私はまぐわうのが大好きだ。
でも、この歳になると相手にしてくれる男がなかなかいない。
世の中には年寄好きだという若い男もいるけれど甘えてくるばかりでこっ
ちが疲れちまう。
女だからするよりされる方が好きにきまってる。。
同年代にじっくりされるのが一番いいけれど、なかなか気の合う(体も)
相手が見つからない。
これだと思うともう虫がついている。若くないから回数が少ない分おこぼ
れも出にくい。
普通はそれで諦めて只の婆になって色っぽい話もなくなっちまう。
世の中の女盛りたちは「身持ちがいいね」ってのはきつく塩漬けされて腐
りにくいって意味っていうのをわかってるのかしらね。
ようするにあきらめちまうんだね。
貞操観念ってのは子供を産んで育てる間だけ必要で後はいらないんだよ。
あたしのおっぱいは子供が飲まなくなれば無用の長物、亭主の物かい?違
うだろ。
亭主の竿だって子作りが終わればお役御免で出すのは小便だけじゃ立つ瀬
がない。
だから子供たちをさっさと片づけて亭主と二人で楽しく暮らしてたのさ。
亭主は手に職があるんで食うに困らないし使ってる手元がたくさんいるか
ら時間も自由になるってことで楽しい生活を送ったよ。
スワップだろうが乱交だろうが気兼ねなく楽しめると喜んでいた矢先に亭
主が逝っちまって独り身になっちまった。
遊び好きの亭主で気に入った若い衆にはあたしに義理まんさせるような人
だからあたしが遊んだってあの世で文句は言わないだろうがあっちに行く
と閻魔さんに行き先を聞いて落ち着くまでは一年かかるっていうからその
間は女遊びもできないだろうとあたしも我慢したんだ。要するに喪につい
たわけだ。
その一年もやっと終わりさあこれからだと思ったけれど相手がいない。
亭主任せだった分さっぱりわからない。以前の座敷仲間に電話しても女一
人じゃ義理で何回か誘ってくれただけでそのあとはお呼びがない。
こうなったら女を磨くしかない。意地でもこちらからは誘えない。誘われ
てなんぼだ。
頑張ったよ。自分で自分を抱きしめて一緒に泣いてやりたいくらいだ。
やっと立ち直って遊び始めたらこれだ。嫁に愛想を尽かされて息子が帰っ
てきた。
父親に似て遊び好きだけれど何かが一つ足りない。結局一緒に住みたくな
いがために購入資金を援助したマンションも取られちまったようだ。なさ
けない。
こっちはいい迷惑だ。家で楽しめなくなった。
しょうがないから外でって事になるんだけれど、この頃の連れ込みは気に
入らない。ホテルなんて名前を付けるから和室が少なくなって椅子にベッ
ドじゃ楽しみも半減だ。畳の上を転げまわりながら派手に楽しみたいもん
だ。知り合いに聞いてみたら畳替えとか汚されたりとかで金がかかりすぎ
るからだってさ。
やっぱり畳に布団、テーブルにポットだろ?ベッドの上じゃコップ酒も置
けやしない。
こっちが不自由を囲ってるってのに倅は家にどこかの女を連込んで居やが
る。
そりゃ、最初は溜まってるんだなと不憫に思ってそっと出かけなおした
さ。でも回数が重なると腹立たしい。特に相手があたしと変わらないよう
な年増だとなお憎い。
しまいにはどうせ酔っぱらっちまって気が付きもしないんだからと勝手口
からそっと入って風呂は我慢してさっさと布団に入って寝てたんだ。
ところが倅もやはり亭主の息子、結構泣かせるんだ。気になってしょうが
ない。ある日我慢できずに覗いてみた。
持ち物まで似るもんなんだね。雁の具合がそっくりだ。思い出して濡れ
た。亭主はほんとに上手かったから...
切なそうによがり声を上げる倅の相手が憎たらしい。
次の日倅を座らせてお説教だ。
父親が遊び人でおおらかだったが仕事柄礼儀だけはうるさかったので歯向
かったりはしない
黙って聴いてた倅にどうなんだいと聞くということがとっぽいよ。
こいつのの言うことにゃ若い女は懲り懲りだ。別れた女房もそうだが情緒
がない。羞恥心がない。一緒に気持ち良くなりたいって言う思いやりもな
い。泣かせりゃ泣くけど面白くない。5分もありゃ逝かせられるけど楽し
くない。なんて生意気なことを言ってやがる。
だったらこれという一人に決めてそいつ暮らせといってやったんだよ。
そしたら調子のいいことを言うんだ。こういうところも亭主そっくりさ。
わかってても騙される。
「母ちゃんみたいに万事そろった女はめったにいねえんだよ」とぬかしや
がる。
とりあえず話はそれで終わったけど、どうしても倅の一物と言葉が頭の中
をグルグル回って仕方がない。倅も気まずいのか黙ったままだ。
仕方がないから一杯飲むことにした。結構楽しい酒だったさ。久しぶりの
深酒。
夢見たんだよ。あたしが脚開いて死んだ亭主が久しぶりだって腰振ってる
んだ。気持ちよかったね。男が若い頃の「夢出し」の気持ち良さが忘れら
れないって話を聞くけれどこんな気分かと思ったね。
そんなことを考えながら目を覚ますと横に裸の倅が寝ていた。四十にもな
るってのに見事な朝勃ちだった。