時でもいいよ!じゃぁ」
置いた受話器に手を乗せたまま半分後悔していました。『ただ食事するだ
け そうだよ食事するだけ』振り払うように手を離しました。
「よしっ 私ってお片づけ上手 お料理上手 里美偉い」
腰に手を置いて並んだ料理を見下ろしました。ピ~ン ポ~ン
「ハイ ハイ」
ノブを回すと兄が立っています。妄想のせいかチョピリ気恥ずかしく思え
ました。
「上がって 準備できてるから 車?じゃあビール駄目ね」
席に着いた兄が口を開きました。
「皆わ?」
「居ないよ 旅行と出張 私だけ」
「良いのかなぁ 俺は怪しいおっさんだしなぁ」
「あはははっ 変な事したら駄目よ」
食事を終え、兄は居間で後ろ手を着いてテレビを見てます。やっとかたず
け終え濡れた手を拭きながら、居間に向かって声を掛けました。
「コーヒー いるでしょ 持ってくね」
私は半ば当然を装い、兄の横に膝を崩して座りました。とは言え15セン
チ程開けて。
「こんなに近いと 変な事しちゃいそうだなぁ」
「もう」
テーブルの上に置いたカップを両手で弄りながら答えた私は、兄の手が私
の体に触れるのを待っています。耳鳴りでテレビの音が遠くに聞こえます
。兄の手がカップを離れゆっくり近づいて来ます。膝の上に被さる手の怪
しい動きにカップを持つ手に力が入ります。俯いたまま声を立てない私の
足がゆっくり開いて行きました。