母と関係を持ってから1年以上が経過していた頃だったか。
俺は母との一泊旅行を計画していた。
もちろん母と二人きりで旅行などしたことはなく、どう伝えるか考えた。
メールでのやりとりを続ける中で、自然と誘うことができた。
『どこかで休みとってさ、ふたりで旅行とか行きたいね』
『ハルとふたりで? いいね! 行きたい!』
話はとんとん拍子で進んだ。
父親の会社の社員旅行の日程に合わせて、俺たちの旅行の予定も決まった。
当時、独身一人暮らしの俺は、仕事の段取りさえつけば有給を使って休みを取り易かったのだが、母は父になんと言うのだろうか、少し気になった。
『親父にはなんか言った? それとも内緒で行くの?』
『お父さんの社員旅行の時に、M本さんと旅行行ってもいいかって』
M本さんは母の主婦友達で、ふたりしてよく買い物や日帰りのプチ旅行なんかに出掛けていた。
若い頃(俺がまだ小学生ぐらいの頃)は一緒にママさんバレーをやっていたので、俺も顔を合わす事が多かった。
M本さんは豊満熟女な母とは違い、スレンダー体型のなかなかの美熟。
でも出るところはしっかり出ており、妄想の中では何度か俺のお相手もしてもらっていた。
父親は全く疑いもせず、二つ返事でOKだったらしい。
『もぅお父さんは全然私に興味ないんよ』
その分、俺が母を慰め、また慰めてもらっているのだから有難いことだ。
父の社員旅行はまだ少し先の為、余裕を持って宿の予約ができた。
有名な観光地の温泉旅館、部屋ごとに露天風呂がついており、当時20代の若造にしてはかなりの出費にはなってしまったが、母との忘れられない思い出作りのためだ、ここはボーナスをつぎ込み奮発した。
いよいよ母子旅行の決行日。
クルマで行くことも考えたが、列車の旅が好きなこと、より旅行気分が味わえるという俺の意向で、列車での移動となった。
ほぼほぼふたりの中間地点の駅で落ち合い、そこから特急等を乗り継いでの移動。
途中、昼飯は駅弁を食べ、母といろいろな会話を楽しむ。
もちろん周りに聞こえぬよう、ヒソヒソ話で、だ。
「ハル、まだそっちでイイ人とかいないの?」
「そうだね、まぁ特には…」
「なんでモテないかねぇ、この子は… せっかくキレイに産んでやってんのに」
正直 体の関係を持てる女性はいたが、それを言うといろいろと面倒くさそうなので伏せておいた。
「まぁえぇわ… アンタにちゃんと彼女ができるまでは、しょうがないから私がハルの女でおってあげるわ…」
謎の上から目線に、謎の息子の女宣言。
仕方ない感を出しながらも、自分が息子の女であることのアピールがバレバレだ。
だが母の言う通りでもある。
確かに今は良いとしても、いつまでこんな関係が続けられるのか…
「この旅での俺らの関係って、どういう感じ?」
「どういう感じ、って?」
「う~ん、だからなんていうか、親子なのか、恋人なのか、不倫旅行なのか、旅のコンセプト 的な?」
「不倫って… でもまぁ全部当て嵌まるわね」
「私的には、恋人感が多めだと嬉しい、かな」
母の横顔を見つつ、思う。
綺麗だな、世間的に見ればただのオバさんなんだけど、母親でありながら最高のセックスパートナーでもあるなんて。
先のことはわからないが、せっかくのふたりきりの旅行だ、今はこの瞬間を楽しもう。
ふと、川本真琴さんの歌の歌詞の一節が思い出された。
『神さまは何も禁止なんかしてない』