「女医」
この言葉には、女の私でも何か妖艶な響きを感じてしまいます。
もちろん世の中の女医さんのすべてが、崇高な使命の元に職務を全うされていることを知っています。
ですが、ここではあえて禁断の世界に触れてしまった、というか、
ある特殊な性癖の、日々欲求不満を募らせ、満たされない1人の淫乱な女医のお話にしたいと思います。
私には医学の知識も、医療機関の内情もよくわかりません。
その辺はご了承いただきたいと思います。
この歳になるまで女医さんに巡り会ったのは、大学病院での1回しかありません。
快活で知的な美しい女性でした。
その美しい女医を演じるのに格好な女性が身近にいます。
私の悪友の沢田さんです。
彼女のことは何れ詳しくお話したいと思っておりますが、簡単にいうと、私をこちらの世界に導いてくれた方です。
といっても、私にもその素質は以前から持っていたのですが。
私は彼女が主宰する歯科医院で土曜日のみ歯科助手兼受付としてお手伝いをしています。
美貌の持ち主の彼女のところへは、老若男女問わず患者さんで毎日溢れかえっているのですが、
やはりというか、男性患者が多いらしいのです。
もちろんそれだけではなく、丁寧で献身的な診療が評判となっているのも事実なんですが、
3年前に彼女の誘いで助手となり、息の合った熟女2人の名コンビとしても、
評判になっているようです。
彼女が私を誘ってくれたのは、私の性癖を知っているからであり、
私も彼女の美貌の仮面の下に隠された本性を知っているからです。
「ま、殆どは年配か、小さな子供が多いんだけど、たまに・・・ね」
その「たまに」という言葉は直感的に私にはすぐにわかりました。
私が助手になってすぐの事でした。
予約の状況を見ていると、いつも土曜日の診療終了間際に予約を入れている男性の名前がありました。
聞いてみると、近くの中学校の生徒さんで、軽度の歯列矯正で半年以上前からここに通院しているとか。
学校がお昼に終わって、部活動を終えて、帰宅するついでにここへ来る。
そんな感じかと思ったのですが、沢田さんは、ちょっと含みを持った笑顔で、
「彼が来たらわかるわよ」
と教えてくれました。
16:30分。
彼はやってきました。
これまでと違うおばさんの受付の私の顔を見ると、
一瞬、「?」という表情を見せたのですが、軽く会釈をしながら診察券を差し出し、
おそらくは普段と変わらない様子で診療台の方に歩いて行きました。
半年も通っていれば、もう自分の特等席のようなもののようです。
「どう?調子は。違和感ある?」
そんな感じで沢田さんも友達のように気楽に接しています。
私も診療台の斜め後ろで、沢田先生の補佐をしながら少年の様子を見ていました。
日焼けしたなかなか凛々しい顔とは対照的に、大きく口を開けて治療を受けている姿はやはり幼く、
笑ってしまいそうなくらいのギャップを感じます。
唾液吸引でもこんな機械を使わずに、直接口で吸ってあげたいくらいの妙な色気すら感じてしまいました。
一通り治療が済むと、沢田さんは少年に訪ねました。
「今日は・・・他に、診てもらいたいところは?」
少年は「え、でも・・・」
と言い、私の方をチラリと見て戸惑っている様子でした。
「大丈夫。先生はこの人の事すごく信頼しているの。心配いらないわ」
少年はなんとなく納得したようでしたが、いつもとはちょっと調子が違うという不安と、
照れているような表情をしていました。
「長谷川さん、今日は私の指示通りに従って」
私は思わず「は、はい」と、女医らしい威厳というか風格のある言葉にたじろいでしまいました。